Yves Saint Laurent , rive gauche / Diary597
24.9.2018

 

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(前回文頭)と悟った2着の内の1着、90年代後期同社の最高品質レーヴェルなわけですが、弊店が兼ねてよりエントリーを続けて参りました同社リヴゴーシュの作品群を記憶から引っ張りだし,重ね合わせ,蓄えた情報を武器に挑みましても前例も適例も実例もないわけで、恐縮ながら初見感動そのもので御座いました。
 
それは大方、詳細細部に向けられた感情でして、あるいはコットンテーラードを愛してやまないわたくしのシンプルで私意性の強い感情と意見で御座います。故に、店頭にてご紹介をさせて頂く際、なるべくをもって我慢するよう致しておりますが、フィッティングが適合と判断させて頂いたお客様へはその方がコットンテーラード/テーラードという区分をご所望になられている/いないは関係なく、心の原核より推奨をさせて頂き、その上、ご要望頂いていないにもかかわらず容赦もないディテイルスピーチが始まるもんですから販売員失格の恐れも見え隠れしまして、反省と興奮のここ数日で御座います。

 

 

 

 

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メインファブリックに採用された重厚な打ち込みと織りから実現される天然木綿のみの組性はその通りで、パッティングを施していないにもかかわらず立体的に自立するショルダーから流れるよう僅かに前方へ振られたアームの曲線美、肉で着る現代のモードアプローチとは真逆をいき、骨でしっかりと着、身体に追随させるシステムこそ70年代ムッシュ統制時代より一貫された同社独自の左岸的表現でしょうが、咀嚼して申し上げましても其の伝統性と繊細な構築性を重厚なコットンで表現する前提が先ず。継ぎ足して、身体に追随させながらも窮屈ではない、あらゆる方位から包まれているような暖かみはダブルソールの英国靴が漸くをもってフィットした2年後の感覚に極めて同一で、その感動的フィッティングこそ言葉と各カットのみでは技術云々かかわらず正確に御伝えしかねる内容と僭越ながら。袖を通して頂いたお客様からは、流石です、というお言葉より、製作者誰ですか、のお言葉も多く、ビスポーク/ハウスオーダーでないのは自明の事、とはいえ、ここまで正確無比なプロポーションは同社でも大変稀少であり、ちょっと待て,このレヴェルまでフィットさせてくるのかと疑問視にあたるは製作統制者。おおよその推定と個人的一意見は店頭で手短に。

 

 

 

 

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およそ魔法とも謂える其のフィッティングプロポーションの真相は、裏地に有り、と注意深く期待を寄せますが、1940年以前のアンティークテーラードあるいはアンティークウール/織りをひとつのバイブルに定めた精選、テクスチャー、実践的にはたらく、伸び と 弾力 が決定的な成果を魅せる此の裏地。過去一度も視た事が御座いません。
 
全体としてソリッドな詳細を目にしますが、直角的にカットされたフラップや本切羽ながら比翼にしたカフス、大胆に伸びたダーツ、表現方法として打ち込まれたステッチ、ノーベンツ、加えて感覚幅の広い3つ釦とフィットしながら可動域を確保する脇周りの実際はおそらく源流にフレンチワークを従えている推測も引き続き。に対してまろやかな印象を齎す角のないラペルフォルムという天の邪鬼な選択は、襟を寝かせるという試みを追加して大いに可視化できるもので、実のところナーヴァスでセンシティブな所有者の本質を確固たる性質として,小さな事実として独立させ、または自信に満ち溢れた勝負師の手の内を知られず心の内を熟知する攻撃者のフィギュアとして、着る者によって齎す印象を表面化させるテーラードは相当をもって極稀少であること、そのようにプレタポルテにおける自由意志を細やかに配した逸物であること、日々の苦労と幸福を皺として刻み残すことができるなんと粋なこと。

 

 

最後に、コットンテーラードの魅力を確固たるものにする “ ブラックカラー ” は、女性をより一層と華やかに魅せるよう古き良き考えに基づく、アフタージャケット/ディナージャケットで御座いましょうし、女性や目上の方との食事でも、友人と酒を交わす日でも、ひとりで散歩するでも、何方様に対しても失礼がなく、例によって革靴理論と同等で御座います。という正当性が大いに通づる独立色であり自由色であり、それがヘヴィデューティーに向き合えるコットンであれば至極と憶うわけです。コットンテーラーを立派な星がついたイタリアンに着て往けるか億劫な御心持ちも当然、とはいえ、綺麗にアプローチしたシャツとシルクタイ、仕立ての良いトラウザー、適度に磨いた革靴という布陣、普段は埃も天候も気にせず、勝負時にはブラッシングで汚れを落として、いよいよ厳然とした顔つきで、さぞ当然かのように。それだけで御座います。コットンニットを冬場でも常習する理論と同義、誠に僭越ながら、この機会に是非御賢察頂きたく存じます。

 

 

 

 

 

 

 

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late90s Yves Saint Laurent rive gauche, cotton tailored jacket

 

 

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