ミウッチャの“好き” / Diary1350
31.10.2025

親愛なる敬愛なるミウッチャ・プラダ。一貫した哲学と美意識を貫き続けた彼女,ファッションデザイナーとして才覚を発揮するまでに紆余曲折あった彼女,特有の愛で服飾業界を包み続ける彼女にもまた他の天才や鬼才や奇才と同じく明らかなる“好き”が在りまして、いや彼女のそれは他よりも分かりやすいんじゃないかとすら思ったりすることもしばしばあったりするくらい彼女の“好き”ははっきりしているなぁと、皆様方にVintage PRADA Uomoを御提案するその日のために虎視眈々と文字通り彼女のクリエイションを見続けてきた私は幾度と無く思ったものです。

 

それは例えばイタリアンカルチャーらしくあるものの日本では馴染みの薄い,きっとまだまだ薄いですよね、な半袖セーターを一貫して製作し続ける姿勢に留まらずとあるランウェイのファーストルック採用したりとか、

 

 

これまでのクリエイションにおいて偶然では片付けられない頻度で登場し、今やブランドの象徴の一つと言っても過言ではないスタッズをとあるクリエイションにおいてはタキシードトラウザーの前面に文字通り星のように散りばめたり、

 

 

PRADA Uomo発足にあたり唯一外部職人に学んだ技術と哲学であるテーラーリング、“スーツが着にくいと思うなら我々の工房に来い。寝られるスーツを仕立ててやる”で御馴染みな世界最高峰の職人技術を吸収したうえで再構築されたミウッチャならではの明らかなる柔軟性のデザインテーラードジャケットであったり

 

と、彼女の“好き”は本当に心地良いほどに分かりやすく受け入れやすく、何よりも一貫したモード目線の美しさと格好良さと崇高なまでの上質な水準が秘められていて、いつ見ても着ても捉えても切り取っても成立するし圧倒的な唯一無二で在ってくれます。それらは言うまでもなく彼女が手綱をしっかりと握っていた時代,弊店というか私にとって2018AWまで、は濃い要素性として受け継がれ時にヘリテージ的な安心感と共にクリエイションを文字通り彩ってくれていましたが、それ以降はどうなのでしょうか。私はもう見ていないので分かりません。受け継がれていたらなんとなし嬉しい気持ちではあるのですが。

 

 

 

 

 

New Vintage PRADA Uomo 1998AW fleece wool design tailored jacket,00s Virgin wool short sleeve sweater & 2009AW pure virgin wool studz tuxedo trouser

 

ということでミウッチャの“好き”新作でした。

 

 

SURR 福留

こんなのあったんだ / Diary1349
30.10.2025

 

ティンバーランドと聞くと、やっぱり一番に思い浮かぶのは定番のブーツですよね。 実際、僕も学生時代にアメリカのヴィンテージを扱うお店で働いていたので、ティンバーのブーツやウェアは日常的に目にしていて、当たり前の存在みたいに感じていました。 でも、このジャケットに出会ったときは正直びっくりしました。「え、こんなのあったんだ」っていう、思わず声が出るような新鮮さ。ずっと見慣れていたはずのブランドなのに、まだ知らない一面を見せられたようで、ちょっとワクワクするような感覚でした。 洋服に触れていると、知っているつもりのブランドから意外なアイテムが出てきて、「また新しい発見があったな」って思える瞬間があるんですけど、まさにそれ。ティンバーランドってブーツだけじゃなく、実は奥行きのあるブランドなんだなと改めて感じさせてくれる一着でした。

 

 

 

ワークの雰囲気を色濃く残しながらも、よく見るとフィッシャーマンジャケットをサンプリングしたようなディテールが随所に見られます。胸のポケットの配置やDリングはまさにその名残で、アウトドアの機能性とタフなキャンバス地が絶妙に調和しています。特に印象的なのが、前身頃にカーブを描くように配されたポケット。単なるデザインとしてではなく、閉じたままでも手を差し込めるナポレオンポケット的な発想が込められていて、実用性とデザイン性を巧みに両立させているなと。

 

 

背中に大きく仕込まれたポケットは、フィッシャーマンジャケットのDNAを強く感じさせる部分で、もともと釣りのシーンでは、濡れた道具や魚を一時的に入れるための仕様で、両手を空けたまま作業できるよう考えられており、だからこそ前面だけじゃなく背面にも収納を置く発想が自然に生まれたのだと思います。

裾に付いたアジャスターは、本来は動きやすさを高めたり、体に合わせて調整するためのものですが、現代的な感覚で着ると、細部のニュアンスとして軽く効いてくれる。

 

 

New 90s Timberland WEATHERGEAR multi pocket cotton jacket

 

サイズはMで、ほどよい余裕がありながら大きすぎずバランスよく着用できるシルエットで、キャンバス地も思ったより硬さがなく、羽織ったときに自然と体に馴染んでくれます。デニムでカジュアルに合わせてもハマるけど、あえて綺麗なスラックスに合わせると一気に雰囲気が変わって、ジャケットの魅力を違う角度から楽しめると思います。

 

 

SURR 古川

ジョッパーとオックスフォード / Diary1348
29.10.2025

街中にいたのかネットスナップで見つけたのかはたまた映画か、今となってはきっかけを忘れてしまいましたが数年前から乗馬ブーツをファッションとして履きたいと思うようになりまして、日本では全く見かけないもののフランスだとやはり御国柄か無いわけではないんですよ男性用の本物の乗馬ブーツって。もちろん沢山ではありませんよ、私の仕事環境では男性用の特に上質なファッションプロダクトを専門的に扱っているコレクターのもとならば数足出逢えるといったところでしょうか、まぁこれは御国柄と言うか文化柄でしょうね。この欲求においては乗馬ブーツ風ではなく本物の乗馬ブーツであることが直感的に肝要だったのですが、となると私の身体には合わないったら合わない。筒の部分が太過ぎたり長過ぎたりに加えてそもそもにおける足のサイズが大きく関わりますから自ら本物の乗馬ブーツに固執した結果、選べない要因となったのは本物の乗馬ブーツたるゆえんそのものという落語のようなオチだったものの、先日の旅順でたったの一足ではありますがようやっとファッションとして履ける乗馬ブーツに出逢うことができました。しかもParabootsの大元会社でありフランスにおいて無形遺産企業に登録されているRichard Pontvert社の一足という弊店においては奇跡とも言える個体であり、筒形状が独特ゆえこれまた面白いことに普段25.5cmの私の足でも26.5cmの古川の足でも心地良いというユニークなスペックに着地。もしかしたらこれが最初で最後のファッションとして御提案する本物の乗馬ブーツになるかもしれませんが、人生を彩る伝統的でありながら良い意味で馴染みのない鮮度に満ち溢れた靴として、是非にいかがかと存じます。

 

 

そのフランス文化に満ち満ち溢れた翌日に出逢えたのがこれまたフランス文化マキシマムな一足。革靴の会話において度々“最初の一足”的な話題になるのですが私は一貫して内羽根のキャップトゥを挙げてきました、まぁ本当の意味合いで強いて言えばではありますが。あくまで参考値でありそれに縛られる必要がないと言うか、それに固執することを私は良しとしませんし好みませんが知っておくことには意義があり縛られずに固執しないのはあくまで認識したうえでという気持ちな要素がTPOで、そのTPOを加味した時に当てはまりやすい・ある種有用性が高いのが内羽根のキャップトゥ、さらに言えば表革のブラックカラー。これが個人的に強いて言えば最初の一足に相応しいと思う理由です。それは個人の体感ではありますものの社会的に奇をてらった要素性が一欠片もないのでイコール誰にでも当てはまると思っておりまして、となると“世界中に需要なあるものには滅多に出逢えない、なぜなら一度手に入れたら手放す必要がないからだ”の弊店におけるヴィンテージあるあるが隅から隅まで当てはまりますから、本当に久しぶりです内羽根のキャップトゥ、さらに言えば表革のブラックカラー。しかもオリジナルシューキーパーとシューズバッグとBOXが付属した完全体状態、かつ一度数時間履いたのみ(ファーストオーナー証言)という条件を加味すると言うまでもなく初めての個体です。こんなことを言うと身も蓋もないのですが、このような条件をヴィンテージで探し求めるよりもとっととオフィシャルブティックに行って揃えた方が早いし確実ですが、十数年でもレザーポテンシャルは充分過ぎるほどに変化しますし、同じ意匠の内羽根キャップトゥ,オフィシャルの言い方だとキャップトゥのオックスフォードは存在しませんのでサイズ表記6Eの御足の方、今がチャンスです。そもそもにおいてとやかく言うまでもなくシンプルに滅茶苦茶格好良いですからキャップトゥのオックスフォードでブラックカーフ。

 

 

 

 

 

New 70s Richard Pontvert leather jodhpurs boots & 00s J.M.Weston cap toe Oxford black calf shoes

 

ジョッパーとオックスフォード、全然違う見え方と在り方ですが共にフランス文化マキシマム。前回のグリーンコートもそうですが、先日の旅順は本当に革に恵まれました。

 

 

SURR 福留

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