先日18日をもちまして無事に2017A/Wシーズンを迎えることができましたが、これも日頃、足をお運び下さる皆様の御引き立てのお陰と、此の場を借りて改めて御礼を申し上げます。本当にいつもありがとうございます。
初日は、初の2人体制というシステムをとらせて頂きましたが、勝手ながら我々としましても普段感じることのないムードを愉しませて頂きまして(息の合わないコンビネーション含め)、それをご来店頂いたお客様と共有することができておりましたら、大変に嬉しく思います。貴重なお休みにご来店下さった皆様、夕立の中ご来店下さったお客様、開店後すぐに足を御運び下さったお客様、本当にありがとうございました。今シーズンも変わらぬ御引き立ての程を、どうぞ宜しくお願い申し上げます。
店内99.7%は、世界中のコレクターから厳選した完全新作のヴィンテージピースを並べさせて頂いております。残暑続くこの頃では御座いますが、秋冬のムードと鮮度潤うこの瞬間を、少しばかりでもお愉しみ頂けましたら幸いに思います。
さて、本日よりDiaryにて商品のご紹介をさせて頂きたいのですが、またいつもの如く、何から書こうか,,と贅沢な悩みに苦しんでおります。そうは謂いながらも「私を紹介しろ」と頭の中で自己主張を繰り返す1点が居りますので、誠に恐縮ながら、その1点を口切りに2017A/W first entryとさせて頂きます。
男性にとって上質なニットウェアを検討する際、そこに重厚かつ保温性のみを追求した“ローゲージ”という編みの選択、それを具体的な像として心中に結べずにおりました。“ メゾンが織り成す上質で繊細なウール地 ” “ 英国某メーカーの格別なるカシミア ” 思い描くそれらは男性の生活をより豊かにする衣類であることは確実なものでしょう。だからこそ “ ハンドニット ” “ ローゲージ ” ワードのみを掬い上げますと、どうしても副次的な印象のみが頭に絡み付くもので、それはヴィンテージという領域で具体的な像が見つからないという情けなくも明確な事由が存在するから、なのですが、この度ひとりのコレクターより出逢いが叶ったその1点は、副次的な印象が消えなかったローゲージ,又はハンドニットという既成概念を正面から摺砕く、爆発的な威力を有した1着で御座いました。今後しばらく、この衝撃は消える事がなさそうですので様々な意味を持って苦しいばかりです。
ニットという存在に起こり得るあらゆる障害をも包容するであろうと容易に推測が叶う異様な実態感。それは、永い年月に渡り着用し続け、水に晒し、環境に耐え抜いた末の形姿のように、またはそれらを具した各所の様子は、あまりにも力強く、あまりにも仰々しく、何より暴力的、そして人知を超えたムードを実態化したように感じる、ですので、異様な実態感。それでいてよく視ると多色が入り交じるチャコールグレイの主体は、ダンディズムな色気すら発生させるので恐ろしい化け物です。そのリアリティが潜む理由と男性的なフィッティングは、全体が「リブ」で仕上げられるという贅沢に贅沢な編みこそ。普段はスーツを着用し、上質な肉とワインを愛する男性が、着用後は大切に畳み、木製のいつものキャビネットに収める姿を容易に想像させる力は、素直に恐ろしいものです。そんな1着を偏にセーターとは呼ばず、英国式でジャンパーと呼ばせて下さい。フランスメイドですが。
視界に捉えた形姿がそうだから、という安易な理由ではなく、これを邪魔な概念や偏見もなく1着の衣類として素直に向き合えるベクトルは、Karim Hadjabの哲学と重なる要素を孕んでおり、だからなのか、そうじゃないのか、ファーストカット(着用図2枚目)は僅かな不安や違和感すら覚えず、前後逆で臨みました。最高にクールですので心からお勧めを致します。
40s French hand knit jumper
宜しければ、毎年の冬の相棒に。
SURR by LAILA 小林
03-5468-5966
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