機能性という美学に標準を合わせ、世界各国各年代様々創られてきたミリタリー。その数多くが “ デザインの教科書 ” としてモードと結びつきますが、数多く目にしてなお刺激的な品々が後を絶ちません。
英国直属陸軍, ロイヤルアーミーのコンバットトラウザーズ。
1950年代の限られた期間にのみ製造されていた事もあって実物を手にする機会が極めて少ない一着ですが、これもまた見事な機能的ディティール・デザインの集合体です。
特徴的なフロントポケットに各所のアジャストバンドなど環境や装備の TPO に適応する為のディティール、過酷な状況下にも耐えうるコットンサテンとライナーによって実現する立体的なフォルム、機動力を求めて配された裾絞りのアレンジパーツなど、全ての要素は当時の英知を結集させ生み出されたものであり、それら “ 意図のあるデザイン ” の説得力たるや、デザインを行う人々にとって極めて重要な事でしょう。
そして、今なお稀に姿を現し心の底から驚かせてくれる初見のモンスターピース。
向かって左は英国直属海軍,ロイヤルネイビーにて空母に属する人々が着用していたスモックパーカと呼ばれるアイテムで、ご存知の方もいらっしゃる通り既に様々なデザイナーにサンプリングされてきた名作ですが、この度その後継モデルに出会う事が出来ました。
スモックパーカとの対比からも御認識頂けるように、近しいようで一線を画すディティールはシンプルに申し上げますとよりミニマムな印象ですが、何より大きな違いはプルオーバーからフロント・ジップアップへのモデルチェンジです。
大胆な比翼かつダブルジップという機能性はそのまま芳醇なファッション性にシフトされ、高度なパターンメイクがアヴァンギャルドなシルエットを描く圧巻のミリタリーウェアです。
特出して市場に出回りにくいロイヤルの中でも空母という条件ゆえに現存数の少ないスモックパーカですが、本品もそれと等しいか場合によってはそれ以上の一品と考えられます。
国家が威信をかけて、時代ごとに最善・最適の諸々を詰め込んで産まれたミリタリーの品々は、言うなればデザイナーが “ 国そのもの ” であるがゆえ、ハイクオリティで然るべき存在です。それを現代の目線と感覚で、今のファッションアイテムとして消化する事には、大いなる意義と流儀を感じ続けておりますので、今期は再び大きな要素として抽出させて頂きます。
上記のような希少で濃密なアイテムからベーシックでユーティリティーなアイテムまで、ミリタリーの懐深さと奥深さと、時に奥ゆかしさを存分に御体感頂けましたら幸いです。
SURR by LAILA 福留
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