数本のヴィンテージ・ウォッチをセレクトすることが出来ましたので、まずはその中から一本をご紹介させて頂きます。
美意識の高さと、それを可能とする職人の技術力と、それらを維持する実行力において、 Cartier ほどの高い品位を保つ存在には、長い歴史を振り返っても現代と向き合ってもそうそう出逢えないことと思います。
ジュエリーブランドとしてこの世に生まれて以降、世界中の名立たる顧客の様々な要望に応える過程において生まれた腕時計は、その形状が戦車からインスパイアを得たことから “ Tank ” と名付けられたカルティエを代表するアイテムの一つです。
男性用と女性用の2サイズで展開されていたタンクの文字盤は様々なデザインがリリースされ、そのほとんどが年代やシーズンにしか存在しないリミテッド・デザインであったため、腕時計という実用品としてのみならず、コレクタブルピースとして今なお世界中の人々を魅了し続けるのがタンク・ヴィンテージという存在。時代を越えて愛され、これからも愛され続ける名作であり、ラグジュアリーの象徴とも言える逸品ですのでかねてからご紹介したかったのですが、この度、やっと納得のゆく一本に出逢うことができました。
ミッドナイトブルーとブルーグレーの、イメージとして頭に浮かぶタンクとは全くもって結びつかないまさしくリミテッドなダイアル・デザインが、私の心を即座に射抜きました。
宝飾を専門としていたからこその美麗なリューズにクオーツならではのシャープなフォルム。物質として最高峰の完成度と捉えて然るべきな絶対的な美しさと、変則的で個性的なダイアルが醸し出すこの存在感こそ、私が考える “ SURR が Tank を扱う意義 ” でございます。
しかし、その個性も カルティエ の “ 背骨 ” あるからこそ成り立つというもの。オーセンティックなモノトーンやペーストーンのダイアル・デザインが完成されているからこそリミテッドとの対比が際立ち、それぞれが光りますし、そして何よりも欠かせないのはケースに注がれたカルティエの伝統的な一つの職人技術です。
925 シルバーの土台に 22 金を厚く厚くコーティングする “ ヴェルメイユ ” と呼ばれる鍍金。様々なカルティエ・アイテムで行われたこの製法は、冷静沈着で奥ゆかしい仕上がりから想像がつかないほどに高度な技術であり、その驚異的な水準の高さは現代のカルティエにおいても実現が難しいと言われているほどです。
光を均一に反射する当時のカルティエにおいて必然であり当然とされたコーティングと磨きの職人技術の、注視せずとも感じさせてくれる圧倒的な美しさは、現代において大変に尊い要素ではないかと思います。
80 – 90s Cartier Tank , for Men
“ カルティエ・タンクを身に付ける男性 ” といえば 1983 年にアーヴィング・ペンが切り取ったムッシュの姿を思い浮かべる方もいらっしゃるかもしれません。それが指し示す通り本品そのものが示す通りタンクは男性にとっても色気の権化。これからの末永いご愛用を心より御推奨致します。
SURR by LAILA 福留
03-5468-5966
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様々なスタイルより気に入ったワン・スタイルを毎日楽しむことを好み、極論毎日同じ格好であることに一切抵抗がないタイプです。
特にボトムスはその傾向が強く、幾つかのジャンルを循環させるサイクルを何年も続けておりまして、少し前から一人のデザイナーズのトラウザーを穿きこんでいたのですが、ヴィンテージデニムの新作が揃い、それをご紹介しお客様がお試しくださる様々なスタイルを目にしますと、私自身も案の定ヴィンテージデニムが穿きたくなりまして、楽しんでおります。
基本的には良い意味でオーセンティックであり、ある種どなた様でもお楽しみ頂ける世界観かと思いますが、不変的だからこそ、ヴィンテージデニムと調和する御姿を目にしますと純粋に掻き立てられます。しかしながら私自身、ヴィンテージデニム愛好家かと問われると別段そうではございませんでして、そもそも私にとってそれは好き嫌いを越えて在って然るべきと申しますか、ワードローブの一つであることが自然と申しますか。ゆえにきっとこれからもコレクターにはならず、ヴィンテージデニムを純粋な一着の洋服としてリアルクローズとして、そのスタイルが自分にとって格好良いと思えるか否かを最も重視して楽しんでゆくのだと思います。
この度は御自身に合う一本を求めて足を運んでくださるお客様や、予定していなかったものの出逢ってくださるお客様がいらしたりと、心から嬉しく楽しい限りでございます。僅かではございますが新たなメンバーのご用意が叶ったのですが、その中に類似の無い、いや類似があってたまるものかな一本がございまして。
年代を推測する要素はほとんど失われておりますが、デニム・テクスチャーから推測するに 60-70 年代 Big E 時代の 501 が土台となっているのでしょうが、各所に施されたアレンジはもはや酔狂の域で、表革, 裏革, ファブリックなどをマシンとハンドを駆使して縫い付けた尋常ならざるパッチワークのカスタムメイド。乱雑なようで整然と、推測や想像を嘲笑うかのように成立したこのバランスは何人のフィルターを経ているか不明ですが、段階的に行われたであろうそれにはやはり偶発性を多分に含んでおり、だからこそ私にとっては何より価値ある存在。
デザインとして独創的でありある種に独善的であり、スタイルとして際々に際立ちますが、501 の不変的なテーパードにパッチワーク・カスタム特有の微細な “ 歪み ” が調和する独自のシャープ・フォルムと、ヴィンテージデニムならではの奥深いテクスチャーから、充分に美意識を感じて頂ける一本として自信を胸にご提案させて頂きます。
なにがどうやってこうなったのか。しかしながらいずれにせよ私は、ここまで手間と時間とおそらく心が注がれた一本は幸せだと思います。
SURR by LAILA 福留
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