70年代初頭 / Diary1116
27.3.2023

建築学,航空学,フランス空軍パイロットを経てからファッションの世界に入り、クリストバル・バレンシアガを師事した後の1961年にデビュー。ファーストコレクション“白の幻想”にて高い評価を得て1965年の“ミニ・ルック”にてそれまで醜悪とされていた女性の膝頭を解放しファッションシーンに大衝撃を与えた後も“コスモ・ルック”や“シースルー・ルック”などの様々なコレクションによって服飾史を牽引していたフランスのファッション・デザイナー,アンドレ・クレージュ氏。ミニスカートの発案者はマリー・クワント女史だと言われていますが、オートクチュール・コレクションで初めて採用したのは彼なんです。私にとってアンドレ・クレージュ抜きに服飾史を語ることは、至極当然不可能。

 

 

我々はデザイナーズヴィンテージと定義する区分には様々な人々が居りまして、その内容は年々更新しています。2050年に成ったら2020年代をヴィンテージとしているということですね。はてさていったいどんな内容になっているんでしょう、その頃にはアレやコレが良いクリエイションに感じられるのでしょうか。神のみぞ知る。なので今とSURR設立直後も違いますし、旧体制であったウィメンズとメンズ混合のLAILA VINTAGE時代の頃なんてもう本当に全然違います。更新され続ける今をモダン・デザイナーズヴィンテージとしたら旧LAILA VINTAGE時代は紛れもなくクラシック・デザイナーズヴィンテージ。そう、クラシックなんです。

 

その頃は前述した60年代を一つのカテゴライズとして強く濃く認識していましたし、実際にそれを特出して好まれる御客様方も少なくありませんでした。今はきっとファッションを学ぶ立場の方や調べるのがお好きな方でしたら一つのカテゴライズにしているかもしれませんね。事実雑誌や映画やCM用の衣装として“シックスティーズスタイル”という御要望の声が消えることはありません。それほどまでに明確な世界観を有するシックスティーズを構築した数人のうちの一人であるアンドレ・クレージュ大先生は元々建築や航空を学んでいたり、1967年の時点でオートクチュール部門をPrototype(原型)、プレタポルテ部門をCouture futur(未来のクチュール)、ニットなどの軽い衣類部門をHyperbole(双曲線)とクリエイションを3つに分けるといった今のアチラさんやコチラさんのような姿勢を先行して行うなど近代未来に対する関心が強くそれらを先読みして行動に移す方で、それゆえに膝頭を開放したりコスモ(宇宙)ルックなどが産まれたのですが、それと同じく大先生本人が愛して止まなかったフューチャリスティック素材にビニールがありました。いわゆる化繊素材、ここでもアチラさんやソチラさんの顔が浮かびますね。

 

 

このスタイルを本当に好んでいたようで、時代を越えて様々なシーンでの着用が確認されています。上記の記録写真ではウィメンズプロダクトを着用しているのでCourrages hommeが始動する1973年以前ですね。

 

こちらは1976年の記録写真。メンズプロダクトになっていますね。

 

 

 

 

 





そしてこちらがミッドナイトブルーカラーの同プロダクト。デザイナー本人が愛用していた個体の御提案が叶うなんて本当に光栄ですよ、大先生。

 

と言うか、と言うか、とゆーか。この時代のCourrages homme自体出逢ったことがないし記録写真もキャンペーンビジュアルも一度も見たことがない。これを譲ってくれたコレクターも同じくでした。2020年にニコラス・デ・フェリーチェが就任して70年代のビニールジャケットをアイコンとしてReedition名義でメンズでも展開した時にこんな感じなんだーって関心したくらいですもん。なんだよラベルデザインかっけぇなぁ、ac(Andre Courreges)ロゴ横並びしか見たことなかったけどHommeだと縦バージョンになるんかい、サイズ表記Cってそのカルチャーを知っているからA→Sサイズ,B→Mサイズ,C→Lサイズって分かるけどそうじゃなきゃ珍紛漢紛(ちんぷんかんぷんって漢字あるんですね)やないかい。15年以上向き合っててもなお“はじめまして”、面白いって。

 

 

 

 

 

New arrival,early70s Courreges homme vinyl jacket.

リーバイス2ndジャケットSTYLE、フレッドペリーのポロシャツを愛用していたがための胸元ワンポイント、特徴的なFULLパイルライニング。独創的過ぎるって面白過ぎるって大先生。
これは私にとって紛れもないミュージアムピースであると同時に現代のファッション目線において独創的なテクスチャーで,堪らなく好みなカラーリングで,猛烈に愛する腰丈でクラシックカルチャーを直接的に感じさせつつオリジナリティー満載で,現代的な着こなしにマッチするオーヴァーサイズというリアルクローズに適し過ぎており,コンディションが抜群なヴィンテージピースです。本当ありがとうございます過ぎるって大先生。

 

 

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