1947年に誕生したラングラーのデニムパンツ, 11MWZ はウエスタンムーヴィーの衣装デザイナーが手掛けたゆえに “ 世界初のデザイナーズデニム ” と称されているのですが、それ以上に私にとっては人生初のヴィンテージデニムというある種特別な思い入れがある一本です。
出逢いは以前にご紹介した Levis 606 より遥か昔で、昔過ぎるために何故それに手を伸ばしたのか、決断したのか全く記憶にないのですが、四季折々の表情豊かな日本で育ったとは思えないほど情緒に欠ける私めのことですから、ただなんとなし気に入ったのでしょう。
ただなんとなしと言えどもなんだかんだで愛用致しまして。と申しますか未だ現役真っ只中なのですが、いかんせん長らく穿きに穿いておりますものですから、各所の修繕が捗りに捗っておりまして、数年前から2代目を探しているのですが、どうにもこうにも出逢えませんでほとほと困り果てました。
現在愛用しております言わば初代が60年代のものですから、2代目は例え値が張ろうともそれより古いものをと思ったのですが、足を使っても伝手を辿っても出逢えません。サイズが、色合いが、価格帯が等々ではなく単純明快に選択肢として存在しないという現実に向き合わざる得ませんでして、極々々稀に出逢えたとしても初期に存在するライトオンスだったりしたものですから、決断には至らぬ月日を過ごしていた最中、まさかのセレクション ( 仕事 ) で一本手にすることが出来るという現実。これを自分のものにすることが出来ない現実こそ私の職業的宿命ということで、いざ尋常に潔く御紹介をば。
これ以降とは明確に異なるヒップの W ステッチ。ブランドを象徴するアイキャッチでありながら見方によっては味わい深いとも下手巧とも解釈できる、この時代ならではの存在感に私はどうしても惹かれてしまいます。また、元々がスリムに寄せられた美しいレッグラインの流石初代デザイナーズデニムと言える佇まいですので、それに古い年代ならではのデニムの, インディゴの要素が合わさりますと鬼に金棒、虎に翼。
しかしながらこの濃さには本当に参りました。一度抜けてしまった藍は ( 染めなおさない限り ) 二度と戻ってこず、何にも替えがたいからこそデニムの重要な判断基準とされる “ 濃さ ” という要素におきまして、ほんの数回水が通っただけであろう限りなく未使用に近いインディゴブルーという条件には、これからの素晴らしき進化と自分だからこその進化と、それに伴う “ 幾ら積まれても譲れない仕上がり ” を是非ともおおいに御期待くださいませ。
50s Wrangler 11MWZ
私と致しましては同量の魅力を感じておりますので比較するつもりはありませんが、現存数に伴う流通数からかヴィンテージ・リーバイスより有利なプライスゾーンを保持しているのがヴィンテージ・ラングラーの特徴でして、仮に同年代の同濃さがリーバイスで見つかった場合、相当に気軽な買い物ではなくなります。
と言ってもリーバイスより圧倒的に出逢えず、感覚的に美しいと思えるスタイルを表現できますので、極めて高い存在意義を私自身は捉えておりまして、人生初のデニムという個人的な感情を差し引いても、着用者の 『 個 』 を現すある種のマスターピースとして、心よりお薦めさせて頂きたい次第でございます。
SURR by LAILA 福留
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