隙間の美学 / Diary376
22.3.2017

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プレタポルテ全盛期に立体化された2着の仕立ては英国の某王道を貫いてはおらず決してミリタリースタイルでもなければモダンな雰囲気を獲得しているわけでもない。最寄りの国を挙げることは叶わず、絶妙な狭間に落ち込んだような独自性を保持していると表現したほうが宜しいでしょうか。正統的とは言い難い印象は独特の生地があってか、将又釦の選定、言わずもがな内1着の色は厳しくも断定し難い程の深みを帯びおり、内1着は皺を伸ばすことを躊躇してしまう程の手触りを感じるのは実正そのもの。とはいえ反逆的、挑戦的でもなく、極僅かに空いた隙間のみを目指した計らいを感じながらもオーソドックスな香りを僅かに纏わせる術にかかったトレンチスタイル。愛されるわけです。
 
 
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left 80s Yves Saint Laurent trench coat with Removable Liner
right 80s Yves Saint Laurent trench coat “Special Peacock Green”
 
 
先日お話したように、恐縮ながら偏愛ともいうべく嗜好項目のひとつに“ハーフコート”が挙げられるのですが、とはいえロングコートが苦手、というわけでも当然に御座いませんで、一方で嗜好項目といいましても拘り抜いている程でもないので汗顔のいたりですが。幾分脱線しますが、先日ディレクターに連れられた飲みの席にて同席の女性に、男性はギャップが大事とお言葉を頂きまして、改めて心に刻みました。良くも悪くも意表を付く試みというのはある種の挑戦であり、本来は第三者にそれを挑戦と捉えられず自然性が帯びていれば“良き男性のギャップ”に繋がるのでしょうが。其れを聞いたディレクターは、小林の場合は背中に龍では、と終始ふざけておりましたが、ともあれ、考えた上での“良きギャップ”というのは難しいものです。
 
 
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通常ロングであるはずの例えばオーバーコートが、例えば膝下まで雨から護るトレンチコートが、ハーフコートの領域にて目の前に存在していたら自然反応にエキサイトしてしまう此れは、ある種のギャップ現象でしょうか。「強面なのにハニカム笑顔」「幻獣のような腕っ節で繊細なみじん切り」「本の虫の背中には龍」「本来長いはずのコートの着丈が短い」ギャップの広域的に認知されている内容は、おそらく逆説の意が殆どかと思いますが、この理論で捉えるとだいぶニッチな例えに。その上対象がヒトからモノに。“先入観が覆された”は、果たしてギャップと同意なのか。そもそも「ギャップ」という言葉自体が気になり掘り下げますと、“隙間”という単語が該当するよう。考えだすと私が深い溝に陥りそうです。ともあれ、この1点に向き合いますと、正統的でもなく、反逆的でもない、挑戦的でもなければモダンともいえず、オールドスタイルでもない。極僅かに空いた隙間のみを目指した計らいを感じながらもオーソドックスな香りを僅かに纏わせる術にかかったトレンチスタイル。さあ、これでいてハーフ丈。やはり良きギャップ。
 
 
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late 70s Yves Saint Laurent half trench coat
 
 
詰まるところ、男もコートもギャップが大事。龍はだめ。

 

 

SURR by LAILA 小林

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