弊店では様々な区分の品を御提案致しておりますが、それらも各々の中で細分化が図れます。モードの世界に属しており、かつ歴史的に視て長い存在を Maison vintage と称しておりますが、その中には一般的な認識度の高い看板とそうでない看板がありまして、前者を Popular maison 、後者を Maniac maison と称した時、モードの歴史には数えきれないほどの Maniac maison が存在することを私は旅の時間で随時実感しておりまして、そもそもの文化性を鑑みるとそれは改めて言葉にするのが野暮なほど至極当然であり、沢山の本当に沢山の先人達が熱意と勇気と運と実行力を駆使して文化に属してきた証であるヴィンテージの歴史・モードの歴史の厚みと重み面白みは、元来無才能のちっぽけな私如きが全てを知ることなど到底叶わないことは分かっていながらも、この生業に就いてそれなりの時間を自分になりに真面目に向き合ってきた ( はず ) うえで今なお新しい出逢いや驚きを体感できるという現実と今後もそれが尽きないであろうという確信に近い想像が叶うというのは私にとって心から幸せなことだと想いつつ、ある日の何がしがきっかけとなり Maniac が Popular に替わるという時流の面白さとある種の危うさ・怖さを考えずにはいられません。
追って御披露目させて頂く編集, French maison におけるとある一着はどちらかと言えば前述で言うところの Maniac maison に属されるのだと想いますが、そもそもその認識基準自体が私の独善であり、そもそもそのメゾンは決してマニアックではないモードの文化と歴史に明確な功績を残してきた・残している存在であることをここに明言させてくださいませ。しかしながらモードの世界においてマニアックではない王道の存在看板でありながらも、私はその HOMME コレクションピースを目にしたことがありませんでした。
オートクチュールの時代を経てプレタポルテが本格的に始まった頃を私は現代におけるモードが始動した頃と捉えているのですが、ギ・ラロッシュ氏による Guy Laroche が産声を上げたのもその頃でした。モードの創始者 ( と私は想っています ) クリストバル・バレンシアガ氏やクリスチャン・ディオール氏の作品、さらに当時の社会における女性の存在位置や国外での活動などの様々な刺激を経て氏が打ち出したのは、構築的であり活動的であり何より品位に溢れる女性像でした。余談ですが氏は独立前にディオールのアトリエに在籍しており、同期にサンローラン氏, カルダン氏が居たのですが、世間はその若手3人に当時から大きな期待を寄せていたそう。髙い水準で世界観を表現し続けながら、平行して紳士服の世界にも進出したのが 1966 年のことでしたが、残念ながら当時の作品実物には触れ合う機会が未だありませんでして、そんな中ついに出逢えた一着は氏本人が手掛けた時代であるという求心力以上に、背景を全て差し引いて捉えたとて圧倒的に惹かれる以外の選択肢が無い ただ単純に良い服 だったのです。
さりげなく豪奢なラペル、小さじ少々よりもささやかに主張するステッチワークなど基本構築の中で男性的な強さを軸しながらもモード特有の女性的な美しさ根底に匂わせる紳士像表現は、まさにモードの始動と発展を担ったフレンチメゾン特有の世界であり、“ シャンデリアの下で黒よりも美しい黒に見える ” として社交界で高貴な色とされるミッドナイトブルーの色合いと、それを文字通り輝かせる Ermenegildo Zegna によるカシミアの顔立ちが混ざり合って調和するセットインスリーヴとダブルブレストの不変的なチェスターフィールドコートとなれば、いったいどうすれば否定することが出来るのでしょう。私にはその手段、未だありません。
Comming soon French maison
early80s Guy Laroche cashmere 100% chesterfield coat, fabric by Ermenegildo Zegna
その分野において, 品において “ 終わりに出来る ” という存在にはなかなか出逢えませんし、店頭販売至上主義者の私にとってそれはある意味あってはならない類ではありますが、と同時に一人の漢としてそういった品との出逢い極めて大切に感じておりますので、僅かでも御興味頂けましたら是非にと想います。御披露目は 11/3 ( 土 ) 12:00 。心より宜しくお願いを申し上げます。
SURR by LAILA 福留
03-5468-5966
[email protected]
//