今回のアンファッション・デザインで行われているのは、
1.ディティールの排除
2.ライナーの排除
3.コーティングの排除
ここに至るまでの過程において、名も無きどこかの誰かが手を施した形跡が各所に。元々は東ヨーロッパのボア付きミリタリーコートでしたが、前述によって全く異なる一着に変容させられました。
1 でミニマリズムを、2 でオーバーサイズ・フィッティングを、3 で独創的なテクスチャーをそれぞれ獲得した無名なアノニマスは、どうしようもない程にファッション性を感じさせる驚異的なモードに成りました。ただ邪魔だから排除したのか、目的があって排除したのかは分かりませんが、前者でありば驚異的な必然性ですし、後者であればあっ晴れとしか言いようがありません。
しかしながら最大の特徴は、
4.日焼け
こちらもカビと同じく環境や時間によって発生する現象。言うなればデザイナーは 『 自然 』 です。通常マイナスとされる要素にも関わらず、まるで陰影を付けて染め上げたかのようなグラデーションを生み出しており、不規則の中の規則性が鋭角に美的感覚を喚起させる驚異的なアンファッション・デザインとなっています。
元々の要素と、無くされた要素と、自然が施した要素。
三位一体が織りなす異常なまでのイマジネーションをお楽しみ頂きたい逸品です。
60s Eastern european military, anonymous custom coat
メンテナンスという名の整理整頓は必要最低限以上行っておりません。繊細に成り立つアンファッション・デザインを邪魔する事になりそうで、憚られました。
実物をご覧頂けばそれで良かったと思って頂ける。繊細ですが実直です。
是非袖を通しにいらしてみてください。
SURR by LAILA 福留
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