来期に関して – Prologue / Diary431
17.8.2017

 
 
 
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ファッションにおける時流と、一種の社会的な時流と、そしてそれ以外の様々が絡み合っているのでしょうが、やはりヴィンテージという要素がそれらにおいて強まっている気配と空気を、実感的に感覚的に思います。そのことは純粋にヴィンテージを愛して楽しむ私としては、やはり素直に嬉しいです。自身が想う “ 今のヴィンテージ ” に立ち返ったある日のロンドンの夜更けにおいて、嬉しく喜ばしい気持ちと同時に頭によぎったのはもちろん SURR のことなのですが、その思考の先に極めて重要な議題がありました。設立から一貫して続けてきたなにがしは様々にございまして、端的に簡潔に申し上げますと “ 上質で尊敬すべきヴィンテージという存在を、それに相応しい編集で皆様にご覧頂く ” ということなのですが、今のヴィンテージがそのような環境であれば、そのような環境だからこそ、自身が据えた “ SURR の軸 ”をより真っ直ぐに伝えなくてはいけない。何かの拍子で軸がずれ、意義が濁ってしまうことは、今のヴィンテージにおいて決定的に致命的な何かなのではないか、という一種の大いなる危機感でした。 by director 2017S/S collections
 
 
 
 
 
一歩退いて眺めてみるならば、この“危機感”を感じることはやはり一歩退いた位置だからこそセンシティブに感じることができる感覚ではないだろうかと、ヴィンテージというステージの渦中に居る私はそう思います。2017年2月18日に上記センテンスを記した男は、一歩どころではない遠く離れた外国という地で、おそらく程よく酒に呑まれながら直感的に思い至ったのでしょうが、故に成立した「根幹の奮い起こし」という作業は、別の4文字のワードに置換した2017S/Sというシーズンの重要テーマとして掲げ、約6ヶ月もの間、“勝手ながら”を前置きにエントリーを継続してまいりました。“ 上質で尊敬すべきヴィンテージという存在を、それに相応しい編集で皆様にご覧頂く ” それをひとつ、SURRの軸と捉えるならば、何かの拍子でその軸がずれ、意義が濁らせてはならないという危機感を感じる以前に“覚悟”を強めた約6ヶ月という時間、さらにその先、“ 男性にとっての上質な衣類は” 、とまで、思案を巡らせるように、我々ひとりの男性にとっても「根幹の奮い起こし」であったと、その時間を過ごしてみて改めて気が付きました。それは1960年代のミリタリーなのか、1940年代のワークウェアなのか、1900年初頭のウールテーラーなのか、20年前ひとりの男性が発表したしたウールトラウザーなのか。1着1着、その衣類を愛した証と、その生活やその者が愛した人/モノ、様式、国、時代、作り手の思惑や意図,宿した想い。ゆっくりと想像を巡らせ、裏側に存在する背景と、本質的な力を目の当たりにすると、向き合ったその1着から “尊さ” という感動をしっかりと感受します。それはもう、強烈なほど。
 
2017年2月18日、S/Sというシーズンを迎える前夜にひとつのテーマを確信し、文章を綴った男の想起となったタイミングがロンドンの夜更けであるならば、私は青山3丁目のマンションの1室、雨が上がった17:44。明確な想いとなって私の中でも確信に変わった瞬間で御座いましたが、引き続き我々の心をがっちりと掴んだまま離さない回帰思想は、「上質で尊敬すべきヴィンテージという存在を、それに相応しい編集で皆様にご覧頂く」というSURRの原点思想と、「男性にとっての上質な衣類」をひとりの男として只管に追求する我々の原点思想というふたつの想いを、引き続き「原点回帰」という4文字のワードに置換し、2017A/W collectionsを迎えたいと思います。“勝手ながら”を前置きに。
 
 
 
 
 

 

 

SURR by LAILA 小林

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