Maison quality , Military , Work piece , Antique category etc.. ヴィンテージという枠でもこれらに該当しない区分を Other とさせて頂いておりますが、そこにすら当て嵌まらない個体というのも全体構成の数%ほどエントリーさせて頂いております。背景 / 製作者 / 明確な製造国 / 製造環境 / 使用目的、得られる情報の中では精密さを欠き、シャープでクリアな実相とは程遠く、資料もなく、おおよそファブリックバランスやテクスチャー、パーツ、可視できる全てと弊社が貯蓄した情報を足場にしながら推測の域に留まざるを得ない 不明 の要素があまりにも巨大なそれらを【Anonymous piece】として精選の上ご提案を続けて参りました。この正体不明の個体をセレクションさせて頂く決定的な理由その1というのはまさに此の 不明性 で御座いますし、プレートや製造国や製品証明のタグによって個体価値がジャッジされやすい実態を横目に(善し悪しの話ではなく)、実相との純粋/明確な対峙、を半強制的に実現する未知の領域こそ、そもそも区分やカテゴライズに拘りなく、1着の衣服として御賢察頂きたい想い,超現実主義を掲げる弊店にとってはこれ以上ないご提案と至るわけであります。誠に勝手ながら。
そして実相との純粋/明確な対峙、を半強制的に実現する未知の領域を体感するは、当然ながら我々も同じく。そんなわけで、精選術というのもなく技術や下法や裏技や荒技や緻密な作戦というのも決まりきったように御座いませんで、あるのは出逢いがすべての運と(全てのセレクションに通じますが)、何より対峙の末、唯一無二という絶対的魅力を超えた訴求力を大いに感取するか、スッと我に返ったとき目の前にかけられたこの1着を無垢な外套として認められるか、ハッと感慨に打たれたあと目の前にかけられたこの1着は冬の寒さを凌ぐに充足しているか、例えば本日ご紹介させて頂く個体に関して申し上げますと、その対峙に時間は必要なく、袖を通した瞬間決定と至りました。なんとも不分明な理由その2で御座います。
【推測 / 考察】
製造年およそ1950年代前後。ヨーロッパ圏内。
僅かに残されたプレートや後身頃に残痕するステンシルから元はプリズナーウェア、又はプリズナーピースのOEMを一任されていたメーカー製造個体と推測。しかしながら,仮にそうであったとしても全体構成としてあまりにもそうであると断定できる具像ではない(パターンにおいてさえも)のであくまで推測域に留まる。工業的なスナップ釦とネックチェーンの選定、レザーフラップの縫い込み、前身頃においてダイナミズムに主張するレザーファブリックの充て、それらの大部分はパーソナルカスタムとして認めるに相応だろうと推測が叶い、いずれもファブリックやパーツ/糸のテクスチャー、あるいはその実態から製造年と近しい年代におけるチューニングトライ。カスタム施行者の意図として、頭脳の殆どをもって注がれた先は実践力獲得が的論のように、禍々しいレザーファブリックの充て地も生地補強のみならず、縫い止めをし、頑丈なポケットとしても機能するよう配慮。レザーフラップも其処を持ち手に開閉がスムースに行えるよう施した仮説はいずれも現実主義的であり、アルチストとは遠く、しかしながら、いずれにしても重厚な織りのウール地に対するレザーの選定は、少なからず美的見地が向けられたように、ブラックとエクリュの共存が前提であるほど見事なカラーセレクションであり、服飾史でも極めてカオスティックな性質が伺えるミッドセンチュリーならではと推測 / 考察は終わりで、厳しい雨風を凌ぐには充足し得る屈強なウール地、習慣性をもって付き合えるショートスタイル、曲線的かつ活動性を謳えるアームフォルムは構築的なテーラードから柔らかいローゲージ・ジャンパーまで仕込んで頂いても成立する懐と、紳士性というよりモダンプロポーションに振れたバランス。推測はあくまで推測で御座いますが、事実はどこまでいこうと事実で御座います。冬のお召し物として是非、御賢察の程を。
about50s anonymous wool coat
SURR by LAILA 小林
03-5468-5966
[email protected]
//