2019AW pre collection / Diary752
16.8.2019

原点というのは厳密な断定がなかなかどうして叶いませんものの、勝手ながら 1920 年代の乗馬用テーラードジャケットをそうだとして 1 、それをお手本に製作された 60 年代の品を 2 、さらにそれをお手本にした 90 年代の品を 3 、と続いていき時代を更新するごとに数字が増しますが、テーラードジャケットに限らずほとんど全ての装う品々には 1 にあたる原点 = 雛型が存在すること、数字が増そうとも雛形の香りが装飾や素材や部位などのどこかしらから漂うこと、それらは視覚的な心地良さを味わわせてくれるだけでなく身体に沿わせた時に様々な要素や局面でぐうの音も出ないほど圧倒的に雛形の価値を納得させてくれること、そして何より興味深いのが 1, 2, 3 と続いてゆくうち時に 3 が新たな概念からなる雛形として 1 という存在と成ること。
来期という名の入れ物は例によって常に眼を見開いて旅をすることで徐々に形づくられていきますが、その道中で出逢えた品々そんな “ 雛型 ” の存在意義と愉しさを改めて考えさせてくれる存在たちでしたので、来期 2019AW は題目を定めさせて頂くことに致しましたことと、それに際しまして明日よりプレコレクションとして先行で 3 点を御披露目させて頂くことを御報告させてくださいませ。

 

 

 



これら雛形は弊店が設立以降心の中心に据えております “ 縦に強く繋がった紳士服の在り方 ” と通じるようでまた一味異なる概念であると私は考えておりまして、1, 2, 3 と続いた雛形としての愉しさもあり 1, 2, 3 と続いた後に 3 が 1 となった雛形としての愉しさもある、例えるならば枝葉が分れる巨木と申しますか、その巨木のどの部分に注視するかの愉しさと申しますか。いずれにせよ枝が分れる際の始点には枝が分かれてしかるべきな要素が存分にあるのと同じく、雛形となる存在ならびに雛形の香りを受け継いだ存在には純真無垢で強烈な愉しさが秘められているのです。

 

 

 

 

 



2019AW pre collection

 

 

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