私見と偏見 / Diary1370
16.1.2026

イタリアの上質なセーター文化には時代性を反映させた“当時の普通”というスタイルの要素が際立つのですが、時代を経ることによってそれらの普通が個性となり結果的にデザインスタイルと成るのは弊店にとって何より興味深く楽しく思えること。昨今のブルネロ・クチネリは御存知の通り総合的なファッションブランドの位置付けですが、この頃は御存知の通り純然かつ素朴なニットメーカーでしたから前述の要素性は顕著でして、特有のボンバーシルエットはまさに近代におけるデザイン性豊かなセータースタイル。ところでニットポロで首元のボタン一つってだけでこんなにもコンテンポラリーな雰囲気漂うって知ってました?

 

 

これはもっと遡って80年代のイタリーセーター文化、maloでここまで古い一着の御提案は弊店でも当たり前ではありません。よりボリューミーでよりボンバーで大胆なオーヴァーサイズ設計に心なしかいつもよりトロトロな内モンゴル産カシミアのモッタリとした肌触り、毛量もすんごいです。深いながら鮮やかな緑も良過ぎるなぁ。

 

 

こちらは90sなのでボリューム感も近代的なスタンダードに寄っているかもしれませんが今のそれよりもやはりデザインなスタイルバランス。しかしながらタートルネックでスプリングカシミアと呼べるほどのライトさって絶妙な存在価値かつ絶妙に出逢え無さ。タートルなのにスプリングカシミアって?ってティーンネイジャーの福留だったら問うていたかもしれないし場合によっては失笑していたかもしれない、そんな昔の自分を叱りたい首根っこ掴んで小一時間正座させるか代々木公園でバトミントンしながら説きたい、だってこんなにも有益なライフスタイルプロダクトなのだから。カシミアセーターの重ね着を昨年習得したからこそ尚更です。

 

 

細くなく太くもなく、どちらかと言えばハイウエスト気味でクラッシックながら腰回りの設計がコンパクトなので足の付け根にしっかりと太さがあったとてシュッとしたレッグラインになる。誤解を恐れずに言えばデザイナーズジーンズにおけるリーバイス501的存在感なこちらは、一見すると超絶普通ながら普通ではない“ファッションデザイナーによる設計”という意義が隅々にまで注がれています。なんせ32インチ表記にも関わらず実寸がウエスト29.9インチなのですから。デニムブルーも濃いったらないしレングスバランスも良くて満遍なく軽いエイジングがあるので裾の仕上げも最近ではないことが分かりますから、おそらくというか間違いなくこれはいわゆる“相当に良い個体”でしょう。

 

 

茄子っぽい色合いのいわゆるコットンツイル素材もまた如実なアメリカンカルチャー,デニムカルチャーの反映であると同時にカジュアルモードに相応しい個性と品の良さ。というかことコットンツイルに関してはオリジンのそれらが既に十分に品が良いのでファッションデザイナーの解釈が加わればそりゃ良いよな、と私は思います。でもあまりと言うかほとんど御提案したことがありませんのでなんと言うか当たりな印象、と言うかシンプルに洒落てるしスタイル表現の幅は正直ほぼ無限だと思うし季節の幅も広いし絶対良いっしょ、と私は思います。

 

 

胸元ポケット,マフポケット,サイドポケットが二重,そんでアヴィエイター的スリーヴポケットという有りそうでなかったマルチ構築かつハーフコートスタイルで少しだけバイカー感が香り立つ補強的なデザインスパイスという各所がかなり“キテ”るこちらは90年代頃と推測されるヨーロピアンアノニマス、匿名特有の何コレ感ギンギンであり稀に出逢えるもしかしたら○○が手掛けたんじゃ!?という不毛で楽しい妄想をギンギンに掻き立ててくれる感性ギンギンなレザープロダクトです。

 

 

ニット専門メーカーから総合的ファッションブランドに推移したからこそ如実となった“あれ、クチネリさんってレザージャケットめちゃ好きなんじゃない?”というフェチズム的な傾向、これもまた私がブルネロ・クチネリという存在を心から愛する要素性の一つです。私は良い意味で思うんですよ、ブルネロ・クチネリってデザイナーズブランドではないなって、創造するデザインスタイルではなく過去から現代に繋がり続ける文化を継承した真のコンサヴァティヴだなって、だから時に逆に新鮮だし徹底して素敵だなって。真のコンサヴァティヴ哲学によるフェチズムのレザージャケットってやっぱり凄い、猛烈にド直球だから猛烈に無骨で、だからこそ異常なまでの色気が漂うんですもん。これこそガンガンに着倒して相棒に仕上げてほしいレザージャケットだなぁ。

 

以上、私見と偏見による新作群のハイライトでした。

 

 

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