ミリタリーって今在るだけですか、と店頭でお声を頂く機会が多く御座います2019ssシーズンは例年に増してミリタリーウェアという狭き区分へ注視頂いている御様子を拝見致しますので勝手ながら誠に以て嬉しい限りで御座いましてシーズン初め遠回しに綴らせて頂いたように情報のみでパッケージされていないと再確認させて頂きながら取っては過ぎ去られていないと一安心しながらお客様がガバッと羽織られる御様子を嬉しく有り難く拝見させて頂いておりますがそもそも狭き区分と謂いましても、国や時代や歴痕によって存在していた(している)衣服も多種多様千差万別ということで基本的には広域区分と存じながら既存のフォーマットやら時の経過と共に厳しくなる一方のマーケットに踏ん張って居座りさせて頂きながら引いて眺めましても世間一般的で謂うところの 稀少 である個体達が 貴重 であるように高額高値で取引されてる様子にとんと 服 の領域を越えたディープ・マーケットのような印象を拭えないのはアンティークもメゾンも然りで御座いますがやはり ミリタリー という特質区分が故に突出して然う視えるだけで御座いますが、だからこそと申しますか、フィルターの枚数を増やす必要も一枚を分厚く設ける必要性も大切にさせて頂いておりますもので基本的に広域区分と存じながら狭き狭き区分へと自らの首を締め上げて苦しんでおりますところでご質問に対する回答ですが誠に申し訳ありません、ミリタリーは今在るだけで御座います。
けれども昨年9月のように6個体前後じっくり御考察頂く機会をコンスタントに設けさせて頂きたい心持ちは何もミリタリーに限ったお話では御座いませんがミリタリーの美味たる濃厚性質や芳醇な風情、雄々しく迸るエナジーは専ら衣類製作にあたって限定された目的性と快適性と合理性に叶う特有性と存じますしメゾンや近代美学にはない服飾性質で御座いますしワークウェアに内包されるかワークウェアが内容されるかは追究の必要も御座いますがともあれ、広域な性質としましてはこれ以上ないヘヴィデューティー・ギアと或いは勝手ながら2019ssメインテーマに掲げさせて頂いている手前、ミリタリーって今在るだけですか、のご質問にもう心の底の底の底より腰を折らせて頂く以上現状の我々に出来得る行いは御座いませんが、そこまで苦しみ抜く具体的項目のひとつに引き続きしつこいようで誠に恐れ入りますが コスチュームに成ってはならない があまりにも明確でありますしマーケットで謂うところの稀少個体ゆえの貴重個体が基本的にモダンプロポーションを備えているかは極一部を除き追究の必要は御座いませんしつまりは、2019年を生きる少年.青年.男性すべての紳士様へ、美味たる濃厚性質や芳醇な風情、雄々しく迸るエナジーを現代の目的性に沿って袖を通して頂けるかにおきまして専ら、現代に沿って総合的な均衡が成り立つ御姿、御作りであること以上の厚いフィルターなど用意も準備も御座いません。
御縁叶った個体がマニアックレンジであるならば翻訳どころか重訳も必要になりますが基本的には、製作数や採用年代に起因する稀少性質がゆえの貴重性など吸引力が決して衰えないメカニック掃除機の説明書くらいそっと御査収頂ければと憶いながら例えば翻訳するところの1940年代バイク巡回隊員に向けて製作された本作でありますし重訳するところの、コンパクトな肩廻りとエポレット下部7cm正確に打ち込まれたダーツ,ステッチによって制御された前振りのないフリーダムスリーブに起因する魔術的なアームフォームの実演を最大の注目点とする他、ステッチを打ち込まず見事に立ち上がる襟は360°首回りを覆うように起立するネックウォームの役割とフィジカルな木綿材質、操縦中ベルトが巻き込まれないよう背面一カ所に縫い込まれたディテイルワーク並びに全体のボリュームを調整頂ける3カ所のベルトワーク総じてミリタリー部門ではなかなかお目にかかれない産地特有の 設計 その無垢なフレンチシズムと美しさに類い稀なるエネルギーを感じずにはいられない美味、いえ紛れもなく珍味で御座いまして皆様、ミリタリー今在るのみで御座います。
1940s France military motorcycle trooper coat
SURR by LAILA 小林
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既に本人が去ってだいぶ経つ現在とそれ以前、更に本人が在籍していた時代も設立年の 1960 年から 2008 年の勇退に至るまで Valentino の在り方は常に変化してきましたが、ただ一つ言えるのは Valentino Garavani 氏はイタリアに留まらず服飾史そのものにおいて欠かせない存在であり、私が一つ強く強く想うのは氏における紳士服を遡った時に感じる本当に本当に心地良い品質への追及心と創作に対する探求心と、彩りや華やぎという感性の豊かさでして、それを論点と致しますと現代の Valentino とは印象が大きく異なりますが私にとっての真実は遡った時に得られるそれらであり、嗜好としてそれ以上も以下も不要でして、氏は “ 不完全であることが完全である ” という信念の一つを心に秘めていたのですが、私が想う限りではその信念の根本にある “ 考え方 ” は私の極めて “ 私的な考え方 ” に非常に馴染み深く感じられるがゆえに心が暖かくなると同時に、それを踏まえたうえで氏における紳士服を遡ると私的な考え方の一つの枝分かれとこれまた私が想う限りでこれまた極めて近い親和性を感じざるにはいられません。
それは老いたものや枯れたものと美麗なものや華やかなものが共存し、互いに影響を与えて成り立つといういわゆるで言うところの “ 侘寂 ” なのですが、氏の初期時代の紳士服からは溢れんばかりのそれらを感じることができまして、いわゆるで言うところの侘寂という概念を感じたがゆえに Valentino Garavani を愛したのか Valentino Garavani を愛したのちに侘寂を感じたのかは今や卵が先か鶏が先かですが、いずれにせよ上記の全てを差し置いてもやはり氏の初期時代の紳士服には強い求心力があるという解にしか辿り着きませんが、ただ一つ寂しく想わずにはいられないのが、なかなか出逢えないという明確かつ残酷な現実です。
1850 年頃に “ 負傷者が着辛い ” という理由から前面正中線を切り、ボタンを取り付けたことで産声を挙げたカーディガン 7 世発案の衣類、カーディガン。その純真無垢な起点ゆえの機能と美を至極丁寧に両立させたそれはヴィンテージの世界に数多在るにも関わらず弊店では御提案の機会が少なく、一個人的な感想と致しましては現代の品において丁度良い着地点の一着に出逢える機会が少ないがため双方において心寂しく欲求が満たされることのない鬼門の一つでございます。カーディガンはどのような存在立ち位置なのか、ふと考えることがございまして、私は不変的なものや機能と美を至極丁寧に両立させているものが好きなので存在としても実用品としても心から愛しているのですが、もしギャルに おじいちゃんじゃね? と言われたら素直に そうだねぇ と心からの微笑めるでしょう。カーディガン、不思議な存在です。しかしながらきっとギャルも現在人気の俳優さまなどが着ていたら かっこよくね? と言うのでしょう。今は誰が人気なのですか?ちなみに私が一番好きな俳優は萩原 健一です。
70s Valentino uomo, wool cardigan
“ 編み ”という行為, 工業性において極めて素朴で実直かつ品質に対する高い意識があってこそ実体化した氏の芳醇過ぎる, 良い意味で異端的とも言えるほどの創造性。いつまでも刺激的であり前衛的ですらある彩りや華やぎという豊かな感性を収めた入れ物は本品においてカーディガンという不変的 = クラシックな衣類でございました。私にとってこれは、それこそ不変的である時代や国や文化を越えて心に響かせることのできる概念の侘寂でございます。
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先日の一着と同じく既に存在しているがゆえに “ 当たり前 ” と想って仕方なしなのですが、としてもこの設計にはいつも圧倒的な感動ならびに感心せずを抱かずにはいられませんで、その理念と経緯にはその国が持つ特徴と個性があり, 設計者の知的な理想形があり, 機能的であるか否かという絶対的な感覚がありまして、そのように高純度な要素が混ざり合った結果として産まれる一品の有機的な解は前述のような圧倒性を有するのだと様々なヴィンテージ / アンティークと触れ合う過程で気付くと、そして稀に現代の品において稀に出逢うと頭ではなく心で感じて極めて極めて豊かな心持ちになりまして、それに気付けた, 出逢えた喜びと豊かな心持ちを親族以外にも伝えたい、僭越ながら伝えて共感したいという単純明快な起点から始めって現在に至るのが私の生業なのでございます。
本日は SURR において幾度か御提案させて頂いた同区分でありながらまた異なる御品で、過去には純粋品であったり警察のための変則品であったり、国際連合軍のための変則品であったり名も無き個人が手を加えた変体品であったりと、以前より御愛顧くださっている中には御存知な御方もいらっしゃるかもしれませんが、私的に愛しているという不肖な個人感情がゆえの広義に捉えて同区分で 5 着目の、正確には同区分の変則品である初めての一着を御提案させて頂きたく存じます。
機能美的なポケット達と正中線に施されたジップとスナップという複合的な提案、その土台となる防水性を備えた綿という英国の文化が集約した本品は同区分において元々はバイク乗りのために設計され数多の愛用者を生み出し続けています。前述の構築はもはや本品同区分という入れ物からもミリタリーという入れ物からも飛び出し、おそらくは完全なる市民権を得たであろう衣類としての見た目であり設計における仕様ですが、 “ バイクに乗る時に着用するのだ ” という純真無垢な目的性と、英国という土地と個性を踏まえたうえで機能衣類を産みだし続けてきた Barbour 社の理想形に則ったこれは、市民権に則ったそれらと似て非なる仕上がりであり実用性であり存在感であることを僭越ながらここに明言させて頂きたく存じます。全ての要素ならびに魅力は静止画でも文字でも表現しきることが叶いませんので、実物を御覧頂かない限り, 逆を申しあげますと御覧頂ければすぐに御認識頂けるのではないかと想える情熱的な力を有しておりますが、実用性に関しましては実際に生活を共にして頂く必要性が私一個人の想いとしてはぬぐえません。ふと PASMO やなにかしらのガジェットをポケットに入れて頂く際や取り出して頂く際、ふと寒さや厚さを感じて開け閉めして頂いた際などに、手の入れ易さやそもそものポケット位置の秀逸さ、着用感覚の万能性にきっと心地良い驚きと愉しさを感じて頂けるのではないかと、僭越ながら私的感情も併せましてそれはそれは強く想わせて頂いております。
ここまでが同区分そのものの御紹介で、ここからが本品における同区分の変則性に関して。本品 INTERNATIONAL SUITS は前述の通り警察であったり国際連合軍のために特別製作された経歴がございますが、こちらは以前に御提案させて頂きました国際連合軍のための品でありながら、以前とは異なる色調にて仕上げられた一着でございまして、それに伴う特異性には静かながら確かな求心力と存在価値がございます。以前の一着はいうなれば純粋品である INTERNATIONAL SUITS の色調をそのままに要素を調整させたのに対し、時代的にはその後に製作された本品は色味を暗い緑みの黄色 = 同社における象徴色へと昇華させました。ゆえに同社の代表作であり象徴色にも関わらず同社らしくない非象徴性を感じるという、世にも不思議な物語。
late80s Barbour, INTERNATIONAL SUITS for NATO
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