美の闘士 / Diary1403
28.4.2026

パターンをフランケンシュタインよろしく訝しく繋ぎ合わせたりシームを意図的に分断し裏地を覗かせるという大胆ながらシンプルゆえ仰々しいロゴのように目を引かないモードの概念、この高位な目線もまたティエリー・ミュグレーという服飾史における重要人物の一人からしたら当たり前のものなのでしょうが昨今の多角的なヴィンテージの流れや多角的なアーカイヴという単語表現になるより遥か以前からヴィンテージとして,そして真のアーカイヴとして世界中の愛好家に熱く支持されていたデザイナーの一人であり、例によってウィメンズのオートクチュールやプレタポルテはまだ流通しているもののメンズのプレタポルテがほぼ皆無がゆえに男性に向けられたベクトルのそれを画像で目にしたり実物を目の前にする機会は25年前も今もほとんどなく、時間が経てば経つほど出逢えなくなってしかるべきなヴィンテージの世界でありながら“今も昔も全然ないから逆に今も昔も出逢いの確率が変わらない”という言語化するとちょっと面白い感じになるのがこのような弊店にとっての特級な存在であり、色々と商談がまとまった頃にドヤ顔で裏から出してくる存在であり(こういうことする人、結構多いんですよ。で、それがまた格別に凄いから悔しい)、出逢った次のコレクターに見せたら奪われそうになった存在なんです。まぁ奪おうとする気持ちは分かるけれども。

 

 

ということで90s Thierry Mugler hommeのレザーバイカージャケット。ミュグレーを御提案する機会は弊店においてあまりありませんが店頭においては“服飾を専門的に学ばれている方はきっと御存知”と言った捉え方でお話することが多いデザイナーです、もしくは今日に至るまでどこかで知る機会があったファッションLOVERか。後者は個人的には珍しい事例だしさらにミュグレーが好きという男性が居られたらかなり稀有と言うか“めっちゃ変な人なんですね!”と素直に思いますし口にも出しちゃうかも、だって猛烈に素敵な変な人だから。ミュグレーの本質的な世界観は本当に奇特でありだからこそモードデザインをアップデートさせたし服飾史に名を残すし今なお人々を熱狂させていますから素直にファッションを楽しんでいる過程でミュグレーを知り好きになった男性がいたら私は本当に変で最高に素敵でどんな人生を送ったらそう成るのか気になって仕方がありません。恐らくはとてつもなく純粋で動物的な感性を有していて、それはデザイナーとしての素養に近いのだろうと思うから。なにせ私はそれらを有していない。ちなみに服飾を専門的に学ばれている方は別、その姿勢と環境でミュグレーを好きにならない・尊敬しないことはきっと不可能です。

 

歴史が積み重なれば自ずと多数派と少数派に分けられますから、後者であったミュグレーが1975年に初めて発表した昆虫や獣や合成生物がモティーフとなったコレクションはパリジェンヌやパリジャンにとってそれはそれは奇特に映ったそうですが、自身を“美の闘士”と称した彼はそのまま邁進するどころかドンドンと進化して人々を納得させ熱狂させます。

なのでこのフランケン的であり分断されたレザーバイカージャケットは物凄く優秀。大胆ではありますがシンプルなのでモードデザインとしての尊さと稀有さは充分ながら現代の洋服として捉えた時に“普通さ”も漂ってくれるバランス感なのでシンプルに着易くて着こなし易くてシンプルにとっても格好良い、もう一度言いますがミュグレーの本質的なプロダクトにおいてこのバランス感は物凄く優秀です。

私はこれが生業で服飾を野生で専門的に学んできたので諸々を加味した御提案しか残念ながらできませんが、これは年間において稀に出逢える“そういう背景関係なく滅茶苦茶かっけえじゃん”の拳一本でバッタバッタとなぎ倒せるデザイナーズヴィンテージプロダクト、私なんかは先頭付近で真っ先に吹き飛ばされるモブ、おそらくは1ページの1/10のコマ割り中の隅の1ミリ実寸で書かれたら良い方でしょう。

 

 

 

 

 

New 90s Thierry Mugler homme leather biker desgin jacket

 

こういう存在のデザイナーズヴィンテージの品々をもっと沢山御提案したいし、しなくてはいけないマジで。仕事頑張ります。

 

 

SURR 福留

哲学デザイン / Diary1402
24.4.2026

ポケットを衣類の部品と捉えるかデザインの要素と捉えるか。ARNYSは間違いなく後者であり、なおかつ強いこだわりと自信と確固たる哲学を抱いていたのではないかと度々思う。

そう考えるブランドやメーカーは他にも沢山存在すると思うけど、彼らのそれはやはり一味も二味も違うし歴史と経験とおそらくは生まれと育ちに伴う説得力があるからこそ格別。当然かな職人技術が要されるがそれ以上に感性が圧倒的に要されるのでどこにも真似できなくて、もしかしたらなぞれるかもしれないが所詮はなぞるだけの一過性なのでそれ以上には辿り着けない、これまで散々っぱらやられてきたことできっとこれからもやられるんだろうな。

 

 

そんなポケットという名の部品である以上の哲学デザインが注がれたこのハーフコートもまた本当に良いプロダクト、今週の新作群も個人的にかなり充実しているけど単体でのご提案を我慢できませんでした。フワッと包み込むことを目的とした設計で身体へのストレスも皆無、でもカジュアル一辺倒と思わせておいて背中にひと匙のドレス感も漂う美しさもある、まぁ全体に漂うオーラが特級に美しいけど。砂漠のリゾート地を思わせるシックなカラーリングにヌルリとザラリとしたリネンのテクスチャーで改めて思いますARNYSって本当に生地が良い、言い過ぎかもしれないけどファッションブランドとして世界で一番良いのではないだろうか。

あまりこういうことは言わない方がよいというか、もしかしたら服屋として言ってはならない部類の話かもしれませんがこのジャケットは年齢を重ねた人,言ってしまえばおじさんに着てほしいと正直に言って思う。きっとARNYSもそう思って縫っていたのではないだろうかって、安い服ではないとか敷居うんぬんはあるかもしれないけれど根本的な思いだったり意図があったんじゃないかなって。なんとなくしっくりくるといった程度ではあるけれどその“なんとなく”ってかなり重要なんじゃなかなって最近度々思うんですよね。

 

 

 

 

 

New 90s ARNYS Paris linen coverall jacket

 

色々と考える,考えさせられる,考えずにはいられない存在だけれどもやっぱり圧倒的に良いプロダクト、正直言って邪念的なのがよぎることもあるけれど良いものは良いという感情はいつまでも大切にしたいし、ヴィンテージARNYSを目の前にすると素直にその感情になれるからシンプルに有難い。

ARNYSによるド直球なフレンチワークカバーオール型、特級に最高で最強に決まってるさ。

 

 

SURR 福留

よそはよそ、うちはうち / Diary1401
17.4.2026

いつも御愛顧くださりありがとうございます、SURR福留です。この度も例によってヌルリと、行ってきます!も着きました!も告げずに買い付けの旅順に出ておりましてこれを書いているのは全工程を終了し帰国便を待つ16日朝8時のシャルルドゴール空港、BGMはマリリン・マンソンです。

収穫に関しましては言わずもがなですので早速18日土曜日のOPENよりしっかりと御披露目致しますが、それらヴィンテージやアンティークの物理的なハントに次いで私にとって重要なのが捉え方や考え方のアップデート。硬水シャワーを浴び続けていると徐々に髪質がカールしてくるのと並行して異国にいるからこそ無意識のうちに辿り着ける思考がありまして、今回は特にユースカルチャーとSURRの在り方に関して心地良い着地点を見つけました。

特に調べていないのであくまで体感ではあるのですが買い付けの旅順においてユースカルチャー,若者,子供から少し経った人々を目にする機会が統計的に多いように感じられて、どの国・どの地区においても自身の年齢層と環境と趣味嗜好に素直に則った自然体な彼らや彼女らの姿,これはもちろん外見のファッションスタイルの話になりますね仕事柄 を目にすると“あ、いいねぇ”ってフラットに心から思います。それは2000年代になってから顕著になり続けているモードとユースカルチャーの蜜月の関係性から影響を受けているのは間違いありません。

私のとって最も解りやすいそれらの姿と在り方はSUPREMEのデザインチーム、SUPREMEを着こなす人々ではなくSUPREMEを生み出す側の人々です。彼らはSUPREMEを着ているのだろうか?着ていないこともあるのではないか、でも彼ら彼女らは徹底的に究極的にSUPREME。それは間違いなく自身の年齢層と環境と趣味嗜好に則っているからであると肌身で感じます。だから格好良いと思っても絶対に真似できないし冷静に向き合うと真似するのが野暮に思えるほどに個々が圧倒的なのですが、だからこそ裏を返せば自分のこれまでの生き方で彼らや彼女らと姿や形は違うけど同じフェイズに辿り着けるのだと、薄ぼんやりとふと思えたのです。

買い付けの旅順だとユースカルチャーの人々を多く見かけるし“いいねぇ”と思えるのでふとスニーカーに手を伸ばしたりスポーツジャージーが気になったりして良くも悪くも旅順スイッチが入っているがゆえに普段とは異なる判断に辿り着ける,時に辿り着いてしまうこともあって、まぁそれが買い付けの旅順の本質的な醍醐味の一つなのですが今回は上記の思考に辿り着けたこともあって無為に迷うことは無かったし迷ったとしても楽しむことができました、答えがちゃんとあったから。幼少時に親が言っていた“よそはよそ、うちはうち”って正しかったんですね、未だに気付きがあります、凄いぜ健一さん美和子さん。

 

ということでそんな気分でハントした品々を早速お披露目、ドレスってなに?カジュアルってなに?スポーツってなに?なんならヴィンテージってなに?みたいな感じで可能な限り一旦忘れて(取り払って)みようたいです。書き始めてちょうど30分、あと10分で搭乗開始なのでここらでやめときますね。

 

 

 

ここからは古川が明日お披露目する商品をご紹介致します。 

 

 

 

明日お披露目です 

機会ございましたら、是非宜しくお願い致します。 

SURR 福留

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