強大かつ素朴な欲望 / Diary721
21.5.2019

そしてもう一つの運営目的, 信念は “ 品の魅力を御伝えする ” ことに何より尽きまして、前述が御客様方へ向かった類に対してこれらは店という空間での表現全てへと向かった永久に精査と洗練が終わることのない類でして、男性に向けてのヴィンテージ専門店という題目を設けさせて頂いている弊店においてその判断や区別, 品一つ一つに纏わせる価値は様々な精査の末に弊店の勝手な基準であり続けており、ゆえに必ず異なる考えを有される御方が居られることは実感致しておりますが、そんな勝手な基準ながら, いやだからこそ全てに品において強く御伝えしたくてたまらない, この感動や愉しさを共鳴させたくてたまらないという強大かつ素朴な欲望が根本的にありますので “ どのよう ” に表現したら “ より良いか ” という各鍵括弧の部分は常に考え模索し悩み続けております。

どのように言葉を綴っても実物を目の前にした感情の方が大切で、どのような写真も人間の眼による表現には遠く及ばず、どのような背景も着用時の感覚的な “ 格好良い ” という説得力には敵わない。これらは私がこの生業における割合初期の段階に想ったことでして、ゆえに選ぶ存在と御提案させて頂く存在が向き合う形となる小売という生業を心から尊く豊かに感じております。そして世界中を旅して人と出逢い, さらに人から人へと繋がり, それに伴って数多くの選択肢を眼に手にし続ける過程で訪れる様々な輝かしい出逢い ( 本当にその品から微弱な光が放たれているかのような ) のきっかけのほとんどが感覚器官である私にとって、品を表現するうえでの最上として “ 物質としての魅力を直線的に、感覚的に無垢に現わす ” という目標ならびに欲求を常に抱き続けております。何度か店頭にてお話しさせて頂いているのですが、我々の知る背景や特徴などの言葉や解釈はただのおつまみ, 御通し, 箸休めでしかなく、主食は御客様であり主菜は品そのものである と、炊き立ての白米が御客様方で揚げたてのから揚げが品ならば我々はきんぴらゴボウだ と心から想っておりまして、とは言え結局のところ品は物言わぬ存在ですので、その僅かなる補足要因として我々のような者が居りますが、その品を捉え判断するのは御客様方ですので、その邪魔をせず, かつ御用とあらば陰ながら推し支えるのが我々に与えられた存在意義で、その推し支えの場となるのが店という空間であったり Diary であったりとするにも関わらず、言葉ならびに写真において、私は未だに満足できる表現に至ったことがございません。人の感情の, 人間の眼の, 感覚的な説得力の凄さたるや。いつも自らの力不足を実感致します。

 

表現を模索し悩む存在というのは実のところ弊店でほとんどの品が該当し、イコールそれだけ魅力を感じるという大変に幸せな成り立ちなのですが、直近で申しますと新作の以下ジャケットは本当に悩ましい存在でございまして、もちろん “ いつ ” の時代に “ どこ ” の区分より “ どのような ” 目的に則って製作され “ どのような ” 特徴を有するかというおつまみとしての要素はありつつも、一個人的にはそれ以上に物質としての根本的な魅力にて表現させて頂きたくて頂きたくて特にたまらない一着でありながら、並行して物質的な様々に “ あまり沢山の御人に共感頂けないのではないか ” という要素を感じつつも、だからこそどうしようもなく惹かれてしまう一種の中毒的な求心力に、Paris の中心地から外れた親愛なるコレクター様のもとで出逢ったあの日から熱病ごたる冒されているのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

メゾンやデザイナーとは異なる出生であり職人技術や文化とは異なる論点ながら、全く異なる方向性の豊か過ぎる特徴とそれらと同等の熱量と、どうしようもないほどの熱病性を有する一着です。

 

 

SURR by LAILA 福留

03-5468-5966
[email protected]

 

 


//

Copyright © SURR All Rights Reserved