冬ですね / Diary1272
5.12.2024

60年代のフレンチプロダクト。親愛なるコレクターいわくスポーツジャケットの一種とのことですがこんなデザインのバランスと言うかスタイルのバランス、フレンチウェアやフレンチワークのカルチャーどころか全てのファッションカテゴリーにおいてこれまでに見たことがありません。ウールとピケのコンビネーションで色味もさりげなく確実に洒落ていて,ちょっとバイカージャケットっぽい前立てに胸元のフラップレスポケット(しかも内側にしっかりとピケを配置という粋),ダブルアクセスのサイドポケット,これまた洒落た配色のウールライニング。シルエットもテーラー仕立てで猛烈に綺麗でトドメは着用感が極めて少ないフレッシュなコンディション。格好良過ぎる。

 

 

KIMONOを連想させる極端に造形的なデザインシルエットは80−90年代のウィメンズモードシーンにおいて定番的な世界観で様々なデザイナーによるアプローチが散見しますが、それが純男性用,しかもLoro Pianaのウールカシミアマテリアル(生地感トロットロ)を用いるというクラッシックカルチャーから発されたというのはこれまたかなりかなり稀なこと。デザイナーやヒストリー不明なイタリーアノニマスのプロダクトですが、根幹には抜群の鮮度と感性が光りまくりです。こういうのが時たま“実は⚪︎⚪︎がデザイナーを務めていました”みたいなローカルでしか出回らなかったような事実が発覚することがあってまた抜群に楽しい。

 

 

“招かれた際に家主の空間を汚さないようアウターを裏返しにする”というヨーロピアンカルチャーにも確かに根付いた素敵な素敵な他者への配慮によって時たま存在するなんで?というほどに美しいライニングの数々、Valentino Uomoの初期クリエイションであるこちらの艶やかなペイズリー柄も見事です。あとタータンチェックのウールコートなんて素敵過ぎ、あとサイズ表記44なんてコートじゃ初めてなんじゃない?というレベルで稀有過ぎ。

 

 

2010年代とヴィンテージと呼びきるには少々若いですがこの面構えですから、そんなん関係ありません。フランス海軍におけるデッキジャケット、屈強な防水の素材感に“国そのものがデザイナーである”という純然たる事実と“まず軍など国の機関のために設計や開発がなされて、時間が経ってから一般的な企業もそれを流用することができる”という社会の縮図を改めて思い出させてくれる究極的なプロダクトデザイン感。男前過ぎます。着脱式ライニングも嬉しい限りで年代うんぬん以上に弊店にとって歴代トップクラスにモダンな感性と存在価値が詰まった一着です。

 

 

実は というわけではないのですが、私全然馴染みがないんですよローデンコート的なプロダクト。2年前くらいだったかな、Burberryのそれを御提案したのが初めてで最後だったと思います。実は というわけではないのですが、なんだか食指が動かず今に至るんです。でもこれはなんだかとても素敵に感じました、セレクションの場にある程度の数が揃っていたのですが選んだのはこの一着のみでして見比べて初めて分かったのですがマフポケット付きの個体はこれのみ、確かにかなり好きですマフポケット。あとフランス産のローデンコートってあるんですね、珍しいのでしょうか?教えてフレンチマニアさん。

 

 

これ滅茶苦茶綺麗です、つぶつぶの色味が散りばめられたなんとまぁカラフルな肉厚ツイード。50年代フランスの仕立てなのでヴィンテージらしいぎゅっとしたある程度の質量があるコートなのですが、本体が丸みを帯びたパターンメイクなのと着丈が長過ぎないこともあって、個人的には重いと感じず“しっかり適切に暖かいんだろうな”っていう安心感が先立ちました。あと細かいんですが肩線と袖の縫い合わせが連結されていまして、これって個人的には地味ながら実はあまり出逢えない構築な印象なんです。1995年に首後ろチョンチョンチョンチョンのあの人が人形の服をテーマにクリエイションした際シンボリックに取り入れた構築でして、以来出逢っては地味にテンション上がるようになってしまいました。肩線と袖の縫い合わせが連結されているの、結構際立つんですよね。

 

 

 

 

 

New. Winter product

 

都内もそろそろしっかりと寒くなってくれそうな気配、嬉しい冬ですね。

 

 

SURR 福留

Copyright © SURR All Rights Reserved