新作より、UMC / Diary870
26.5.2020

それでですね最近ふと想ったのですが、不変にプラスアルファで何かの要素が注がれた時に、不変の要素をしっかりと突き詰めていればいるほど、そしてプラスアルファが稀有であればあるほど怪物のような品が産まれる と。まぁそもそも数多くのファッションピースが不変を踏まえたうえで様々なアルファを注いで看板を掲げたりなんだりを行っておりますので、結局のところ全部当てはまると言えば当てはまるのですが、その際に不変に軸足を置くかアルファに軸足を置くかによって在り方が変わりまして、弊店は純正の雑食姿勢にてヴィンテージ / アンティークの様々を御提案致しておりますが、感覚的には不変に軸足の方がその化学反応は際立ち、怪物としての存在感は高まるように想います。

不変に軸足を置き追及すればするほどに、稀有ななにかしらのアルファをプラスした際に炸裂する存在価値。弊店における御推奨としてもかねてより、そしてこれからも申し分ございませんし、私は自身の衣としても大好物であります。

 

 

 

不変の追及といえばこちらの看板が代表的な一つでしょうか。“ 手に取ってくれた人が元来持つ魅力を損なわず、邪魔せず。陰ながらそっと押し上げるような存在を創りたい ” という理念を胸に秘めた一人の親愛なる女性が手綱を握って三十年以上経ちますが、その以前から感覚的には同じくなクリエイションを積み重ねていた同社。ですが、ここまで古い時代の Homme ピースは存在自体が未確認な UMC ( Unidentified Mysterious Clothing ) なために驚きを隠し得ないと共に、“ 本当にずっと変わらない目線であり続けて現代に至るんだなぁ ” と物質から再認識でき心が暖まります。

不変の追及に加えて申し分のない品質目線なうえで、この度更に加わりましたプラスアルファは時代性でして、服飾史におけるモッズと申しあげると端的なのですが、紳士においてもシャープでスタイリッシュで様式としてのゴージャスさ ( 時に性を越えるほどの ) が際立っていた時代ですので、各所に注ぎ込まれたディティールデザインとしての基本を押さえたうえでの豪奢さと、何よりもシルエットの美しさがこれまでに御提案してまいりましたどの同社トレンチコートよりも際立ちます。
しかしながら最終的な着地点は、悠然と “ 純・レインコート ” としているところが何よりもたまりませんでして、時代に即した要素を注ぎ込んだ個性が在りながらも、結局のところは何かと言えば身体を守る羽織りだぞ と。あわよくば雨も防げると尚良いぞ と。真にそう思っているからこその、なんとも言えない心地良さが秘められた一着でございます。

 

 

 

 

 

60s Hermes raincoat.

と綴っておりましたらほんの僅かですが雨が降ってまいりました。普段は億劫な心持ちになりますが、このような存在のお陰で悪くない気分です。

 

 

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