今回のコートをご紹介するにあたって、360° 様々な角度からの表現がマストに思ったのですが
あいにく既存の環境ではそれが叶いませんでした。 が
考えに考えた結果、店内環境を一工夫すれば可能な事が判明。
上のような有り得ない画角も可能になりました。これはなかなか使えそうです。
8年くらい経っての新たな気付き。考えるってやっぱり大事。
なぜ360° から表現したかったかと言うと、
生地の柔らかさが度を越えていたから。
いわゆるPコートのスタイルであり、アウターらしいアウターであるそれは、
あまりにもアウターらしからぬ、驚異的な柔軟性を備えているのです。
どの角度から見ても美しく収まるドレープからも、
その柔軟性を感じ取って頂けるのではないかと思います。
ウール・アルパカ・ポリエステルの3種混紡素材は
まるでニットやジャージーのような軽さと柔らかさを兼ね備えているのですが、
ソフトネス最大の秘密は、そこではなく裏地にあります。
そうです。裏地が無いのです。
元々は防寒性より服の構築性を目的として配されるようになった裏地。
裏地がある事で、よりフォーマルなフォルムを表現する事が出来ますが
それに伴い『 硬さ 』 が生じてしまうのも一つの事実。
ゆえにミリタリー等ではしばしば裏地無しのアウターが登場しますが、全ては動きやすさを目的としているのです。
そこに新たなファッション性を見出したデザイナー達によって、裏地無しのアウターが作られてきました。
近年ではフィビーのクリエイションを、私は印象深く記憶しています。
服から『 硬さ 』を無くす。
エレガントとは逆を行くようで、更なるエレガンスを生み出す実験は
裏地にまで配慮を怠らず、考え考えた結果 “ 無くす ” という結論に至りました。
考えるってやっぱり大事。
early-mid 90s Dries Van Noten
裏地無しによる柔軟性、ドレープの美しさ、モードな落ち感は
袖を通した瞬間に心を奪うほどのパワーです。
シックでありながらどこまでも現代的なスタイル。
オーバーサイズにおいての、限りなく満点に近い逸品 かもしれません。
SURR by LAILA 福留
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