Smoke blue / Diary604
13.10.2018

 

 

 

秋の気温に落ち着きました週末に、しつこく私からご紹介とさせて頂くわけですが、H同社の逸品を精選させて頂いた蹶起点 “スモーキートーン” が心から離れず、誠に勝手ながら没入感を憶えるここ最近で御座います。

 




 
時間と水分と太陽を吸収した “経過” によりスモーキートーンへと昇華された実相と、例によって天然木綿ならであの質素で柔靭なテクスチャーを確認できれば謂う事無しなわけですが、そのように好みを縛り上げず見渡してみますと、織りや染色、素材/組織の差異、あるいは無作為に “経過” した其れ等を感取した後、深く受け入れますと、いよいよを以てスモーキートーンの魅力へと没入していくわけで、さらにそれが美しいブルートーンを帯びた個体であらば、【スモークブルー】と命名したいほど、強烈な求心力によって引き寄せられるわけです。JISで規格されている正式色名を模索しますとプルシャンブルーとか、アイアンブルーとか、洒落た色名として存在していた此のスモークブルーは、総称的な認識でいざ参ろうと勝手な理屈でご容赦ください。
 
さて、そのように具体性もなくスモークブルーに取り憑かれているわけですが、まさか木綿以外で、まさかヌバックという特異点で、そのうえ、履き物との御縁というのはいささか信じ難い初見考察で御座いまして、グレイフランネルや暖かいマロントーンとの結び合わせを想起するだけで至極幸福なわけであります。

 

 

 

 

 

 


 

余分な装飾や自由表現を排除、極端にプレーンで清潔な面構え、端正な顔立ち。なまくら者を意味する Loafer=Loafers の基底と Vamp shoes を存分にご堪能頂ける要領を得た構造性、簡潔性。同社伝統的なクラフトマンシップ漂う誠実な御作りはご賢察の通りと憶います。地表との距離が近いシングルソールとフラットな底辺、全体として丸みを帯びたラウンドフォルム。粗野で前向きなヌバックと、壊れるまで履き続ける支配者の強い意志を注ぐことで成立する習慣的履物としての想像性は、ひとつひとつの敷石の上をコツコツと歩いて往く実直な其れであり、事実どこか懐かしいフレンチシューズを振るい起こさせる佇まいで御座いまして、しかしながらいずれの表現も、スモークブルーである魅力点には適わず。謂わずもがな、素晴らしいフランス靴で御座います。フィッティングJPN25.5が適正の方、是非、御賢察の程を。

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

90s Hermes nubuck vamp loafers “ smoke blue ”

 

 

 

 

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