そして、同日に同コレクターさまの下で出逢えた同じく 1930 年代にフランスで産まれた一つに私は心は掻き乱されました。これまでに幾つかのアイウェアを愛用しどれも異なる方向性で等しく惹かれてまいりましたが、その中でも私の心に最も残っているのは左右対称のプレーンなオーバル・フレームでして、それは数年間愛し続けた末に私の中で生じたとある理由から一時休止せざるを得ない結果となりましたので、その後より同条件を探し続けても一向に出逢えず今に至っているのですが、それと全く同じな一つに出逢い、慌てふためき自身の眼鏡レンズを擦ったりスキットルからぐいと呑んで一息ついてみたりとしたものの、決して幻なんぞではありませんでした。私がこれまでに最も愛し長年追い求め続けても一切出逢えなかった左右対称のプレーンなオーバル・フレームが 2019 年 6 月 22 日、確かに在ったのです。


もちろん実際は鼻当てが付いていたりフレームに装飾性が注がれていたりと私のそれとは異なりますが、しかしながら全体の構築, フレームの縦横比やブリッジの調和などはかつての愛用品と極めて極めて酷似しておりましたので触れるのに一種の恐れすら抱きました。素材や要素によって異なる印象には常に舌を巻きますが、本品におきましてもそれはそれは見事なものでして、14K を用いたゴールドフィルド製法による従来の鍍金よりも約 200 倍の厚みを有した, 金無垢に極めて近しい素材表情の泣く子を黙らせるほどの強さ, 残酷なほどに美しい存在感に呆れるほどに惹かれ、更に施された装飾性にとどめを刺されました。1900 年代初頭から 1930 年代頃にかけてのアイウェアでは金属に装飾を施すことが多く ( それこそ Oliver Peoples が取り入れた主たる要素です )、細やかに刻まれる紋様によって高い芸術性を発揮する職人技術に基づいた世界観なのですが、本品におきましては細やかかつ豪奢に行えたはずのそれらをフレームと並行して流れる二本のラインにあえて留めておりまして、 “ アンティークらしく ” ありながら “ 現代的 ” というこれまた複雑な矛盾が生じているのです。
しかしながら、なぜプレーンオーバル・フレームに出逢えないのか。 私は本当に不思議に想います。金属によるアイウェア自体はヴィンテージやアンティークの世界における不動な存在であり、ボストンやサークル, 稀にスクエアやハーフリムなど装飾性在る・無い問わず出逢えるにも関わらず、左右対称のプレーンなオーバルには一向に, 本当に一向に出逢えませんで、“ ここに在るぞ ” とどなたか御存知でしたら心から御教え願いたいと心から想うほどでして ( 私がお迎えにあがらせて頂きますので ) 、“ なぜ ” の背景は不勉強ながら存じあげておらず、そもそも珍しくない存在と言われたらそれまでなのですが、私にとっては本当に謎な存在です。そして、左右対称のプレーンなオーバルフレームを顔に乗せた時に抱く, 正直に申しあげまして過去数年に渡って私的に愛用しておりましたので主観ここに極まれりですが、金属によるアイウェア特有の知的さと柔らかさと共に在る強烈な怪しさの中毒性から、私はやはり永遠に抜け出せなさそうです。知的である。優しさが在る。繊細さと美しさも在る。 ( 御人によっては ) 色気も在る。しかしなんと言ってもとにかく怪しい。妖しいではなく怪しい。

30s French eyewear, 14KGF oval flame.
一昨年の同窓会時期だったでしょうか。友人たちと食事中にふと他人からどういう印象を抱かれたいかという話になりまして、“ 面白い ” であったり “ 可愛い ” であったりが挙がる中、私は遥か昔より一貫して “ エロい ” と想われたがっていることに気付きました。それは紳士性であったり懐の深さであったり純粋な経験値であったりと幾つかの要素が調和して成立することと想いますが、欠かせないのが 怪しさ であると考えます。皆様方が社会に属するうえで御自身らしく居られ, 充足心に満ち溢れて心が豊かになり未来への活力を得られるようなアイウェアと出逢えますこと、陰ながら心より願っております。
SURR by LAILA 福留
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まず始めに。
通常は月曜日に御休みを頂戴しておりますが、来る 7/15 は祝日につき営業させて頂き、翌 7/16 ( 火 ) に代休を頂戴致します。御認識ほどお願い申しあげます。


自身が身に着けるものに現在の品でなくてはいけない, 過去の品でなくてはいけないという制約は設けずに、新古問わず惹かれる存在を選んでまいりましたが、二つの要素はなぜだか過去の品, いわゆるで申しあげるところのヴィンテージやアンティークのみという人生を歩んでおりその一つがアイウェアでして、まず始めに中学生になった初日から視力矯正のため眼鏡をかけ始めたのですが、確か 16 歳だか 17 歳だかに眼鏡を道具としてではない要素として捉え、自らの意思で “ これ ” と選んだのが50年代フランスの職人技術による一つでして、以降機を見ては新たな顔を探して新古問わず眼を配ろうとも惹かれるのはヴィンテージやアンティークのみで今に至っておりまして、そのために弊店におきましても, そもそもにおいて旧 LAILA VINTAGE 時代におきましてもアイウェアの類は欠かさずに御提案させて頂いておりましたが、近年のそれら存在における ( 私が感じる限りでの ) 社会的地位の変化によってここ数年は新作の御提案が全くもって叶っておらず、昨年のニ十本が大変に大変に喜ばしい御披露目でございました。アイウェアを身に着けたいと想う方々が一層に増えることもヴィンテージやアンティークのそれらに対して興味を抱かれる方々が増えるのも心から良いことであり愉しいことであり嬉しいことである一方、直接的にせよ間接的にせよ御提案の機会が少なくなってしまうことは諸刃の剣であり自身の力量不足を痛感せざるを得ない大剣で、それらの傷があまりにも痛かったがためまたもや人と人との繋がり, かねてより御協力・御愛顧くださる各国の皆様方に助けて頂いてしまいまして、今期は八点に出逢うことが叶いました。皆様方の御尽力と傷の癒えに心より御礼を申しあげます。

私は職人技術が関われば関わるほどその品に対しての対価上限がなくなり、かつ新古問わず惹かれるものには惹かれる中で職人技術が関われば関わるほど過去の品における素朴ながら実直で丁寧で, 暖かみと愛情溢れる香りと気配一層に惹かれ心からの敬愛を抱いてきたのですが、この度の新作群にてそれを改めて感じることができまして、例えば 1987 年に設立され近年一層に躍進されているメーカーの御手本となった年代であり姿が極めて近しい御品においてそれらとは一線を画す曲線的な美しさ, 極地的な形状の繊細さを感じたり、これは真に偶然なことで眼を疑ったのですが、私がかねてより愛用していました 60 年代のフレームと極めて近しい 30 年代のフレームが、私のそれと同じようでこれまた極地的に繊細な造形美を有していたり、当時においてその国の職人たちの間で密かに行われていた技術力競争意識的な構築性に出逢えたり、かねてより最上級に敬愛するメーカーであるがゆえこれまでに数多く, もしかしたら初代店舗の地下にあるアーカイヴピースの数より多かったりするかもしれないほど、の御提案をさせて頂いてきたにも関わらず、過去一点しか無かったメタルフレームに遂に出逢えたりと、私にとって八という数字が八以上の価値を有すると心から想うことのできる品々でございました。




Newarrival. Vintage & Antique eyewear.
1920年代から1990年代に分布し、フランスより六点, 英国より一点, 米国より一点で計八点となります。元々は “ 道具 ” であった存在が、様々な思惑と時代の変化によって身を飾るため, 愉しむための “ 要素 ” となって現在に至るアイウェアの新作群御披露目の御報告でございました。御興味頂けましたら是非にと想います。
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私と “ その存在 ” は数年前、英国のややばかり外れに居を構える、一見すると少年のようでありながら瞳の中に成熟を飼い慣らした、二人の子供と妻を愛する物静かで優しいコレクターのショールームで出逢いまして、“ 製作されていた時代における一つの側面を明確に現わしながら、極めて高い品質を有する ” といった第一印象と、単純を面白いと想えた看板名をきっかけに弊店にて御提案する区分の一つと成りましたが、現在に至る過程で僅かながら学ぶことができたなにがしを含めるとまた印象が変化しておりまして、 “ それ ” が存在していた 1982 年から 1992 年は服飾史において、非常に柔軟性に富んだ創造力を愉しみながら表現する人々が居り、それを社会が愉しみながら受け入れる土台があった時代であり、だからこそ当時に製作された品々や作品群は現代の製作者や表現に影響を与えている、とざっくり申しあげまして私はそのように捉えておりまして、皆様方の中にも居られることと存じますが、その時代の広告や雑誌表現や写真家の作品などに今なお強い求心力, 今だからこその新鮮さや美しさを感じられることがありますが、こと “ その存在 ” が当時に発表していたそれらは私にとって、完全無欠に当時の空気そのままに感じられる, はっきりと申し上げまして新鮮さや美しさよりも 27 ~ 32 年前であるという “ 古さ ” が感じられる数々なのですが、そもそもにおいて “ その ” 品々は、例えば恋人に 貴方はどこが良いと想ってその服を選んだの? と問われたり、同僚に どの点が良いのか? と問われることが正解と申しますか, 時代に取り残された空気を自分の意思で選ぶ意義と申しますか、その問いが大多数であり, その意義が偏愛と成ることを理解したうえで例え 1/100 や 1/200 の確立であろうとも とても素敵だね と共鳴してくれる方々と向き合いたいと心から想えたと共に、なにより “ その ” 品々がどれも見事に上質であったことに衝撃を受けておりましたので、後々の学びで当時の広告や雑誌表現の資料に出逢えた際、それらから新鮮さや美しさよりも時代に取り残された古さを感じたことは、私にとって何も違和感のない至極当然な感情どころか、より愛したいと想える実に実に良いきっかけでございました。



“ それ ” は社会においてきっとデザイナーズヴィンテージという立ち位置なのだと想いますが、表現における方向性や様々な文化と向き合う姿勢ならびに取り入れ方を現実的に品々にて認識すると一概にそのくくりに収めて良いのか悩みつつ、“ 男性の在り方と品質に真摯に向き合う ” という存在の丁度良い形容詞が想いつきませんので引き続き弊店でもデザイナーズヴィンテージとして御提案させて頂いておりますが、この度の新作における一着の物質的な存在感と触れ合うとやはりその立ち位置の複雑さを再確認致しまして、鉄道労働者の世界から拝借した縞模様を極めて活動的・効率的な調和で設計しつつ、特出して古き良き時代の, それこそ効率とはかけ離れた職人技術を真にさりげなく注ぎ込み、王道の設計ながら各所を繊細に調整し、厚手なシャツのような素朴で上質で不思議なほどに軽い綿で仕上げたその一着は、やはり一概にファッションデザイナーによる御品ともクリエイターによる御品とも, 単純なヴィンテージ・ピースともカジュアル・ピースとも言い難く、30年前後以前の空気を漂わせながらも, 仮に雑誌に載っていたとしたらその世界観はきっと時代に取り残された古さを感じさせるのでしょうが、純粋にこれまでと同じく心から胸を張って “ 現在の装いとして是非に ” と御提案させて頂きたいと想える、私にとって複雑であり独特でありながらどうしようもないほどに惹かれる上質な個の在る男性に向けての一着です。


Newarrival.90s Best Company light cotton jacket.
SURR by LAILA 福留
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