世にも不思議な物語 / Diary692
25.3.2019

先日の一着と同じく既に存在しているがゆえに “ 当たり前 ” と想って仕方なしなのですが、としてもこの設計にはいつも圧倒的な感動ならびに感心せずを抱かずにはいられませんで、その理念と経緯にはその国が持つ特徴と個性があり, 設計者の知的な理想形があり, 機能的であるか否かという絶対的な感覚がありまして、そのように高純度な要素が混ざり合った結果として産まれる一品の有機的な解は前述のような圧倒性を有するのだと様々なヴィンテージ / アンティークと触れ合う過程で気付くと、そして稀に現代の品において稀に出逢うと頭ではなく心で感じて極めて極めて豊かな心持ちになりまして、それに気付けた, 出逢えた喜びと豊かな心持ちを親族以外にも伝えたい、僭越ながら伝えて共感したいという単純明快な起点から始めって現在に至るのが私の生業なのでございます。

本日は SURR において幾度か御提案させて頂いた同区分でありながらまた異なる御品で、過去には純粋品であったり警察のための変則品であったり、国際連合軍のための変則品であったり名も無き個人が手を加えた変体品であったりと、以前より御愛顧くださっている中には御存知な御方もいらっしゃるかもしれませんが、私的に愛しているという不肖な個人感情がゆえの広義に捉えて同区分で 5 着目の、正確には同区分の変則品である初めての一着を御提案させて頂きたく存じます。

 

 

 

機能美的なポケット達と正中線に施されたジップとスナップという複合的な提案、その土台となる防水性を備えた綿という英国の文化が集約した本品は同区分において元々はバイク乗りのために設計され数多の愛用者を生み出し続けています。前述の構築はもはや本品同区分という入れ物からもミリタリーという入れ物からも飛び出し、おそらくは完全なる市民権を得たであろう衣類としての見た目であり設計における仕様ですが、 “ バイクに乗る時に着用するのだ ” という純真無垢な目的性と、英国という土地と個性を踏まえたうえで機能衣類を産みだし続けてきた Barbour 社の理想形に則ったこれは、市民権に則ったそれらと似て非なる仕上がりであり実用性であり存在感であることを僭越ながらここに明言させて頂きたく存じます。全ての要素ならびに魅力は静止画でも文字でも表現しきることが叶いませんので、実物を御覧頂かない限り, 逆を申しあげますと御覧頂ければすぐに御認識頂けるのではないかと想える情熱的な力を有しておりますが、実用性に関しましては実際に生活を共にして頂く必要性が私一個人の想いとしてはぬぐえません。ふと PASMO やなにかしらのガジェットをポケットに入れて頂く際や取り出して頂く際、ふと寒さや厚さを感じて開け閉めして頂いた際などに、手の入れ易さやそもそものポケット位置の秀逸さ、着用感覚の万能性にきっと心地良い驚きと愉しさを感じて頂けるのではないかと、僭越ながら私的感情も併せましてそれはそれは強く想わせて頂いております。

ここまでが同区分そのものの御紹介で、ここからが本品における同区分の変則性に関して。本品 INTERNATIONAL SUITS は前述の通り警察であったり国際連合軍のために特別製作された経歴がございますが、こちらは以前に御提案させて頂きました国際連合軍のための品でありながら、以前とは異なる色調にて仕上げられた一着でございまして、それに伴う特異性には静かながら確かな求心力と存在価値がございます。以前の一着はいうなれば純粋品である INTERNATIONAL SUITS の色調をそのままに要素を調整させたのに対し、時代的にはその後に製作された本品は色味を暗い緑みの黄色 = 同社における象徴色へと昇華させました。ゆえに同社の代表作であり象徴色にも関わらず同社らしくない非象徴性を感じるという、世にも不思議な物語。

 

 

 

 

 

late80s Barbour, INTERNATIONAL SUITS for NATO

 

 

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