良質なLANA WOOLを丁寧に織り上げたローゲージ組織は、1980年代、当時ARMANIの信頼を勝ち取っていたイタリの工場、又はニッターが仕上げたもの。すべてリブで織られており、懐かしさを吸収した具合は、ソフィスティケートさせていない点がそうであると思うのですが、肉厚なリブのゲージをより甘く編み上げることで、又はそれをフィニッシュとしている事。砕いて表現すると、「手編み」のイメージそのままを具現化したようで、とはいうものの、“ 丁寧に編まれた ” と表現することが適うように、やはり丁寧に編まれているのです。「手編み」のイメージそのままを具現化したように。
それは、折り返しを設けず、頭形にそのままフィットさせる種類のもの。所謂、“ ビーニー ” にあたるのでしょうが、鮮やかなネイヴィ色にしっかりとした太さの羊毛は、カシミアのそれらとは対極に位置する強さを秘めたもので、雑に、無造作に、そして深く被った際に、どこかナーディーで、どこか無遠慮で、にもかかわらず男性的でセクシーな要素であるイタリの本質を、本国ニッターの手仕事を通じて知ることに。
ともあれ、鮮やかなネイヴィ色に明瞭に浮かぶホワイトの羊毛。“ A ” と “ J ” と端正に編まれた二文字は、1981年に発足したGiorgio Armaniのデイリーラインに位置するArmani Jeansの頭文字を意味するのでしょう。
意味するのでしょうが、この “ A ” と “ J ” を視界に捉えた際は、Giorgio Armani氏には申し訳がないことに、1998年公開の「Armageddon」作中の主演ブルースウィルスが演ずるハリーの部下であり、グレースの恋人であるA.J.フロストが浮かんだ次第。一度イメージしてしまいますと、もう頭から離れません。
80s Armani Jeans knit Beanie “ A J ”
作中の彼のアイコンがビーニーだったわけでもなく、むしろスタンパー・オイル社から世界を救いにいくジャンプスーツとヘルメット。それほど、ベンアフレックの演じるやんちゃながら才気溢れる青年、そして作中の愛称「AJ」という二文字の威力でしょう。いずれにしても、AWシーズンにて新作でありながらひっそりと置かせて頂いているAJビーニーを見て、「お、アルマゲドンのAJじゃん」とお声を頂くこともなく、何なら「Armani JeansのAJですか」とご着眼頂くこともなく、「Aと、、何ですか?」という具合。
いつも分かりづらいディスプレイで申し訳ありません。
どうぞアルマゲドンファンでも、ベンアフレックファンでも、イタリニット工場の名も知らぬニッターファンでも。
SURR by LAILA 小林
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