数滴のグリーン / Diary201
5.11.2015
素材が上質でないと叶わない繊細な色調表現。今回は特にそれが顕著であり秀逸な一品をご紹介致しますが、誠に残念ながら私の拙い技術では写真に収める事が出来ませんでしたので、あしからずのうえご覧頂けましたら幸いです。
90年代のサンローランによるトラウザーズはチャコールグレーでもブラックでもなく、ほんの数滴のグリーンが混じった得も言われぬ劇的な色調を誇ります。一応、私のモニターを通して見る限り、最上段右足の先端部分にささやかな緑具合が視認できるのですが、皆様はいかがでしょうか。もし僅かでも色を感じて頂けましたら、それは本品の紛れも無いポテンシャルです。“ シャンデリアの下で黒より美しい黒に見える色 ” としてヨーロッパの社交界において高貴とされるミッドナイトブルーという色調があるのですが、このグリーンそれと近しい繊細な発色と思って頂ければと思います。
この色彩は心揺さぶられます。そもそも洋服において新鮮な印象のグリーンを、このようなに魅え方で表現するアプローチと、それを実現するメゾンの品格には相も変わらず頭が上がらぬ心持ち。トラディショナルで不変的なトラウザーズに新たな可能性を感じさせてくれる、またもや楽し過ぎる逸品です。
90s Yves Saint Laurent, wool trousers
フラットな2タックによる気取らぬテーパードと、柔和な生地のドレープアクションがまた気持ち良い。なにもかもがエレガントでノーブルな仕上がりを自由に料理して頂ければ幸いです。
SURR by LAILA 福留
03-5468-5966
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