別次元の何か / Diary724
28.5.2019

弊店において設立以降重要な存在の一つで在り続ける Tom Ford 氏による Gucci のクリエイションにおいて、かねてより最も好ましい / 輝かしいと感じていた一つの期がございまして、そう感じているのはそもそもにおいて私だけでなく、以前より, これは私的印象ですが、Archive という言葉が一部においてより形骸化したように感じられる近年よりも以前に, 既に保存・保管対象として強い敬意を抱く人々がいたがために、その期の特に濃密な要素が詰め込まれた品々にはなかなかどうして出逢うことが叶いませんでした。
ブランド ( 社会 ) とデザイナー ( 個人 ) という関係性および結びつきにおいて、製作する品以外も用いて世界観を表現するクリエイティヴディレクターという立ち位置を創り、長い歴史と文化において築き上げられた Gucci という存在をより高みへと押し上げ、そして “ 今のモード ” を創る人々を育てた一人である氏は、24 年間の Gucci クリエイションにおいて服飾史に対する学びと敬意を経たうえで独自の解釈と概念を盛り込み、なおかつ様々な文化や技術を用いた多彩かつ重厚な表現によって沢山の名作を生み出しており、その柔軟な思考と嗜好に品位に対する追及心と実行力、表現は常に明確であり時に非現実的なようでも品そのものを身体に沿わせた際の驚異的な変幻自在な着地点といった、独自性と創造性と品としての品格に弊店は心酔し続けてまいりましたが、この度の御提案における期には、そして本品には氏の Gucci クリエイションにおける全てが明確かつ的確かつ簡潔に、何よりも強く詰まっているように想います。

 

 

 



目的意識が “ 着飾る ” の対極に位置し、その純真さゆえにオートクチュールの時代から, そしてプレタポルテに移行してからはより明確にモードの世界と結びついた “ ミリタリー ” の世界における雛形的な存在の一つであるユーティリティシャツを純真無垢な視点で選択したうえで文化と威信の結晶である職人技術を糸一本, 縫い一線, 構築一曲線の全てに注ぎ、それらは一着における各部位や装飾とは異なる、よりささやかなで静かな要素であるものの、着用時には同等の, 捉え方によってはそれ以上に重要な役割を果たして本品の存在意義を支え、それこそ御手本となるユーティリティシャツらしさであり、なおかつそれらとは一線を画す異質な上品さを備えた無口な平織りに乗せられたハンドペイントの動植物によって、ミリタリーの世界において時たま行われる名も無き手書き作家の意匠に対してと、1966 年に生まれた同社の象徴紋様 “ Flora ” に対して敬意を表しており、簡潔に綴りますと以上の通りですがその物質としての現実的な存在感と説得力には言葉で表現できない別次元の何かが含まれているのです。

 

 

 

 

 

2003SS Gucci shirt jacket.

着用を重ねることで深みが増す生地感と、徐々に失われ表情を変えてゆくペイントと、シャツジャケットとして, 時に素直なシャツとしての極めて現実的かつ独善的な着こなしと、これぞ “ ファッション ” これぞ “ モードのクリエイション ” な御姿を御賞味頂きたく心から想います。

 

 

SURR by LAILA 福留

03-5468-5966
[email protected]

 

 

//

Gnossiennes No.1 / Diary723
24.5.2019

静謐に揺れる匿名のドレープ、計算的かつ創造的なイタリアンクリエイションの腰回り、耳に残る無音のように豊かなサマーテーラード、3 分少々漂い続ける妖艶さそのもののようなビッグ・メゾンの佇まい等、この度の新作は私にとって Eric Satie の Gnossiennes No.1 を喚起させる品々ばかりでございました。

 

 

 

80s Italy anonymouse

 

 

Silk&wool

 

 

80s Ermenegildo Zegna

 

 

Linen

 

 

early80s Best Company

 

 

70s Ermenegildo Zegna for summer

 

 


My best of Tom Ford creation for Gucci

 

 

 

 

 

Newarrival0524

この度も混沌とした無作為な品々であり、特に日常のふとした隙間に在る異世界のように奇妙な, 心がざわつくにも関わらず触れてみたくなるような, 一度知ったら抜け出せない危うい妖艶さをはらんだグノシエンヌな品々です。機会ございましたら是非に。

 

 

SURR by LAILA 福留

03-5468-5966
[email protected]

 

 

//

緑を纏った乳白色 / Diary722
22.5.2019

弊店にとって欠かせない要素である Maison vintage において特別な存在であり、そもそも服飾史における最重要人物の一人であり、当時から現在に至るまで沢山の, 本当に沢山の人々の装いを豊かにし、美術館・博物館のショーケース内を彩り続け、数年前に財団によって設立された二カ所の独立美術館によってその地位を今まで以上に確固たるものとし、服飾史に残した幾つもの偉大な作品群がこれからも服飾における全方位にとっての教科書で在り続ける、“ モードの帝王 ” の冠がまさしく相応しいムッシュが心酔した地で私が過ごしたあの時間は、他の国内外各地と同じように一言では表すことのできないものであり、きっと歴史や文化に明るければより実感が沸く様々があったであろうとは想うもののあいにく全方位に不勉強な私にも関わらず、空気や人々や大通りや裏通りやタジン鍋やミントティーや御風呂やテラスから圧倒的な感情の運動量, 生物的な強さ, 脈々と受け継がれた文化の濃さ, なにより人間の手仕事による尊さを五感, 特に視覚的に強烈に感じ、その刺激を受け止めることに必死でした。




 

 

知っていた青とは異なる青, 赤とは異なる赤。彩り全てがこれまでの人生経験と大きく異なる心地良く異質な色調に感じられたのは決して自律神経の不調などではなく正真正銘に土地の色であり、網膜に襲い掛かるかのようなそれら全てに時間を忘れて見入っているとふと、その魔力に魅せられたムッシュが新たな色彩と感性を手に入れたことを想い出し、ただ現状を視ることしかできない私とは別の世界に居た、それらから新たを産み出すことのできた氏はどのような感情を, 時に愉しさを得ていたのだろうと夢想せずにはいられず、この生業において幸運にも数多くのムッシュの作品を眼に手にし、それらを現代の装いとして様々な御客様方に御提案させて頂き、いつからか氏がこの生業における最上のデザイナーとなり、こうしてこの地を訪れることとなった自らの人生の経緯をなんともなかなかに面白いものであると, そこまで悪いものでもないなと薄ぼんやりと素直に考えられたのは私にとってささやかながらとても大きいことであり、やはりマラケシュの匂いと音と風などのお陰だなぁと想い、またどこかで機を設けて訪れたいな、その時はホテルのベランダでのんびり過ごそうかしら なんて想って鳥の声と木々のざわめきに耳を澄ましながら太陽の下で寝ころび、そういえばここも同じ地球かと独り言ちた時間が少し前にございました。



 

 

 

 

 

そもそも数年前までその存在自体を認識しておらず、とある一着との出逢いによって衝撃を受けたあの瞬間から常に求め続けているものの、我々が交流する限りの各国の専門家において全くといってよいほど認知されていないムッシュ全盛期の Rive gauche “ homme ” 。この度幸運にも出逢うことが叶った一着のシャツはこれまで数少ないながら御提案させて頂いた中でも最も王道的な装いながら、その構築理念に, 基本要素の装飾論点に, 素材が醸し出す空気に, そして出で立ちそのものにムッシュの姿を重ね合わせずにはいられず、この緑を纏った乳白色がこれまでの人生経験と大きく異なる心地良く異質な色調を感じられ、あの地を想い出さずにはいられません。



 

 

70s Yves Saint Laurent rive gauche homme cotton shirt

本品に関しましては僭越ながら一個人的な願望と致しましてシャツという存在の根本的な美意識に沿った御姿にて御愛用頂きたく想っております。御身体が合われる貴方様に猛烈に嫉妬しつつ心から御推奨させてくださいませ。

 

 

SURR by LAILA 福留

03-5468-5966
[email protected]

 

 

//

1 189 190 191 192 193 194 195 196 197 198 199 435
Copyright © SURR All Rights Reserved