2度目の2018a/w御披露目(のような気分)を迎えまして、初日より足を御運び下さった皆様、この場を借りて深く御礼申し上げます。今シーズンも何卒宜しくお願い申し上げます。
さて、私事にて恐縮ですが、先週は少し遅い夏期休暇を頂きまして、四国まで足を伸ばそうかなと例年の通り綿密な計画をひとり悶々と練っておりましたが、いざ当日を迎えれば体調を崩すのも例年の通り。昨年も一昨年も(今年は胃腸炎でした)。いよいよ東京⇄四万十川はパナマ地峡くらい絶望的な距離を感じております。そのようにして最後にDiaryをエントリーさせて頂いてから11日ばかり時が過ぎ、こうしたタイピングも久しく感じまして、なにかと落ち着かないわけでありますが、なにから書こうかと策も順序もないわけですので引き続きわたくしの中で特例的ポジションを陣取る同氏12着目の作品からゆっくり参りたいと思います。
テキスタイルのダイナミズム、生地のテクスチャー、リアリストを頷かせる着用感、参考資料を追えない実例のように同氏の頭脳内で紐付けされ,あるいは完結される発想点と着地点。根底にどっしり敷かれた性質と、表出されるティーンエイジャの温度、Jean Paul Gaultierという人物が表現する紳士服においては克明に表れているよう憶いますし、そのように「フレンチ・シックと少年性」というマテリアルに没入感を憶えるここ1年弱。昨年のニットも素晴らしかったし、タイロッケンコートも素晴らしかったし、11日前のショートジャケットも素晴らしいですし、本作もまた素晴らしいので。
専門的に保有しているヨーロッパのコレクター様もひとりしか御縁叶いませんで、そのように少量を大切に譲り頂いておりますが、故に、常軌以上の仔細な検分と観察にたっぷりと時間を割き、フルスロットルとは真逆で、あるいはリラックスした精神状態で迎えましたが、着用してしまえば冷静な猫かぶりは無理。パニナリルックを初見した感動や、95年の情熱的な若さより5年前のジュリーデルピーを魅力的に認識する某シリーズ同様の熱気がありました。
自分にはなにが必要であり,なにを着るべきであり,なにが似合うのかがまるで分からなかった10代の買い物というのは余分な情報に左右されることなく琴線に触れた1着を手に取り、袖を通し、神が舞い降りたかのように感動し、運命の伴侶の如く迎え入れ、構成的で頭脳的な買い物とは対極にある例えば其の少年性にも通じますが、最もファッションに近い場所に在るように憶いまして、愉しむという観点ではまさに極楽。着こなしやスタイリング云々ではなく、外食和室の際、靴をきちんと揃える所作に育ちの良さが滲み出るように、あるいは酒を呑んでも変わらぬ言葉遣い、ましてや着ている服といえばチョークストライプのウェイトが軽快な3Pieceなど。なんと粋な事。なんと、粋な事。
New arrival late90s Jean Paul Gaultier 3piece suits
3pieceというのは、シャツ・ジャケット/トラウザー/タイ、の構成プログラムでして、それぞれの活用法などわざわざ記さずとも宜しいように憶いますが、無芯のタイは御目出度い席で初めて結び、裾は出し、アクティブギアとしてミリタリーやチェルシーブーツを簡抜する仕合せも謂わずもがな、自由にラディカルにお召し頂く事、大満悦の態。
SURR by LAILA 小林
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