規則的に位置付けられている縞模様は、5色の羊毛で構成された単位模様が計画的に並べられたテキスタイル。ベースカラーは現実性を帯びたオックスフォードグレイ。そこに映える無数に伸びた黄褐色のラインは、人類が最も古くから用いている天然顔料の1種であるシェンナ色を想起させます。さらに注意深くみてみるとボルドー色も見え隠れする抜群な均衡は、謙虚で大胆、左岸的な主張でしょう。
ムッシュのDNAを受け継いだ美しき好手。
休むついでに長考しましても、明快に感じ取れる余裕を保ったダンディズムの仕組みは実のところ単純明快で、答え合わせは6つ釦のダブルブレスト、そのうえ、掛け釦はひとつ。この場合、釦を3カ所しっかり留める仕様では畏まってしまう場面も、6釦で1掛けの仕様はアウトサイダー。自由な提案とスタイルこそ叶う懐の深さを、具体的に示すポイントは先ずはここでしょう。セクションによっては不向きな仕立てで御座いますので、お仕事使いにご検討の方は別の1着をご紹介させて下さい。
左岸的な主張をクラシカルに表現したパリジャンの標本のようなダンディズムは、袖を通した段階で気持ちがよい音とともに身体が吸い込まれ、仮にもそこでロマンティシズムの本質を問いたら、一寸の狂いも躊躇いも異状もなく、従順なまでにその回答をレスポンスしてくれましょう。
それは、青年でも、紳士でも、勉強ではなく背伸びを本業とするティーンエイジャーでさえも。
男性でありさえすれば。
80s Yves Saint Laurent double-breasted tailored wool jacket
昨日、福留も申しておりましたが、ダブルブレストというステージでは、自由な解釈/再解釈のみで構成頂きたいものと、我々も再認識のうえ、再提案したいと、今回2017A/Wの中心的なエディットのひとつに挙げさせて頂きました。
たとえシングルのテーラードのうえに重ねようとも、ミリタリーピースにチューニングしようとも、我々はきっと首を縦に振るでしょう。
ましてや、女性とデートの際でも、表参道の中心でファッショナブルに活躍させるでも、Xmasに両手が空きそうな男達による作戦会議でも。
今からでも遅くはないと、先ずはダブルブレストを。
SURR by LAILA 小林
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