両刀論法 / Diary500
21.2.2018

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古きを知り新しきを産み続けたモードの帝王ムッシュによる作品は、昨年 LAILA VINTAGE の Yves Saint-Laurent Archives にて多数御披露目させて頂きまして、それは私にとって大変に感慨深い喜びに満ち溢れた催しでしたが、それと同時に思い起こされる胸に秘め続けた願いの一つは、ムッシュが創る男性のためのプレタポルテアプローチとの出逢いでして、氏が手掛けた作品のほとんど, 言うなれば 99.9% が女性のための品々であり、そもそも数年前のとある一着との出逢いまで男性のためのプレタポルテアプローチの存在を考えたことがないほどに、言ってしまえば願うことそのものが野暮なほどの確率であるというのが ” メゾンヴィンテージの世界 ” の一面なのですが、しかしながら存在を知ってしまった限り願わずにはいられないものの、例えお金を積もうと時間をかけようとそもそも叶わない想いゆえ、旅の度に現実を突きつけられざるを得ません。

本当に本当に、お金を積めば良いというわけではなく時間をかければ良いというわけでもない、ある種神のみぞ知る出逢い。それはムッシュの作品に限らず私にとってヴィンテージにおいての究極的に厳しい現実であり、かつこの生業を続けている最も大きな要素でもあるという単純明快かつ圧倒的な求心力を誇る麻薬のように甘美で妖艶な両刀論法です。

そして出逢えた本品は、紳士性を余すことなく備えていながらそれらに極上のアレンジを加えるムッシュの、帝王たるプレタポルテアプローチが施された逸品。私個人にとって最も尊敬する, 好きなデザイナーゆえ多大なる私的感情を含む表現で恐れ入りますが、” 王の風格 ” たる一着をここに記させて頂きます。

 

 

 

 

 

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深く延長されたネックの V ライン。ステッチそのもののピッチとステッチ同士の距離。創造的なガンフラップ。上品過ぎるほどのボタン。極めて微細に拡大されたベルトやベルトループ。糸の細さを洗練させたテクスチャー。ムッシュならではプレタポルテアプローチに関しましては、こちらでの読み解きは以上と致します。 ” 各所、従来の基盤的に沿いつつ圧倒的なまでに絶妙な感性を注ぎ込むことによって表現される、伝統的かつ正統的で、何よりモードな出で立ち ” という言葉では安っぽくなってしまうほどの, どんな言葉を用いても表現しきれないほどに圧倒的な帝王による真のデザイン, 真のモード, 真の個を実物にて皆様方の五感で読み解いて頂けましたら幸いです。

 

 

 

 

 

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mid70s Yves Saint Laurent, trench coat

 

 

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