

パターンをフランケンシュタインよろしく訝しく繋ぎ合わせたりシームを意図的に分断し裏地を覗かせるという大胆ながらシンプルゆえ仰々しいロゴのように目を引かないモードの概念、この高位な目線もまたティエリー・ミュグレーという服飾史における重要人物の一人からしたら当たり前のものなのでしょうが昨今の多角的なヴィンテージの流れや多角的なアーカイヴという単語表現になるより遥か以前からヴィンテージとして,そして真のアーカイヴとして世界中の愛好家に熱く支持されていたデザイナーの一人であり、例によってウィメンズのオートクチュールやプレタポルテはまだ流通しているもののメンズのプレタポルテがほぼ皆無がゆえに男性に向けられたベクトルのそれを画像で目にしたり実物を目の前にする機会は25年前も今もほとんどなく、時間が経てば経つほど出逢えなくなってしかるべきなヴィンテージの世界でありながら“今も昔も全然ないから逆に今も昔も出逢いの確率が変わらない”という言語化するとちょっと面白い感じになるのがこのような弊店にとっての特級な存在であり、色々と商談がまとまった頃にドヤ顔で裏から出してくる存在であり(こういうことする人、結構多いんですよ。で、それがまた格別に凄いから悔しい)、出逢った次のコレクターに見せたら奪われそうになった存在なんです。まぁ奪おうとする気持ちは分かるけれども。




ということで90s Thierry Mugler hommeのレザーバイカージャケット。ミュグレーを御提案する機会は弊店においてあまりありませんが店頭においては“服飾を専門的に学ばれている方はきっと御存知”と言った捉え方でお話することが多いデザイナーです、もしくは今日に至るまでどこかで知る機会があったファッションLOVERか。後者は個人的には珍しい事例だしさらにミュグレーが好きという男性が居られたらかなり稀有と言うか“めっちゃ変な人なんですね!”と素直に思いますし口にも出しちゃうかも、だって猛烈に素敵な変な人だから。ミュグレーの本質的な世界観は本当に奇特でありだからこそモードデザインをアップデートさせたし服飾史に名を残すし今なお人々を熱狂させていますから素直にファッションを楽しんでいる過程でミュグレーを知り好きになった男性がいたら私は本当に変で最高に素敵でどんな人生を送ったらそう成るのか気になって仕方がありません。恐らくはとてつもなく純粋で動物的な感性を有していて、それはデザイナーとしての素養に近いのだろうと思うから。なにせ私はそれらを有していない。ちなみに服飾を専門的に学ばれている方は別、その姿勢と環境でミュグレーを好きにならない・尊敬しないことはきっと不可能です。
歴史が積み重なれば自ずと多数派と少数派に分けられますから、後者であったミュグレーが1975年に初めて発表した昆虫や獣や合成生物がモティーフとなったコレクションはパリジェンヌやパリジャンにとってそれはそれは奇特に映ったそうですが、自身を“美の闘士”と称した彼はそのまま邁進するどころかドンドンと進化して人々を納得させ熱狂させます。
なのでこのフランケン的であり分断されたレザーバイカージャケットは物凄く優秀。大胆ではありますがシンプルなのでモードデザインとしての尊さと稀有さは充分ながら現代の洋服として捉えた時に“普通さ”も漂ってくれるバランス感なのでシンプルに着易くて着こなし易くてシンプルにとっても格好良い、もう一度言いますがミュグレーの本質的なプロダクトにおいてこのバランス感は物凄く優秀です。
私はこれが生業で服飾を野生で専門的に学んできたので諸々を加味した御提案しか残念ながらできませんが、これは年間において稀に出逢える“そういう背景関係なく滅茶苦茶かっけえじゃん”の拳一本でバッタバッタとなぎ倒せるデザイナーズヴィンテージプロダクト、私なんかは先頭付近で真っ先に吹き飛ばされるモブ、おそらくは1ページの1/10のコマ割り中の隅の1ミリ実寸で書かれたら良い方でしょう。

New 90s Thierry Mugler homme leather biker desgin jacket
こういう存在のデザイナーズヴィンテージの品々をもっと沢山御提案したいし、しなくてはいけないマジで。仕事頑張ります。
SURR 福留
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