1 の存在感 / Diary735
3.7.2019

例えばジーンズを小粋にお召しの御客様と交流させて頂いたらすぐさま帰宅してジーンズに履き替えたい衝動にどうしようもなく駆られるほどに、私は影響を受ける際には素直に受けて直情的な想いを巡らせる性分で、自身の中に在る気分は良しにせよ悪しにせよ受け入れるようにしておりまして、昨年にアンバーリングを御提案させて頂いたのも紛れもなくその直情によるもので、かねてより主に繊細なリングを周囲の人々から恐れられる異形の野獣が一輪の薔薇を大切にするがごとく好みの対象としていたものの、これまた前述のジーンズ方式と同じくな偶発的経緯を幾度か経て心が繊細の逆に位置する装飾的リングを求めるように成った末に出逢いが叶い御提案させて頂いた次第だったのですが、その感情は一時的なものではなくアンティーク・ファインジュエリーの取捨選択にもはっきりとした変化を及ぼすことと成りまして、このように直情的過ぎる自身の潜在意識にはやはり腹と頭を抱えますが、ことこの生業に関わることであれば直情も大切である とも考えております。

 

この度の新作群は最古が 1864 年となり、アンティーク・ファインジュエリーに関しましては最新で 1960 年代 ( 注:弊店では 1940 年代以前の御品をアンティーク・ピース、それ以前をヴィンテージ・ピースとして御提案させて頂いておりますが、これらに関しましては “ アンティーク・ファインジュエリー ” という呼称で統一させて頂いております ) となりますが、これまでに御提案させて頂いた幾度かに比べて特に装飾的リングが目に付く印象を私は抱きまして、アンティーク・ファインジュエリーという世界には時に出で立ちの傾向や方向性が近しいものが在りながらも、あくまでそれらは近しいだけで結局のところは全てがそれぞれに異なる無垢な 1 の存在感を有しているのが特色であり現実であり、男性のおける装身具という要素に難しさを感じ, だからこそそれと向き合う意義と価値となによりの面白みを感じる私にとってはこれまでもこれからも独立した存在かつ心と寄り添ってくれる解の一つで、弊店におけるこれまでの幾度かは常に異なり続けていたものの、この度の新作群で装飾的リングが目に付くことと成ったのは喜ばしく、例えば女性的とも捉えられる曲線美の内部に白金とニ十石のダイヤモンドを載せた一つや、男性性が強く宿った形状に三十二石のダイヤモンドを載せたうえで光を集めるための細やかな職人技術が施されたこの度の最大幅を有する一つや、七石のうちの一つがそれはそれは大きいダイヤモンドの大胆な輝きと共にヴィクトリア期らしい装飾の趣意による独創的な立体感をお愉しみ頂ける一つなど、それぞれにおける物質としての華やかな 1 の存在感がケースの中に鎮座しておりまして、それら個の質量は空間全体と対比させた際には 0.1 %以下となるのでしょうが、全体に及ぼす影響はその数値以上に強大ですので、絶望的に華やかさの足りない私がようやく一人前の人間に成れたような錯覚を受けますが、きっとそれらが旅立ったら元の野獣に元通り。読書と空想が好きな父親思いの美しい女性がやってきて人間に戻れる日はいつに成ることやら。

 

 

 



引き続き皆様方の日々が豊かになる何かに成れましたら幸いです。

 

 

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