真にミニマム / Diary248
9.4.2016

新入荷のとあるコットンテーラードは一見するとヴィンテージらしい旨味が溢れる佇まいですが、素朴を極めたかのようなその出で立ちには大変に興味深く趣き深く感慨深い背景が潜んでいました。

 

 

 

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アメリカの歴史そのものとも密接にリンクする老舗中の老舗ブランド, Brooks Brothers 。時代や国を越え紳士服という区分において徹底的かつ多角的にアプローチし続けているからこそ、そのヴィンテージピースには多彩なバリエーションが存在し人々を楽しませていますが、この度、熟練のコレクターから譲り受けた一着はこれまで目に手にしてきた何処にも何にも属さず、ヴィンテージを越えてアンティークと言ってもおかしくない年代でありながら、独創性と何より確かな新鮮さに満ち溢れておりました。

 

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用いる素材やターゲットやアイテムなどに応じて、それに適した生産背景を選択するのは現代でも同じくかと思いますが、1920年代のブルックスブラザーズにおいてそれに伴う英国のクリエイションラインが存在することを知った時は驚き、なにより品質を追求する姿勢を心から嬉しく思ったものです。
“ コットン素材のテーラードジャケット ” という条件に則れば、当時の仕立てはもちろんのことワークウェアにも数多く存在し、オーセンティックなピースゆえそれらとの共通項が数多く見受けられますが、ブルックスブラザーズの美意識を英国で表現した一着はやはり “ 別物 ” として捉えて頂けるように思えてなりません。

 

 

 

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藍染めならではの素朴ながら奥深い色調とテクスチャーも大変に魅力的ですが、何よりはやはりパターンメイク。
背中に寄せられた肩線や前方に振られたアーム、美しい前立ての落ち加減など、仰仰しさの欠片もない、それこそオーセンティックなテーラーの要素が “ 英国ならでは ” の美学に沿って設計されているからこそのフィッティング。現代に比べるとゆったりとした身幅もある種この時代ならではの構築ですが、その余白は決して余計ではなく、逆にドレープが現代的な空気を演出してくれるのも “ 立体 ” に対して的確な配慮があってこそと言えます。

この過ぎるほどに繊細ながら、袖を通せば表現される美意識を細部に宿らせるためには、本国ではなく英国の伝統力を用いる必要があったのでしょう。それによって一見すると同じくなようで最終的にははっきりと異なる表現に辿り着いているからこそ、私はこの一着を真にミニマムだと思い、心打たれました。

 

 

 

 

 

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1920s Brooks Brothers UK creation line, indigo cotton tailored

古い年代ゆえに様々な捉え方が出来る一着ではありますが、 SURR としてはあくまでリアルクローズとして。どう着て頂いても、是非に。

 

 

SURR by LAILA 福留

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