2016 A/W の編集意図が固まったうえでロンドンの街はずれ、ゲットーな空気漂う地区に住む熟練のコレクター、ヴィンテージに関わる生業を仕事ではなくライフワークとして心から楽しむ英国紳士のもとで出逢えた一着は、付ける事の出来ない順列をあえて付けるとしたら、今期の BEST 3 に属します。
“ 今はどんな気分だい ” と、親切な彼は時に問い掛けてくれます。“ コーヒー飲むかい ” とも。その時は頭に浮かんでいた想いに則って “ 100年以上受け継がれる要素やスタイル ” という世界観と、それを表現するにおいて最も喜ばしいマテリアルであるシルクのアイテムがあればベストである旨を、土台不可能であろうと決めつけつつ投げかけたところ、彼は “ イエス ” という答えと共に “ 最近手に入れたんだ ” “ これを見せるのはケンタが初めてだよ ” という最高のキラーワードを唱えつつ秘密の部屋から持ってきてくれました。
それは今から 100 年と少し前に、英国のとある環境において “ doorman ” という職種の人々が着用していたコート。アンティークでありユニフォームでありワークウェアでもあるそれは、奇しくも工業性を多分に含むヴィンテージプロダクトがデザイナーやアーティストの手で、また新たな角度のモードとして捉えられ始めているしている “ 今の今 ” に、さも示し合わせたかのごとくタイミングで私の前に現れてくれました。
それを差し引いてなお、心躍るそれ。ドアマンという要素に則った 100 年と少し前でありながら今なオーバーサイズのテーラーパターン、さりげなくありながら着用されていた環境に適したエレガントなディティールと色調、ユニフォームやワークに則った特殊なパーツ使い、何よりシルク 100 %という類稀なる条件。それがほとんど着用されていないコンディションで出逢えたことも、喜ばしくて仕方ありません。
1910s Victorian , doorman silk coat
それこそ、近年のアーティストデザインによって、ドアマンという文言に馴染みのある方もいらっしゃると思いますが、そもそも相当に特殊な存在ですので、いわゆる “ 珍しいお品 ” に属するのですが、引き続きリアルクローズとして 120 %の魅力を感じた点が最もです。
なお、“ どの環境 ” で着用されていたかも判明しておりますが、ここに記すのは僭越ながら控えさせて頂きますので、僅かでもご興味頂けましたら店頭にてお気軽にお声がけくださいませ。普通にサラリとお答えさせて頂くと思います。
SURR by LAILA 福留
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