何度かお話させて頂いております服の余白。オーバーサイズ全盛期の今に関わりなく、かねてから重要視している要素です。
音楽であれば “ 間 ” 、写真であれば “ 空白 ” 、文字であれば “ 行間 ” といったところでしょうか。 “ 余暇 ” や “ ゆとり ” も感覚的に合致します。
“ 腹八分目 ” の方が動きやすいし、 “ 五分前行動 ” の方が心配も少ない。 「 全力を尽くさずとも完遂させる大人な余裕 」
そう、何事も SPACE が大切なのです。
ミリタリーにおいての 余白/ SPACE は主に可動域。用途に応じてより自由で快適な活動を求めた “ 身体と服の SPACE ” は、機能的であると同時に豪奢な美しさを見るものに与えてくれます。
SPACE が生み出す立体感、着用時に無限の可能性を予期させてくれる服の表情は時に現代のモードに近しい緻密な計算となり、時に予想だに出来ない野性味も感じさせてくれるのです。
前回に続いてご紹介する一着はまさしくそれ。
40年代フランス軍の二輪車部隊が着用していたオーバーコートは、明確な目的に沿って設計された的確な機能服であるにも関わらず、半世紀以上経った現代において規格外な興奮を提供してくれます。
女性的なボディラインを連想する前立て,大きく空けられたヨーク,脇下のベンチレーション,カフスのバンドなど、全ては通気性の為の極めて手の込んだアンファッション・ディティール。タフネスの権化であり防水性も加味したダック素材に長い時間をかけて発生したアタリは、まさに偶発的テキスタイルデザイン。
国の威信をかけた作りと純粋な理念に時間のスパイスが加わった物語は、体温が上がるほどドラマチックな結末と相成りました。
40s French military, biker corp coat
以上。長々と書き連ねた文章は全て添え物でございます。主役は本品。
これからも進化を続ける見紛うこと無きモンスターの第二章を身近で御観察して頂けましたら幸いです。
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