Maison Vintage / Diary176
26.8.2015


1900年代初頭にメゾンが産声をあげて以降、服飾史は “ MODE ” という概念によって華やぎます。
時代沿ったカルチャーならではのスタイルやデザインは、時に受動的に時に能動的に世界各国各地域で産まれましたが ( 以前御紹介した East West もその一つです ) 、それら全ては本当に, 見事に, 素晴らしいほどに刺激的で、向き合えば合うほどモダンです。誇張ではなく純粋に心から面白いと思える要素で溢れております為それぞれ掘り下げると時間がいくらあっても足りませんので、ここでは控えさせて頂きますが ( 余談ですが、今期の LAILA VINTAGE は、それらにより強く焦点を当てておりますので、ご興味頂けましたら是非に ) 、 年代や国や文化において様々あれどモードの根幹であり原点であり、常に背骨で在り続ける存在はやはりフレンチメゾンではないでしょうか。

20年代に “ ベージュの女王 ” と呼ばれた ガブリエル・シャネル。常に時代の先を行く姿勢が “ 先見性の情熱 ” と称されたパイオニア, クリストバル・バレンシアガ。ファッションと宇宙を繋ぎ合わせると共に、メゾンビジネスに新たな概念を与えたピエール・カルダン。女性の膝頭を解き放ち、新たなスタイルを提示したアンドレ・クレージュ。今なおモードに影響を与える “ ニュールック ” 産みの親,クリスチャン・ディオール。そして “ モードの帝王 ” イヴ・サンローラン etc etc.
幾人ものデザイナーが時代の流れと人々の機運に寄り添って、時に孤独に時にシンクロしながら積み重なてきたのが “ フレンチメゾンの歴史 ” です。その歴史は今のモードにとって過去でありながらも現在そのものであり、そして未来だと私は考えます。

SURR の前身である 旧 LAILA VINTAGE の根幹は、それらモードの歴史そのものである “ Maison Vintage ” でした。無論 SURR にとっても引き続き重要な要素の一つです。
“ Maison Vintage ” は女性のためのアイテムが大半を占めるのは事実ですが、 mm 単位まで計算されるパターンや極限まで追求されたマテリアルなど、歴史を創った Maison の心配りは数少ない男性用アイテムにも健在で、それらは今でも, 今だからこそ新鮮で、これからも色褪せません。






男性用衣類として完成されているアイテムだからこそ、Maison の心配りが如実に現れます。
袖を通した時に発揮される全方位隙の無い出で立ち、絶妙なディティールアレンジ、何よりメゾンだからこそ辿り着ける,実現出来るマテリアル・チョイス。
美意識が繋がって一つの円となり完結する世界観を、今期は様々なスタイルとアプローチでご覧頂きたく思います。

なお、前述致しましたモードの歴史をより明確に視認して頂き御実感頂く最善を思案致しましたところ、とある一着に辿り着きました。

大変貴重な60年代のクリスチャン・ディオール。本場であるヨーロッパやアメリカのヴィンテージ市場において明白な立ち位置を誇り、Maison Vintage において紛れも無いコレクターズピースです。
本品はマルク・ボアンがディレクターを務める時代に作られたもので、クリスチャン・ディオール,イヴ・サンローランに次ぐ3代目のデザイナーであるボアンはディオールの歴史に大きく貢献した人物。彼の世界観は昨今でも他メゾンのコレクションテーマに選出されるほど、モードにおいて重要な存在とされています。


彼の代表的な世界観である “ オリエンタリズム ” に則った直線的なパターンと、ドローコードやフーディーなどのミリタリーライクな要素を最終的にモードの美意識として集約させる平衡感覚。モードの歴史を体現しつつ現代にも通じる感覚でお楽しみ頂ける一着だと思いますので、これも一つの “ 純粋に楽しいファッション ” としてご興味頂けましたら、幸いです。

SURR by LAILA 福留

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