バングルをきつく絞めることによってできる腕の膨らみをシンボルに / Diary549
13.6.2018

 

北東アフリカに位置する南スーダンのナイル川流域のバハル・アル・ガザール地方をフィールドに居住するディンカ族。そのライフスタイルの大部分は季節の変化におおかた依存しており、雨季には定住し農作物を育て、乾季には川辺を畜牛の群れと一緒に流浪。とりわけ家畜である牛との関係が密接である民族であります。同国内に点在している民族の中でも 壮麗な黒肌をもつディンカ族には、装飾欲や美意識の概念が強く、男性/女性としての美しさを引き出すため、また民族への帰属、農業の豊作への祈り、家族繁栄の祝福など様々な理由からジュエリーを身につける習慣が御座います。その美しい肌色をより明確にするため女性たちは色彩豊かな個体を好み、または豪壮な土埃、精強な牛角という生活環境に適合させるため、丈夫で柔軟なアルミニウムを採択したり、勇敢な紳士達はバングルをきつく絞めることによってできる腕の膨らみをシンボルに。(実演、見事に叶わず)

 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

 

 

 

厳格な英国の審査も、仏が提案する官能的なフォルムも、ビックメゾンの是認もなく。50年代頃作成された情報と僅かな量の事実、現代でゆっくりと敷かれたアウトライン。現地においては多種多様な美的感覚と様々なオリジナルの概念が存在する中、フォーマットがどれか、ステレオタイプであるか、デフォルマシオン的美術表現は正しいのか(客観的賢察において)追求の余地と歴史的奥行きは確かにあるものの、引き続きご提案としては同様に。

 

 

 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA
 
匿名性に包含された佇まい、スケッチのような平面性、歪んだフォルム。人懐こいあたたかみと、つるりとした非現実的な触れ心地は、ブルジョワへ向けて製作された高級性やマーケットへの提案でもなく精選に至った無垢アルミニウムの強力な訴求力と、120%手仕事による言い訳のない温度。産業革命を背景に部品やガラクタで器用につくられた工場副産物のようであり、一方で、人間の精神の奥底にある複雑さと豊かさを自由に表現しようとした「これはそう戦後仏のアンフォルメル的芸術品であります」と謂いましても解釈によっては外してはいないように思います。あるいは「コンセプチュアルアートへの皮肉」若しくは「モダニズムアートへのアンチテーゼ」どんな名前を付けようと構わないのですが、バングルをきつく絞めることによってできる腕の膨らみがなくとも、困った女性を救える精神さえあれば勇敢に生きていける世の中と、改めて。

 

 

 

 

 

 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA
about 50s Dinka Tribe handmade aluminum bangle

 

 

 

SURR by LAILA 小林

03-5468-5966
[email protected]

 

 
OLYMPUS DIGITAL CAMERA
//

Copyright © SURR All Rights Reserved