“ Y ” / Diary302
2.9.2016

キルティングやツイード、モノグラムやシェリーライン、馬や南京錠などデザイナーやディレクター、時に体制そのものが変わろうとも受け継がれるシンボルたち。1970年代に登場したこちらもまた今なお象徴的で在り続ける、時代を越えて受け継がれる様がなんとも心地良いですが、そもそもとして純粋にエネルギッシュであり、単純に格好良い。

 

 

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late 70s Yves Saint Laurent , “ Y ” boston bag

メンズモデルはいったい何年ぶりでしょうか。御無沙汰致しております。

 

 

SURR by LAILA 福留

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“maker” / Diary301
26.8.2016

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以前も軽く触れましたが、今期から新たなアーティストのヴィンテージピースをお披露目させて頂いております。存在を意識して以降じっくりと時間をかけまして、 3 足のみという限られた数量からとなりますが、私としては “ ようやく ” な心持ちです。

老舗, ジョンロブで技術を学び1987年に自身の工房を構えた彼ほどの次元で、古き良き文化と職人技術に真摯に向き合い、生活に則したリアルピースでありながら芸術的であり、 “ 自身の個 ” を “ 人々の個 ” へとダイレクトに昇華させた人物はいないのではないかと思います。
ラベルに施された “ maker ” という刺繍とその言葉選びそのものに、自身が製作者を担っていること、職人という名の表現者であることへの自負と決意が秘められているように感じられ、私はなんとも愛おしくてたまりません。

 

 

 

 

 

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他の追随を許さないほどに世界観が完成されているアーティストですので、そのヴィンテージピースと現代のピースには明確な共通項がございますが、この度一つのくくりで編集させて頂く時代のお品は、その実 “ 製作環境 ” が全く異なります。デビュー直後はロンドンで工房を構えていた彼ですが、翌々年に国を変え約10年という限られた期間のみその環境で製作を行っていたのです。

全行程を完全なる手仕事で行う事をポリシーとしている彼であり、今なお大きな魅力の一つですが、ことこの時代のシューズはそれらの気配と形跡が尋常ならざるものがあります。極限まで際に打ち込まれるステッチの、時に乱雑ささえも絵になるそれと、マッケイ製法によって成り立つフェミニンと形容できるほどの軽やかさ。革も驚くほどに滑らかで、時に木工彫刻のような幻想的かつ上質なものを用いておりまして、それと完全手仕事の構築が相まるフィッティングは、まるで “ 肌そのもの ” のよう。

究極的に繊細な履き心地とそれに伴うスタイルは、これまでレザーシューズに抱いてきた概念を覆すほどでして、アンティークの足型を原点とした独自性の高いフォルムも相まって、これまでに御紹介してきた様々なレザーシューズとは異なる新たな存在価値をお楽しみ頂けると信じております。

 

 

 

 

 

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2016 A/W new member

late 80s – late 90s Paul Harnden, shoemakers

 

偶然であり何より幸運なことに私自身も、以前に画像2番目と同モデルのレースアップシューズを手に入れる機会がございまして、それはたっぷりと楽しませて頂いております。様々なメンテナンスを時間をかけて施しましたので色調など変わっておりまして、ソール交換なども行っておりますが、引き続き My ベストシューズの一つとして愛してゆく腹積もり、しかございませんで。

 

 

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進化形態 / Diary300

2016 A / W のフルコレクションが始まりまして最初に抽出させて頂くのは、今期の世界観を決める要因となったキーピースの一つであり、 SURR 取扱いの最古年代を更新してくれた一着です。

 

 

古来から現代に至るまで礼服として親しまれてきた “ モーニングジャケット ” は、1850年頃にカジュアルな万能性とアクティヴィティーが求められ、スタイルの象徴であるテールを排して着丈を上げるに至りました。
“ ラウンジジャケット ” または “ サックコート ” と呼ばれた進化形態は、時に食事前のくつろぎ空間で、時に乗馬時の外套として親しまれましたが、更に時代を経て徐々に変化を遂げ現代のマストピース “ テーラードジャケット ” へと昇華しました。

原点の “ モーニングジャケット ” と現代の “ テーラードジャケット ” 。
この度のエントリーでは、その進化過程を繋ぐアイテムの萌芽期にあたる1850年 ~ 1870年頃に英国で仕立てられた “ ラウンジジャケット ” を御紹介させて頂きます。

 

 

 

 

 

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現代のテーラードジャケットと ( 当然ながら ) 様々な共通項を備えつつ、それらとは味わい異なる様々な要素。特に裾のカーブはモーニングジャケットの気配を色濃く残しており、今なお受け継がれるテーラーの法則である、最下部のボタンを留めない “ アンダーボタンルール ” の意義を存分に感じさせてくれます。

こちらが仕立てられた頃の英国はヴィクトリア朝と呼ばれ、今に通じる様々な技術力や文化が一斉に発展した産業革命の時代と言われておりまして、こと芸術や美意識に関しても同じくなのですが、それにしてもこちらの総シルク仕立てはあまりにも豪奢であり、注ぎ込まれた職人技術はあまりにも贅沢。各所に施されたハンドステッチ、身体を包む込むうえで適切かつ効果的なディティール、縫製、裏当ての配置。全てに意味があり、全てに美学が秘められていることを物を目の前にすると素直に感じることができます。

 

 

 

しかしながらこれら以上に、この一着をセレクトするに至った要素がございまして、まず一つはコンディションです。
ヨーロッパはアンティークの文化、服飾史の文化が盛んですので、こういった年代のアイテムは稀に出逢うことができるのですが、100年弱、ましてやそれを遥かに上回る時代を経た洋服のほとんどは、それが “ 過ごした時間 ” の影響を色濃く受けています。
越えた時代の長さを鑑みれば当然なのですが、その生地は決して未着用に近くあろうとも、強度面と何よりテクスチャーが醸し出す “ アンティークらしさ ” の香り漂っているがゆえに私のご提案したいと想うリアルクローズと調和しないことが多く、セレクトに至る機会は少ないです。
しかしながら本品にはそれが皆無でした。もちろん風合いは生じておりますが、これまでに目にしてきたそれらとは一線以上を画す “ 古さの無さ ” でして、本当に驚かされました。またもや無意識のうちに微笑んでしまったのは良き想い出です。

そして、何より最大の要素はシルエット。手掛けられた時代の文化や通念などの感覚器官が現代とはあまりにも異なりますので、 “ アンティークらしく ” 感じてしまうのはこれまた当然なのですが、その中から現代的なバランスを取捨選択することを念頭に置いてきましたが、ここまで古い年代で、ここまでモダンなシルエットは初めてでした。ショルダーライン、ボディライン、スリーヴライン。全てが約 160 年という時間の概念を忘れさせてくれるのです。

 

 

 

 

 

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1850 – 1870s Victirian silk lounge jacket

私自身、アンティークを “ アンティークらしく ” 着こなすことはいたしませんでして、SURR という空間を通してもそれを御推奨しておりません。 ( アンティークという言葉を他に替えても同じくです )
本品は服飾史を大いにはらんだアンティークらしい一着ですが、それを踏まえた上でも現代のリアルクローズとしてご提案できる、ご提案すべき一着に感じました。ここまでの要素が揃うアンティークジャケットにはもう出逢えないであろうと思うといささか以上に心寂しく想うのは正直な気持ちですが、それでも、だからこそこの一着に出逢え、このように御紹介出来たことを心から幸せに想います。

 

 

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