New arrival 90s-early00s Dries Van Noten
華の週末に皆様のお時間を搾取してしまってはわたくしも心が痛みますので、要を得た簡潔的構成(いつもそのつもりですが)を試みたいと改めて気合いを入れよう本日は、イタリアのテーマを設けておりながらA/W御披露目より店内構成のおよそ10%を占めるベルギーという要素について具体的に触れようと思いまして、その要素の殆どを占有するのはS/Sに引き続き早速の構成プログラムとさせて頂きました、ドリス氏の作品で御座います。
ウィンドーペーンの1着をエントリーさせて頂いてから2年か3年は経過しているはずですが記憶にまだ新しいというのは歳を取っているのかいないのか。わたくしにとってドリス・ヴァン・ノッテンというページに “テーラード” を記さないまま捲ってしまうことはできず、とりわけ90年代における同氏表現を具したテーラードというのは、ある意味においてはビスポーク・テーラーの世界から最もかけ離れたテーラードシステムのように憶えてならず、プレタよりエントリーされるテーラードと前者は全く以て別世界の別区分の別物で御座います故、当然と謂えば当然、にもかかわらず、仏、英、伊、白のメゾンより具現化されるそれらの中でも突出して、格段に、特別なまでにポジショニングされるは90年代同氏のテーラードであろうと僭越ながら私的見解を述べさせて頂きます。
故に、プレタであろうがなかろうが、ドリス氏の作品であろうがなかろうが、身体隅々まで合わせるという意味においてのフィッティングを綿密に検討される方にはそもそもとして別世界の別区分の別物をお勧めしておらず、あるいは明確なまでに、ドリス氏のテーラードは推奨致しておりません。それほど「生地の分量」という点を先ずは記さねばなりませんし、その分量配分が特記すべき魅力点であることも然り、何より「生地とパーツ」こそ熱度が込められた驚異点ということも然りで御座います。とある国のクラシカルな生地,釦を購入していたと検討協議が必要な噂も御座います程、温かみとリアリティを感じる素晴らしき其々ですが、クラシカルというより“シック”という表現が上手に収まりそうな肌馴染み、そして20年後にはヨーロッパはどこぞの田舎のどこぞの老紳士が身体の一部に成っている様を容易に想像叶う程、やはりと謂いますか、やはりとてつもなくシックなわけでありまして、その感覚というのはおそらく同年代同氏のテーラードを愛する傾倒者ならば御共感頂けるものと存じます。都会というより喧噪離れた1着というのも腑に落ちる次第。その説得力の欠片もない例説は、およそ生地の分量然り、特異的なフィッティング哲学に起因するものと存じます。
前身頃にも後身頃にもこの生地の溜まりが生じるもので特にバックフォルムというのはそれはもう見事な程。特に、背のフィッティングに関して僅かな歪みも許さぬビスポークテーラーの規律に準じない自由奔放な選択は、ドレープというには大袈裟でしょうし、只只おおきい、と解釈するにはステータスが足りぬ程に 見事 で御座いまして、ここでフィッティング検証をするならばおそらくショルダーのみで御座いましょう、それは身体に沿うではなく 添う という意味性がおおかた正しく 纏う ではやはり誇張なもので、オーバーフィッティングという語句で収めてしまうのは捻くれ者のわたくしが許しませんし、いずれにしてもここまでの分量分配の技を落とし込んでも尚エレガントに落ち着くのは同氏の 術 としか謂いようがなく20年後老紳士の着用をリアルビジョンに空想すると同時に圧倒的 色気 を感じずにはいられない 魔法 とでも謂いましょうか。後にも先にも、同年代頃の同氏が得意とした空間支配と紳士性の再提案という表現においては、極上の シック・テーラード で御座いまして、そこにプレタアプローチを如実に把握できる詳細をワンポイントだけ抑えておきますと、エントリーシーズンによっては「釦の数の多さ」と「あまりにもお茶目であまりにも短すぎるセンターベント」で御座います。ツーポイントで御座いました。
New arrival 90s Dries Van Noten tailored jacket , cotton corduroy “ camel ”
New arrival 90s Dries Van Noten wool tailored jacket , “ chocolate ”
New arrival 90s Dries Van Noten wool tailored jacket , “ houndstooth ”
宜しければ、この機会に。
SURR by LAILA 小林
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