こちらでも何度か書いていますが鞄はできるだけ持ちたくないし考えたくない私で、いわゆる意識下での鞄貯金によって一つを手に入れ“よしこれでおしまいヨカッタヨカッタ“と数年過ごしていたらふとした瞬間に別の鞄の必要性を感じたり、また別の鞄の必要性を感じたり、はたまた別の必要性を感じたり。10年かけてスタイルの振り幅がどんどん簡略化されていき着る服の型がどんどん少なくなっていったのに対して、持ちたくないし考えたくないし何なら苦手くらいに感じていた鞄の振り幅が増えたのは10年前の自分からすると皮肉な話です。でも思うんです私、鞄って純粋に道具だからなんだかんだ色々と必要なんだろうなって。そう、欲望より必要が先立ってじゃあ欲しいな って。
今回ご提案する鞄のタイプが欲しいと思ったのはある買付の旅路、最終日にセーヌ川沿いに座ってホットドッグを食べていた時(私、パリのホットドッグ好きなんです)に突然思ったんです、ある程度ちょっとした物が入って身体に沿わせられる鞄が欲しい と。言ってしまえばサコッシュみたいなやつでしょうか、カーゴパンツのサイドポケットまではいかないものの財布とスマホとプラスアルファくらいは収納できて、なおかつ場合によってはアウターの内側にも忍ばせられるくらいの、街中でも良く見かけるそれこそ旅で言ったらツーリストの必須品と言っても過言ではないような扱いのプロダクトが、セーヌ川沿いに座ってホットドッグ食べてビール呑んで蜜蜂が飛んできてホットドッグに留まったり足元見たら数本の吸い殻と共に使用済みの避妊具があるじゃんな時にふと思ったんです、身体に沿わせるスモールバッグが欲しい と。ちなみにその時(蜜蜂と避妊具)の動画がクラウドに残っていたのでここに貼ろうかと思い見返してみたのですが、第六感的に自粛です。
で、その日は時間があったので自転車でいろんなところ見に行ったんです、とは言えいわゆるサコッシュ的なのって使ったことも無いし探したことも無いしで検討付かなかったんでとりあえず数件の百貨店をハシゴしたんですが釣果はゼロ。こんなん絶対勢いっしょ旅の勢いパリの勢いっしょとなんかしらの身体に沿わせるスモールバッグを買う気満々だったのですがいざ見てみると勢いと言えどピンとこないものは流石に選べず、唯一ちょっとピンときたのが数年前某社グループ傘下となってちょっと前にロゴが一新された(私は前の方が好き)老舗ラゲージメーカーの新作バッグだったのですが、欲望と価格帯の釣り合いが取れないのとやはりロゴが気になったので断念。結局何も選べなかったのですがその日に自分なりの一つの答えが出せたので良しとしました。
“身体に沿わせるスモールバッグもレザーが良い“
なんて思っちゃったら見つかるわけがないですよねぇ、しかもレザーとなったら自ずとクオリティが定まっちゃうし。結局自分のは出逢えず皆様への御提案が先になってしまいました。引き続きある人にとっては丁度良くある人にとっては足りなかったり持て余したり、人ぞれぞれの要望と欲望があって全て肯定されて然るべきなプロダクト、今回は身体に沿わせるスモールバッグをベルギーの至宝Delvaux社から二種と親愛なるHermes社から一種御提案致です。
New arrival,90s Delvaux small leather bag Blue & Dark navy,1988s Hermes small leather bag.
上からW17/H11/D0cm、W18/H17/D4cm、W17/H16/D5cm。いやぁ、小さいですね良いですねぇ。
SURR 福留
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Yves Saint Laurent Rive Gauche homme。
1965年にひっそりと始まっていつぐらいまで続いたんだろう、70年代が終わってクリエイションが細分化される頃に一旦無くなった(休止?)のではと思っています。そして今回御提案クリームプロダクトが1997年に再始動した頃の品なのでセカンドピリオド、こちらも変わらず弊店にとって最重要なモードクリエリションの一つです。
ムッシュ・サンローランが在籍し、しっかり師として君臨していた時代のエディ・スリマン(のはずですが、それよりも前の未記録クリエイションの可能性もあります)によるこちらは一見すると無垢で無機質で非デザインなようですが秘められる美意識とモードフィロソフィーは強烈で、久しぶりにこのチャンネルでドキドキできたなと嬉しく思いました。フレンチカルチャー特有のVゾーンのネックを少し拡大したりより構築的なスプリットラグランスリーヴを配置したり、なんでもないフラップポケットなようでしっかりと美的なカッティングを取り入れたりと、良い意味で着用時に大きく主張しないバランスながらしっかりとスタイル性に影響を及ぼすデザインの加減、これぞビッグメゾンに“在るべき“説得力であり存在感であり“デザイナーの仕事“、本当に感服しますし色々と考えさせられます。
New arrival,late90s Yves Saint Laurent Rive Gauche homme oversized design coat.
トドメは生地感。これまた写真に写らず実際に御着用頂かないとほとんど御伝えできない要素性なのですが、このようなオーヴァーサイズコートでは新鮮な裏地ゼロの設計によって異次元の軽やかさと揺れ感とシルエットバランスを生み出してくれるので前述の美意識とモードフィロソフィーと相まって一着の洋服としての存在感が計測不可能です。時代性とデザイナーの個性もあってかこの時代のRive Gauche hommeもまた後の00年代に繋がるミニマムなフィッティングが軸となっていましたから、このプロダクトもオーヴァーサイズコートでありながらそちらを向いていたのか、52サイズ表記にしてはだいぶと大きくない印象を抱くのもまた良い個性。46の御身体でも全然御提案叶うと言うか、ましてや逆に“ちょうど良い“感じになる可能性大です。
いやぁ、痺れる服って良いですね。
SURR 福留
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皆様緑色は好きですか、私は好きです。と言うか緑に限らず色ものが好きでして元々はSURRの空間がLAILA VINTAGEの名称であった時代は55%ほどがWOMENSクリエイションでモード史におけるそれらは特出して色彩が豊かなものですから、様々な美しい色と触れ合い続けることで色が好きになったことは必然であると思いますし、お陰様で自分が着る服も色合いの制限が無くなったことはとても楽しく思います。と言うか黒い服はほとんど持っていないな。
しかしながら気付いたら仕事用のペン、財布、直感的に気に入ってSURRに飾っている写真の一つが緑色だったので、そういえば植物も緑だし自然の景観を“豊かな緑“と表現したりとポジティヴな色だなと思っていつからか少しだけ特別な色になりました。皆様緑色は好きですか、私は好きです。
とか言っておきながらこちらの1998AWライトナイロンパデッドハーフコートと1995−1997sポコノパデッドコート、私のモニター環境ではほとんど緑に見えません。ちょっと不思議なグレートーンで贔屓目に捉えて前者がほんの少し緑がかって見えるかな程度、出ましたね写真に収められないシリーズ、改めて人の目ってすげーなシリーズ。皆様の環境だといかがでしょうか。
でも実物は緑です、特にハーフコートはしっかりと緑でもしかしたらコートはお人によってはほとんど緑を感じられないかもしれませんが私はしっかりと緑みを感じます。なんだ、緑みって。でもグレーかと言われたら違うんですよ、あるんです緑み。
New arrival,1998AW PRADA Uomo light nylon padded half coat and 1995-1997s PRADA Uomo pocono padded coat.
ライトナイロンでパデッドという絶妙な個性と1998YEAR特有の特に構築的なオーヴァーサイズのフィッティングでテーラードジャケットの襟バランスだけどテーラードジャケットじゃないハーフコートと、ポコノの屈強さ+パデッドという近年(特に2018年以降)特に定番的かつ象徴的にリリースされる構築の最初期オリジナルクリエイションでオーヴァーサイズながらやり過ぎていないあくまでクラッシックで自然体なスタイル性のコート。今回もいかにミウッチャさんが初期から完成されていたか、その才覚を存分にご体感頂けるそれぞれです。
明日はクリーム、当初は二着あったのですが既に一着旅立った(PARISで出逢った一着がPARISの方の下へ、有難い)ので一着です。
SURR 福留
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