“ そうだね、いずれ飽きることへの恐怖心が強いかな ”
旧友に新恋人生活を問うた時に出た答えは私にとって少々以外であったがために一つの疑問点と申しますか、想いが芽生えました。例えば新たな洋服を手に入れたとして、その瞬間はきっと多くの人々が喜ばしいと感じ、明日着ようか, なにと着ようか, あれと組み合せようかなどの愉しい妄想が湧き上がることと想いますが ( 少なくとも私は猛烈にそうです ) 、時間が経ちそれこそ妄想を現実として体験などすることによって一番最初に感じた高揚感は失われ別の感情に変化することでしょう。それはある種自然なこととして受け入れると同時に私は、その高揚感が失われることで芽生える新たな感情, 当初のそれが無い替わりに、その一着が自分の人生に欠かすことのできない存在であるという感情 = 自分にとっての新たな存在価値 に大いなる意義を感じるがために前述の旧友の恐怖心は疑問と申しますか、初期衝動が失われることで新たな捉え方や価値を有する存在に変化 ( 私は昇華と想う ) することを愉しむ方が、なんと申しますか生きていて色々と、なんというか愉しいのではないかと想った次第です。
このように私は、一度御縁あった品々は長く愉しみたい性質なのですがそれら個々に対する感情はその年々で異なり、そのきっかけとなるのははっきりと申しあげますと御客様方でして、例えば今期の My Best テーラードジャケットは唯一有するカシミアの一着で、それはもちろんこと先日に御披露目させて頂きました Sartorial の品々を皆様方に御覧頂き, 幾人かに袖を通して頂いた御姿を拝見した以外にきっかけはございません。それはイコール私のどうにも抑えられない, 情けないほどに抑えられない, あれ年々抑えられなくなっていない?な欲求である “ 今欲しいもの ” に繋がりまして、ことカシミア・テーラードジャケット部門におきますと既に有する一着が明るめな色調の総柄になりますので、二着目は濃い色調だな, 無地でも良いな, Brioni のダークブラウンなんてもう … と独り言ちているのですが、元々探しものに限って見つからないの法則が在るうえで、更に存在確立の低いカシミア・テーラードジャケットですので出逢える確率は極めて低いと私のフォースが囁きます。
このように御客様方から刺激を頂いて、それを投影できる品を既に有していれば相当にマシな方でして、今期は更に同じくの理由でハーフジップのセーターが欲しいのですが、それはまだ手持ちにございませんでほとほと困り果てている次第です。素朴かつ仰々しくないながら確かに上質で, 構築にクラシック性があり古典的なようでどこか現代的な装いで, シャツに重ねても良いし素肌にそのままでも良いような一着を探し亡霊のように彷徨い歩いているのですが、なかなかどうして叶いません。このようにイメージが先行してしまうことは私にとって地獄以外の何ものでもないのですが、方々を旅して恋に落ちた品々を皆様方に御提案させて頂く私の生業においてこの地獄の循環は避けられませんでして、今日も今日とて御客様方から陰ながら独り勝手に刺激を頂いて、その陰に潜む新たな地獄循環に独り怯えつつ時間の経過が不明瞭な空間で独り過ごしておりますが、自分にとってこれぞな品々との出逢いは人生において極めて大切な要素で、いずれ初期衝動のような高揚感は消え失せようとも、それらが人生に欠かせない存在と成り身体に沿わせた時に確かな喜びを感じられ、もしこれが無くなったら生きていけないと想えるほどに愛する存在に昇華することに、そしてそのような品々・存在が徐々に揃っていくことに喜びを感じますので、引き続き物欲は衰えることはございません。
地獄循環となるイメージ先行型物欲におきまして、もうどれくらいになるでしょうか, 五年くらいでしょうか、出逢いが叶っていない存在として冬の紳士的なコートがございます。これに関しましては正直もうほとんど諦めておりまして、所有する唯一のコートに毎年袖を通してお茶を濁しております。と申しましてもおそらくは十五年ほど愛用しておりますので、これが無くては生きていけない大切な一着なのですが、元来人間は愚かであり、それに加えて私は欲求に対してほぼ全敗なので他にも欲しくなってしまうのです。
今年は例年よりも冬将軍が遅れ気味にも関わらずなぜか例年よりも早く着たくなってしまいまして、本日も愉しんでおります。以下写真がそれでして、このように撮ったのが初めてなので改めて気が付きましたが、なかなかどうして着古された顔立ち。数年前の会社忘年会で二軒目に向かう途中道路に引きずったままなのを気付かずに歩いた挙句半分ほど失われてしまったウエストベルトを今年こそはなんとかしなくては。
SURR by LAILA 福留
03-5468-5966
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Lieve Van Gorp
ベルギー生まれの彼女は学生時代から人と同じ事を恐れ、制服のブレザーに人形やカラフルなリボンをピンで固定して工夫を施し、規則の白いシャツ、白い靴下を守らずにピンクやパステルイエローのそれらを着用して通学したりと反発心からなのか個性なのか、人との差別化を図り当時からアイデンティティーを見出し物づくりの基盤としている変わり者。アントワープ王立芸術学院を 87 年に卒業後、ハイファッションの世界で様々な媒体のスタイリストとしての活動を経て 91 年にバッグやベルトなどの革小物を中心とした自身のコレクションを発表。彼女のコレクションは宗教的背景にロックスピリットを融合させた独自のフィルターを通したオリジナリティーに溢れた作品が多く、ロックンロール、カントリー、ウエスタンと様々な音楽を愛し、そこからインスピレーションを取り入れた独創的な解釈。本当は敬愛するマドンナやコートニー・ラブの様な情熱的且つ強烈なロックスターになりたかったが現実的に歌が上手くなかったと語っています。モノトーンを基調とした色調に淡いブルーやコントラストある様々なグレーカラーで表現するエネルギッシュな Prêt-à-Porter を 95 年ウィメンズ、97 年メンズのコレクションを発表。 99 年にパリにてコレクションを発表しますが僅か 8 年間の活動期間を経て 2001 年に引退。現在は判り兼ねますが、引退後は母校の教員としても活動されていた様です。
一つの創造物に多様性を感じる彼女は、
” 柔らかさと束縛 ”
” 保守性とアバンギャルド ”
” 伝統と革新 ”
” 男性と女性の間 ”
” 想像と現実 ”
” 古典主義とゴシック ”
と言った表裏一体を作品を通じて表現。
New arrival 90s Lieve Van Gorp letaher bag
エイジングされた美しさと張りのある強さを併せ持つ重厚感のあるカウレザーを使用。一枚の為、床面、吟面の表情が愉しめる共に経年変化を感じられる味のある質感。縫製も全て手縫いで丁寧に仕上げることによりワイルドな血筋の跡の残るレザーとの対比、先程の ” 柔らかさと束縛 ” という表現を体感して頂けるのではないでしょうか。仮にこちらを黒を軸としたモードスタイルに背負うのは勿論相性は抜群ですが、例えばオフィスや普段の通勤スタイルにと言っても不思議と馴染んでしまう個体の力があり、急遽友人の家に初期のプレイステーションを持っていかなければならない際もすぽっり収まるサイズ感の筈、恐らくコントローラーも入る筈。側部に 4 つ仕掛けられたストラップによりマチの調整が可能の為、荷物量に応じて絞ったり、広げたりと洗礼された見掛けにも関わらずとても現実的な構築。私は前に綴った通り鞄を持たない性分でして鞄に対し興味が薄いのですが、それは良い鞄に未だ出会ってないからだな。と欲を感じさせてくれた逸品です。
両手が空くのはとても有難いことです、背負いながらゲームが愉しめます。
SURR by LAILA 鈴木
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