正直に / Diary338
11.12.2016

申し上げまして、私は長らくレザージャケットと向き合わずに過ごしてまいりました。

 

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バイクには乗りませんでしたし、何より肩幅が広めなものですから、幾度となく試してはみたもののこれぞという一着に出逢えなかったのです。しかしながら象徴的なアイテムゆえ憧れは消えることはありませんでして、現代のお品としてはもちろんヴィンテージピースとしても欠かす事のできない存在ですので、旧 LAILA VINTAGE 時代にも一度、大々的に編集した打ち出しを行わせて頂いたことがあります。いつか気になりましたのでヴィジュアルアーカイヴを遡ってみたのですが、それは7年前のことでした。

その頃の LAILA VINTAGE がライダースの世界から抽出した要素は UK 。中でも Lewis Leathers が編集の軸でした。服飾史と文化的背景と、何より一着のファッションピースとしての存在価値が入り混じり、ヴィンテージの世界で常に輝き続けてきた Lewis Leathers は、その時既にマーケットプライスの高騰が叫ばれ、危ぶまれていましたが、その流れと波は留まることなく現在に至ることを一つの事実として私は感じております。

LAILA VINTAGE から “ 男性専門のヴィンテージショップ ” として生まれ変わった SURR は、その分野において全てのアイテムとベクトルに目を向けることを信条としておりますので、ライダースジャケットも欠かすことの出来ない存在であり、ことさら Lewis Leathers は特別なのですが、 SURR の看板を背負ってどれだけヨーロッパ各地のコレクターを渡り歩いても、まぁ本当に出逢えないったらありません、 Lewis Leathers 。それはもう、笑ってしまうほどに。専門家のコレクターの皆様が示し合わせたかのように “ 無い ” と言われたら諦めるほかありません。それはもう、涙しながら笑ってしまうほどに。
設立初年度に一着 Diary で御紹介と、翌年も一着店頭で御紹介させて頂いたことがありますが、それらは共に遥か以前に手に入れる事ができたアーカイヴを放出していたからこそ叶った御紹介だったのです。

 

だからこそ前回の旅で出逢えた喜びはひとしおでした。毎度のことながら極少量、と申しますか一着のみですが本当に嬉しかったです。やっと出逢えたか。ここに居たのか。こんなにも中心部から遠い英国の地に居たのか。と。

 

 

 

 

 

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しかも Lewis Leathers という会社が全盛を迎えていた、レザーライダースの文化が発芽し一挙に芽吹いた時代の、最もエレガントなレザークオリティを誇る一着であり、にも関わらず輝くほどの品質を保っており、何より時代の流れを読んだ Lewis Leathers がファッションピースとして世間に打ち出した、同社初の “ アメリカンスタイル・モデル ” であったことが嬉しくてなりませんでした。

Lewis Leathers には数々の名作モデルが存在致しますが、スタイルやライフスタイルにおいて様々な要素や文化や世界観が混在することを好む私にとって、これら “ 英国の老舗が異文化を取り入れた ” という当時においてはおそらく実験的だったであろうモデル達は特に好ましく思いますがゆえ、やっと出逢えた Lewis Leathers の一着が、その挑戦的モデルの代表作である “ Bronx ” の、アップデートモデルである “ Twintrack Bronx ” であったことは、幸運の極みと言えます。

 

時折ふと考えます。これからの男性のスタイルにおいてライダースジャケットはどのように捉えられるのか。現代においてはいかがでしょうか。
私の感覚では “ 興味のある方はとても興味がある。無い方は無い。 ” という 0 か 100 な気がしておりまして、正直に申し上げますとその状況はこれからも続くのではないかと思っております。しかしながら大切なのはいつまでも、スタイルを選ぶ皆様方の “ 個 ” であり続けますし、率直に申し上げさせて頂きますとトレンドはあくまで指標の一つですので、 “ 個 ” に則った結果ライダースジャケットに輝きを感じられた暁には、是非追及されてみてはいかがかと思います。そこには歴史上様々な人々を狂おしいほどに魅了してきた歴史の証が、必ずや存在致します。

 

 

 

 

 

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late 60s – early 70s Lewis Leathers , Twintrack Bronx.

私自身、少し前に Lewis Leathers との出逢いが叶い、向き合わずに過ごさざるえなかった悲しい時代がようやく終わりをつげました。余談ですが私の一着も 同社が仕掛けたアメリカンスタイルです。おかげ様で今となっては、 Lewis Leathers がバイカーを、ロッカーを、ムーヴィースターを、デザイナーを、メゾンを虜にし続けた過去が真に腑に落ちることができました。諦めかけていたライダースジャケットが私にとって取捨選択の後者となり、本当に良かったです。それによってモテた実感は今のところありませんが、真に腑に落ちる未来を虎視眈々と粛々と待っていることとします。

 

 

SURR by LAILA 福留

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