私自身が品そのものや御客様方との交流にて強い影響を受けるという性質が主たる理由ではありますが、御陰様で綿のテーラードジャケットを着るという行為そのもの, 着るという選択肢が “ 在る ” ということ自体に強い愉しさを感じ、改めてこの生業はなんと有り難いものであろうかと想いまして、様々な襟の形状やポケットの構築性, ベンツ有り無しといった各所の部位に秘められた意思の発信はどれも装うという根本的な愉しさを高い純度にて表現してくれますが、こと綿のテーラードジャケットに関しましては素材の表情, 細やかで素朴なそれらの優しく乾いた表情に一層の説得力を感じるのですが、この度の新作に在ります一着に対して密やかに抱いていた、それらを踏まえたうえでも特に問題児かもしれないという直感はやはり紛れもない確信に変わりまして、大いなる心地良い心の騒めきを独り胸に秘めております。純白であるという時点で既に一つの極地的な独善性にも関わらず、それを頭に過ぎらせないほどの要素を集約させたその出で立ちはもちろん特別ではあるものの、それ以上にこれまでの感覚や判断基準が心地良く騒めくような特異性を秘めているのです。
と、続いて特異性に関して綴っておりましたが 446 字まとめたところで一服した後、思い立って全て消去致しました。題目と致しましては仕立て文化における主に 1940 年代以前の “ 袖の付け方 ” と “ フランスにおける男性性の美意識表現 ” と この一着に秘められた “ とある融合性 ” が在るのですが、それによる心地良い心の騒めきは文字からではなく実物からの物質的な印象を皮切りに抱いて頂きたいと、ふと強く想った次第です。現段階で不肖な私が抱いている印象とは全く異なる着地点があるのではないかという予感を抱きつつ、いくら千差万別とは言えどこまで予想外な姿を魅せてくれるのであろうという未知への畏怖も抱きつつ、このような現代社会の装いにおける異物的でありながら有意義な存在感、捉えきれない不確定な予感でありながら高ぶる感情を抱かせてくれるこれらヴィンテージ / アンティークという世界は、引き続きなかなかどうして蠱惑的であると、独り口角を上げながら当エントリーを閉めさせて頂きます。
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