1996 / Diary882
29.6.2020

グッチという名前が思い浮かぶと、現代ではアレッサンドロミケーレ氏がここ数年で印象的な存在として挙げられ、または経営不振の Gucci の再生へと導いたトムフォード氏のエロティックでミニマルなスタイルと衝撃的な広告キャンペーンが頭を過ります。しかし、グッチの背景にはご存知の方もいらっしゃるかと想いますがファッションハウスとしての以前にエルメス同様に馬具メーカーとして革の専門店から誕生しています。

 

 

1996s Supring – Summer Collection

 

映像を通して久方ぶりに見る動くケイト・モスに目が行ってしまいましたが、1996 年春夏は男女合同で行われていたコレクション。

 

氏の創る一環としてミニマムでセクシャルで。男性へ向けた不変的なプロダクトがここまで優雅に表現出来るデザイナーは他にいるのでしょうか?

 

自身の看板を掲げる事で評価が大きくなり、社会的イメージとプレッシャーから心身ともに苦しむデザイナー達を見てきた氏は人と人との関わりを尊重する非常に人間味のある性格とはインタビューを読むまで知らずに勝手ながらクリエイション同様に強いお方だと解釈していましたが、そういった側面を知るとクリエイションの見方が変るのは人間らしい卑怯な感覚なのかと反省しています。

リアルタイムでご覧になられていた方や現代の同社を愛好される方、フォード氏もミケーレ氏もベクトルやものつくりの姿勢は異なりますが参考としている材料は双方共に過去の Guuci のクリエイション。表現方法は違えど近しいプロダクトが生まれるのはその影響なのかと。

 

1930 年代に誕生した通称ホースビットは Gucci を象徴する馬具から連想された金具のモチーフ。そのモチーフと様々なチェーンデザインを抽象的にでは無くリアルなグラフィックに落とし込んだ独創的なパターンはグリーンカラーをベースとした色調と不思議と調和する他には無いパターンが特徴的な一本となります。

 

 

 

90 年代らしいローライズなスタイルは腰元で履くことによりヒップからレングスに掛けてのラインがより美しく、細過ぎないスリムストレートなカットラインが Levis 505 の様に不変的なシルエットを演出。敢えて柄合わせをしない事で生まれる不規則なパターンは違和感と共に個体性を発揮してくれます。

 

 

New arrival, 1996SS Gucci by Tom Ford chain pattern cotton tousers.

「他の人とは違うものを欲しい人のためにデザインをしている」

まさに。

 

 

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