この先もきっと応えてくれる / Diary426
1.8.2017

不思議なことに、 “ XX ” というたった2文字のアルファベットが有るか,無いか、其れだけでその1本の貴重性や高級度は変わってくる今の世の中ですが、現存数が少ないから貴重であり、伴って額面上立派なものだから高級である。仮に前者が正しく、後者を再考しようものなら、 “ XX ” と記されているのには意味がないわけがないと先ずはそこから。当時は「最も丈夫な生地、かつ、上質の証明」という意味もそのまま、この上なくスペシャル印字なわけです。と謂いますとチープなニュアンスに聴こえますが、とはいえ、あくまで当時の証明表記。現在では素晴らしい織り機や生産背景、丈夫なパーツ、丁寧な縫製、工夫を凝らしたパターンメイクが御座いますので、偏に謂ってしまえば、当時の “ XX ” よりも上質なジーンズは当然に生産できるだろうと、生産のプロでないので安易に申し上げることはできませんが。さらに、現在のあらゆるメーカーやデザイナー、存在する千差万別なるブランド、そこから送り出される多くのジーンズの外形やディテールは、「Levis」というメーカーのジーンズを教科書としている事実もまた無視はできない事実でありましょう。「おまえは是だけ世の中に認められてるレッグラインだってよ」と、目の前の1本に対する付加価値や敬意に値するものですが、ともすれば、現在の卓越した加工技術を保って、リアルな人間が、リアルの日常で、リアルの動きで、膨大な時間をかけて、生活に徹した着地点の証、例えば、腰回りの迫力を再現したとて、裾の2重線や偶発的に出現した膝下の狙っていないホールまでも、“わざわざ”再現する必要はなく、再現するとすれば、もっと良い位置に、もっと格好良く。将又、忠実に再現したところで、何故こういう加工を?と疑問符が付き纏う中、裾の2重線や偶発的に出現した膝下の狙っていないホールを有した50年代のXXが、疑問すらなく許される事由は、とてつもない時間を過ごし蓄えられた経験値と、吸収し続けた水と酸素、日の光も天水も支配者までもも全てを許し、最も丈夫な生地、かつ、上質さを、腰の小さなパッチが取れようとも結果で証明してきた柔軟の上に頑丈な青い生地。対面した際に、敬意すら払う心境を無下にはできず、「これからもよろしく」と挨拶を交わし、ふと我にかえった瞬間、疑問すらなく許される事由と、額面上立派なものだから高級ではない回答に気付き、そのときに感じた感情は、そっと心の引き出しにしまっておいて下さい。そして挨拶を交わしたその1本は、現在のハイクオリティな生産環境で生まれたものではなく、1950年代初めてジップという機能を取り入れた501Zというナンバーであり、「最も丈夫な生地、かつ、上質の証明」が成された2文字のアルファベットを有しただけのジーンズで御座います。ステッチはどうか、赤タブは付いているか、パッチは、アーキュレイトステッチは、裾上げは、其れよりも、この1本が過ごしてきた過程に想像を巡らせ、「おまえはこの先も応えてくれるか」とセカンドコンタクトを。それはクエスチョンというより、大きな期待。
 
あえて申し上げるならば、この先もきっと応えてくれるでしょう。
 
 
 
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50s Levis 501ZXX vintage jeans

 

 

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