誰が使うんだよ / Diary1330
29.8.2025

人が十人いたら十人異なるように鞄も十個あったら十通りの使い方があって有用性がある。 そんな格言は掲げていないだろうけど、そう思わせてくれるほどに十人十色で千差万別な鞄のバリエーションが存在するところも弊店が特にヴィンテージHermesバッグを愛するうえで重要な要因です。僭越ながら様々なヴィンテージバッグと出逢った際、ある程度“あぁこれは御要望多そうだな”と自動的に想像するようになったのはいつからだろうか。それは邪推かもしれませんがある程度のサイズ,雑誌がすっぽり収まる,ある程度のPCガジェット系が収まる,ペットボトルが縦に入るといったサイズ感だとまぁやっぱり御要望多そうだなと思ってしまいます、事実私もそういう観点で鞄を探していたことがあるので。でもそれはあくまで傾向と言うか一般論と言うか、基本的には前述の通り十人十色で千差万別が常だと思っているのですが一年中SURRで御提案すべき鞄を探し求めていると御要望が多そうか否かはある程度プライオリティーが高くなってしまう時もしばしば、意識的にも無意識的にも。でも並行してとっても好きというか、やたらめったら惹かれてしまう,グッときてしまう,キュンとしてしまう鞄のサイズがあるんです、多分個人的趣味嗜好の根幹が作用しているはず。

それが誰が使うんだよってくらい小さな鞄。

 

 

 

これは最たる例です、何せ500mlのペットボトルの口がちょうどはみ出るくらいでジャスト(イメージ画像は下に貼っています)なんですから。2年ほど前に各モードブランドがこぞってボトルホルダーバッグを発表したのは記憶に新しい(楽しく思ったのを覚えています、ルメー⚪︎のレザーのやつとか)ですが、これは今から遡ること24年の2001年に発表された一品です。時を同じくしてHermes femmeのクリエイティヴディレクターを務めていた首にチョンチョンチョンチョンのあの人がある日バッグ工房を訪れた際に使い終わった革の端切れが雑に積まれているのを目にしバッグチームに“何かしら有効活用した方が良い”とアドバイスしたのは有名な話で、その影響で幾つかの名作が生まれましたが、その彼が在籍していた数年の間に不自然なほどに小さくかつ個性的なフォルムであったり機構であったりの鞄が点在していることを御存じでしょうか。まるで雑に積まれていた革の端切れから生み出されたかのように、小さくしたいのではなく端切れだから小さくせざるを得なかったかのような,個性を有したかったのではなく端切れだから個性的なフォルムにせざるを得なかったかのような。しかしながらそれも推測の域を出ません、なにせそれら不自然なほどに小さな鞄はほとんど実物確認できませんので、まるで端切れから思いつきでつくったかのように。

まぁ何にせよこれは抜群。だってスマートフォンに小さめの財布でかなり良い感じの収まりなんですから、もうちょっと何かしら余裕で入るくらいの容量です。というか昨今これくらのスマホバッグ持ってる人そこら中にいますよね、でもこれが生まれた2001年にはスマホはありません、普及するのは十年ほど後の話。

 

 

そんなスマホが普及してからの数年間、Hermesは特に実用的で機能的で男性性が強いアーバンデザインを輩出していました。それらは例によって数年間のみで一挙に廃盤になってしまいましたが私はずっと想い続けています、間違いなく要望の声が多いプロダクトの数々であったと。その一つがこちらのスリングバッグです。これもまた先のスモールバッグと同じくらいの容量ですが500mlペットボトルはちょうど入るくらい、そしてあと少しだけ余裕があるくらい。まぁいずれにしても小さいですね。でもこのスリングバッグデザインが実用的過ぎるし機能的過ぎるし男性性としてグッとき過ぎるしアーバン過ぎる。それこそ最近もHermesはスリングバッグ的なプロダクトを提案してくれていますが、それらより圧倒的にアノニマスなんだ。

肩からストレートに引っ掛けて,クロスボディして胸元に,左右で長さを調整できるのですが最長で約100cmなのでウエストにONする選択肢も。特に必要なものだけを詰め込んでメインバッグ+アルファという存在価値も間違いありません、私も年間においてそういう使い方したいタイミング結構あるんだよなーくぅう。

 

 

 

 

 

New 2001s Hermes & 2010s Hermes

 

鳴々本当に大好き誰が使うんだよってサイズ感の鞄、実際問題相当に使い勝手良いですからねぇ。

 

 

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