こんなのあったんだ / Diary1349
30.10.2025

 

ティンバーランドと聞くと、やっぱり一番に思い浮かぶのは定番のブーツですよね。 実際、僕も学生時代にアメリカのヴィンテージを扱うお店で働いていたので、ティンバーのブーツやウェアは日常的に目にしていて、当たり前の存在みたいに感じていました。 でも、このジャケットに出会ったときは正直びっくりしました。「え、こんなのあったんだ」っていう、思わず声が出るような新鮮さ。ずっと見慣れていたはずのブランドなのに、まだ知らない一面を見せられたようで、ちょっとワクワクするような感覚でした。 洋服に触れていると、知っているつもりのブランドから意外なアイテムが出てきて、「また新しい発見があったな」って思える瞬間があるんですけど、まさにそれ。ティンバーランドってブーツだけじゃなく、実は奥行きのあるブランドなんだなと改めて感じさせてくれる一着でした。

 

 

 

ワークの雰囲気を色濃く残しながらも、よく見るとフィッシャーマンジャケットをサンプリングしたようなディテールが随所に見られます。胸のポケットの配置やDリングはまさにその名残で、アウトドアの機能性とタフなキャンバス地が絶妙に調和しています。特に印象的なのが、前身頃にカーブを描くように配されたポケット。単なるデザインとしてではなく、閉じたままでも手を差し込めるナポレオンポケット的な発想が込められていて、実用性とデザイン性を巧みに両立させているなと。

 

 

背中に大きく仕込まれたポケットは、フィッシャーマンジャケットのDNAを強く感じさせる部分で、もともと釣りのシーンでは、濡れた道具や魚を一時的に入れるための仕様で、両手を空けたまま作業できるよう考えられており、だからこそ前面だけじゃなく背面にも収納を置く発想が自然に生まれたのだと思います。

裾に付いたアジャスターは、本来は動きやすさを高めたり、体に合わせて調整するためのものですが、現代的な感覚で着ると、細部のニュアンスとして軽く効いてくれる。

 

 

New 90s Timberland WEATHERGEAR multi pocket cotton jacket

 

サイズはMで、ほどよい余裕がありながら大きすぎずバランスよく着用できるシルエットで、キャンバス地も思ったより硬さがなく、羽織ったときに自然と体に馴染んでくれます。デニムでカジュアルに合わせてもハマるけど、あえて綺麗なスラックスに合わせると一気に雰囲気が変わって、ジャケットの魅力を違う角度から楽しめると思います。

 

 

SURR 古川

ジョッパーとオックスフォード / Diary1348
29.10.2025

街中にいたのかネットスナップで見つけたのかはたまた映画か、今となってはきっかけを忘れてしまいましたが数年前から乗馬ブーツをファッションとして履きたいと思うようになりまして、日本では全く見かけないもののフランスだとやはり御国柄か無いわけではないんですよ男性用の本物の乗馬ブーツって。もちろん沢山ではありませんよ、私の仕事環境では男性用の特に上質なファッションプロダクトを専門的に扱っているコレクターのもとならば数足出逢えるといったところでしょうか、まぁこれは御国柄と言うか文化柄でしょうね。この欲求においては乗馬ブーツ風ではなく本物の乗馬ブーツであることが直感的に肝要だったのですが、となると私の身体には合わないったら合わない。筒の部分が太過ぎたり長過ぎたりに加えてそもそもにおける足のサイズが大きく関わりますから自ら本物の乗馬ブーツに固執した結果、選べない要因となったのは本物の乗馬ブーツたるゆえんそのものという落語のようなオチだったものの、先日の旅順でたったの一足ではありますがようやっとファッションとして履ける乗馬ブーツに出逢うことができました。しかもParabootsの大元会社でありフランスにおいて無形遺産企業に登録されているRichard Pontvert社の一足という弊店においては奇跡とも言える個体であり、筒形状が独特ゆえこれまた面白いことに普段25.5cmの私の足でも26.5cmの古川の足でも心地良いというユニークなスペックに着地。もしかしたらこれが最初で最後のファッションとして御提案する本物の乗馬ブーツになるかもしれませんが、人生を彩る伝統的でありながら良い意味で馴染みのない鮮度に満ち溢れた靴として、是非にいかがかと存じます。

 

 

そのフランス文化に満ち満ち溢れた翌日に出逢えたのがこれまたフランス文化マキシマムな一足。革靴の会話において度々“最初の一足”的な話題になるのですが私は一貫して内羽根のキャップトゥを挙げてきました、まぁ本当の意味合いで強いて言えばではありますが。あくまで参考値でありそれに縛られる必要がないと言うか、それに固執することを私は良しとしませんし好みませんが知っておくことには意義があり縛られずに固執しないのはあくまで認識したうえでという気持ちな要素がTPOで、そのTPOを加味した時に当てはまりやすい・ある種有用性が高いのが内羽根のキャップトゥ、さらに言えば表革のブラックカラー。これが個人的に強いて言えば最初の一足に相応しいと思う理由です。それは個人の体感ではありますものの社会的に奇をてらった要素性が一欠片もないのでイコール誰にでも当てはまると思っておりまして、となると“世界中に需要なあるものには滅多に出逢えない、なぜなら一度手に入れたら手放す必要がないからだ”の弊店におけるヴィンテージあるあるが隅から隅まで当てはまりますから、本当に久しぶりです内羽根のキャップトゥ、さらに言えば表革のブラックカラー。しかもオリジナルシューキーパーとシューズバッグとBOXが付属した完全体状態、かつ一度数時間履いたのみ(ファーストオーナー証言)という条件を加味すると言うまでもなく初めての個体です。こんなことを言うと身も蓋もないのですが、このような条件をヴィンテージで探し求めるよりもとっととオフィシャルブティックに行って揃えた方が早いし確実ですが、十数年でもレザーポテンシャルは充分過ぎるほどに変化しますし、同じ意匠の内羽根キャップトゥ,オフィシャルの言い方だとキャップトゥのオックスフォードは存在しませんのでサイズ表記6Eの御足の方、今がチャンスです。そもそもにおいてとやかく言うまでもなくシンプルに滅茶苦茶格好良いですからキャップトゥのオックスフォードでブラックカーフ。

 

 

 

 

 

New 70s Richard Pontvert leather jodhpurs boots & 00s J.M.Weston cap toe Oxford black calf shoes

 

ジョッパーとオックスフォード、全然違う見え方と在り方ですが共にフランス文化マキシマム。前回のグリーンコートもそうですが、先日の旅順は本当に革に恵まれました。

 

 

SURR 福留

真緑のレザー / Diary1347
28.10.2025

弊店が愛し敬愛するヴィンテージカルチャーの一つにEast Westがあります。ちょうど10年前にささやかながら弊社の真のアーカイヴを交えたエキシビションを催したりと弊店では勝手ながら馴染みの深い存在ながら深淵まで御紹介するとなるとちょっとした小説ぐらいの文字量になりかねませんので、元々楽器屋だった会社が興したレザーウェアブランドのため正式にはEast West Musical Instruments Companyという長名であること,サンフランシスコに居を構えていたこと,当時のミュージシャンや銀幕のスターたちがこぞって愛用していたこと,突如現れたレザーテーラーリングという新たなファッション哲学によってその業界が盛り上がり結果的にパイオニアであったEast Westが10年弱で姿を消したこと,そして生み出すデザイナーも受け取る顧客たちもドラッグ愛用者が多数であったこと,そして弊店の感覚ではありますが服飾史を彩ってきたモードデザイナー全員が影響を受けた存在であること。触れるのはこれくらいに留めておきます。

控えめに言って伝説的なブランドであったEast West。前述の通りレザーテーラーという新たな哲学と称されることが多いかと思いますが私はそれ以上にモードなレザーウェアの原点がそこにはあると思います、バイカーだったりアヴィエイターであったりといわゆる防護服・防寒服であったレザーの洋服にファッションの概念を,後のモードデザインの源流を見出したのがEast Westであると。そして様々なモデルが存在しそれぞれに名前が付いているという素敵さでも知られていますが、私はこれまでそれぞれのデザインに過去のファッションカルチャーの気配を感じることはありませんでした。あくまでEast WestのデザインはEast Westから、それ以前には無いと思い切っていたのです。そしてそれはドラッグカルチャーという時代と土地の縁があって育まれたものであると。

ゆえに個人的にこの一着との出逢いは衝撃的でした、アレ?日本だと人気ランキングTOP10には食い込むであろうモデル,Winchesterじゃんか、がその実クラシックでオリジンなフレンチワークプロダクトだったのですから。

 

 

でも実際問題としてはEast Westメンバーがこれらフレンチワークだったりのカルチャーを見ていたか・知っていたかで言うと、私は見ていないし知っていなかったのではと思います。いわゆる御手本としてリソースとしてヴィンテージカルチャーをヨーロピアンカルチャーを探求していたか,追求していたか,勉強していたか、うーんどうなんだろうなぁ正直全然想像つかないなぁ。とはいえデザインチームを組んでいたのでその中にいたのかしら?フレンチワーク好きのドラッグ愛用者、うーん正直に言って分かりません。でもこれもEast Westが唯一無二過ぎてこれまでに一度たりとも頭の中で繋がったことが無かったのですが、考えてみると観察してみるとEast Westにおけるデザインラペルのサイズ感だったりバランスにフランス服飾史特有の大きな襟の文化を感じることができます。

 

 

 

 

 

New 50s French Work Government Worker sheep leather green coat

 

それと同時に単純明快にアラヤダこのレザーコート、グリーンだなんて素敵過ぎるしコンディションも良過ぎるしシルエットバランスとスタイル性も申し分無さ過ぎて最高!と心の中でガッツポーズを取ったのも事実です。これまで様々御提案してきたフレンチワークのGovernment Workerプロダクトですが、真緑なんて存在したんですねぇ。いやーシンプルに滅茶苦茶格好良い。

ちなみに実物からはきっと御想像以上に真緑を感じて頂けると思いますし、きっとその点もより一層楽しく感じて頂けるのではと思います。真緑のレザーコート、良いなぁ。

 

 

SURR 福留

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