まずい / Diary822
16.1.2020

 

 
久しぶりにスタイリングのイメージカットを撮ろうと Dries Van Noten のニットに袖を通し、ボトムスはどうしようっか、デニムにしよう。ハンガーに掛かった、未だ試していなかった 505 を履いたわけです。腰に合わせファスナーを閉めた瞬間、 まずい 。Levi’sは普段から愛用してまして、特に品番は気にする事は無く、たまたま試したものがそれだったり 517 だったり。勿論上着に関わらず自分の身体に丁度合うものは運命的な出会いの様な感覚、予期しないと更に強く、デニムに関しては以上な欲求に駆られてしまうのは少なからず私だけでは無いと思います。その後スタイリングの撮影には手が付かず将又、納得のいくものも撮れず、是非にとこちらを御覧になって欲しい。紆余曲折しながら至った訳です。正直な処私はそこまでは詳しくありません。しかしながら、タフギアとして生まれた最も紳士的で、色気のあるトラウザーズはと考えると退色した小粋なそれに辿り着く、勿論赤耳の良さや真っ青で育て甲斐のあるものを承知の上、程良く縮み・色褪せたこちらを御推奨させて頂きます。腰回りはゆとりを残しつつも裾に向け美しく細くなるレッグライン、1 inch 程の縮み加減、履かなければ良かった。

 

 

80s Levi ‘ s 505. & early 00s Dries Van Noten asymmetry neckline merinos wool sweater.

 

 

SURR by LAILA 鈴木

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余白 / Diary821
15.1.2020

Dries Van Noten 氏による新しい雛型に限らず弊店で御提案させて頂くほとんどが該当するのですが、服, とりわけ洋の服は身体に沿わせて鏡の前に立つ姿よりも実際に生活して活動するその瞬間, 身体が動くことで衣類も動くその姿が本質であると私は強く感じ、鏡の前で立つ姿は本質の 30% ほどしか発揮できていないとすら想うほどでして、事実私は自身の買い物において鏡の前で立つ時間が極めて少なく、そこでは肩の添い方であったり着丈の現れ方など身体全体の幾カ所を確認するのみで判断致しております。その幾カ所さえ合致していれば, 良いと想いさえすればあとは生活の瞬間にてハンガーにかかっている姿よりも鏡の前で立つ姿のよりも圧倒的に蠱惑的な本質が、身体の動きや筋肉の振動に併せて予想もしていない形状や表情にて魅了してくれます。そして生活の瞬間に本質を魅せてくれる服こそが良い服, 理念や設計や素材や職人技術など諸々の事柄において “ 上質 ” な服なのではないでしょうか。 という内容を店頭にて度々話させて頂いておりますが、それにおける一つの欠点と言いますか問題は、自身の眼でそれを捉えることがなかなかどうして叶わないという点でして、しかしながら自身の眼でなかなか捉えられないものの、他者がそれを捉えられるのであれば “ ファッションを好きに成ったきっかけはモテたいから ” の論筋派閥である私にとっては充分ですし、ふとした瞬間, 例えば昨今であったら友人知人の SNS に自分が映り込んだ瞬間や誰かが撮った写真などで動く服の本質の姿を眼にした時に 私はこんな格好良い服を着ていたのか と驚ける瞬間もまた極めて極めて愉しいものですので、いずれにせよ、やはり、ハンガーにかかっている姿よりも鏡の前に立つ姿よりも圧倒的に生活の瞬間の姿が大切であると切に想います。

 

その要因と成る大きな一つは服に配置された余白です。とりわけ洋の服におきましてそれらは極めて重要かつ秀逸で、複雑怪奇ながら面白くて仕方のない人体の各曲線を重要視し、その要素の研究を服飾の発展と並行して行ってきた洋の文化における服たちは、いつの時代であろうとどのような理念であろうと、余白という要素を欠かさずに備えておりますので、ゆえに生活の瞬間に現れる本質が一層に輝くのです。( 中には 脱いだ後の服の姿 を重視して創造を続けた傾奇者も居ましたが )

皆様方、下半身の服はお好きでしょうか。私は気分によっては上半身の服以上に重要視する時があるほどに下半身の服を好んでおります。ジーンズ, ミリタリー, チノ, コーデュロイなどなど様々が在る中で私が最も活用するのがいわゆるで言うところのスラックスでして、これは時節を問わず常に求め続けており、旬の素材表情もまた良きものなのです。それこそ稼働の多い部位ですし移動時の揺れ動きも顕著な下半身ですので、生活の瞬間の本質はそれはもう愉しく、身体に寄り添い余白を削ったプレーンな設計はもちろんのこと、稼働を加味して余白をしっかりと設計したからこそのドラスティックな設計もまた、大変に大変に格好宜しいのです。

 

 

 




「 タックという機能装飾は本当に秀逸で、座った際の広がりや立った際の納まり、それこそ生活の瞬間において赤子の如くよく動きまわってくれまして、かつ自動的に結果的に余白が広く配置されることになりますので、そこから下の部位に与える揺れ動きのふり幅は極めて大きなものとなるんですよ。もちろん高めのウエストポイントが求められたり、素材によっては余白による上半身の服への影響もございますが、全てを鑑みたとて布陣の一つとして心から御提案したいと常に想えるのがこれらタックトラウザーという存在でございます。
なんと言ってもね、生活しやすいものですから。一度味わってしまうと忘れることのできない魔性性なんです。もちろん一見致しますと余白の少ないプレーントラウザーの方がシュッとスマートで綺麗じゃないかという御気持ちも分かるのですが、実際のところ余白の多いタックトラウザーは生活の瞬間の姿が本当に愉しくてですね、それこそ瞬間瞬間でプレーントラウザーと同等のシュッとしたスマートな姿を魅せてくれますよ。こちらは Valentino における uomo の初期時代の一本でして、この頃はモードとしての紳士像提案に加えて品質意識が極めて高い時代だったものですから、弊店は Valentino uomo を初期時代とそれ以降の二種類で捉えているのですが、粋なことに初刈りであるヴァージンウールのみで構築されておりますので、生活における瞬間瞬間の輝きは一層ですよ。

 

 

 

 

70s Valentino uomo, virgin wool trousers

宜しければお試しになられてみてください。」

 

 

SURR by LAILA 福留

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1997 / Diary820
11.1.2020

物心を付いた頃には当時消費税は 5 % でしたが、1997 年からなんですね。と言う事を書く為の 1997 ではありませんのであしからず。本日は私の中ではべストオブベスト、97 – 98 AW を御紹介致します。このシーズンはなんと言ってもミリタリーを模範としつつ、ブラック、ネイビーとダークトーンを中心とした素材やシルエットに重点を置いた非常に秀逸なショー。何ですがこちらのコレクション、当時は ” はずす ” という概念があったのかは判り兼ねますがモデル全員ニット帽を着用。スーツスタイル・シャツ、タイ、スラックスにニット帽。数年前このコレクションを目にしてからは冬にはニット帽を欠かさず被る私が愛して止まないシーズン。是非 ” silent archives ” # 19 を御覧頂ければ幸いです。初期の男性と女性の中間の様な色彩や素材表情、構築とは相対す、近年のコレクションにも精通する静かなエネルギーを感じて頂けると。間違えなく。今回は特にミリタリーのエッセンスが抽出された創作的且つ紳士的な羽織りを御推奨。

 

 

New arrival , 1997 AW Dries Van Noten military – style tailored jacket .

 

テーラードとミリタリー、どちらも男性へ向けた成り立ちを持つ、普遍的、いつの時代も男性を魅了するもの。テーラード × ミリタリーの掛け算の要素より引き算の巧さが面白い一着。伸縮性のある、 Dries らしいニッティング技術と漆黒と言える黒の中でも黒を感じられる深い色味。ヒップラインを隠す着丈の長さと大判なポケットはハーフコートの要素且つ、Vゾーンの高さからウエストのシェイプまで非常に要素が多い一着。ですが初期頃に彼が敬愛するオーヴァーフィッティングに比べるとミニマムな様式の為、何度もこの言葉を使いたくはないのですが ” タイムレス ” な物つくりを基盤とした多くのクリエーションの中でもより深い処に居ながら現代に措いても新鮮さを感じる、サイジングの引き算の光る非常に凡庸性の高さを感じて頂ける逸品。

彼のものづくりは男性と女性の中間の目線から始まりました。しかし、彼の言う中間は男性は男性、女性には女性への提案となると、矛盾点がある様に思えましたが袖を通した際のアイデンティティを最大に発揮される紳士的な美しさは結果的に男性への提案になりえると考えてしまいます。

 

 

SURR by LAILA 鈴木

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