仕立ての良いシャツに、身体を暖めるセーター、ウールスラックス。丁寧に革靴を履き、たっぷりとコートを羽織る。色合いはやわらかなグレー、英国的なチャコールやバーガンディ。優しいブラウン、ベージュ、グレージュ。スタイリッシュなネイヴィ、そしてアンティークブラック。
雨風を凌ぐバルマカーンコート、ダンディズムなトレンチスタイル、日中に着用する目的のモーニングコート。ビスポーク、ミリタリーディテール、シンボリズム。アントワープデザイナーが提案するオーバースタイル。
何度も申し上げる文言では御座いませんが、“ こう着なければいけない ” というルールブックは存在しませんので、自由な哲学と経験に基づき、心行くまでご賢察の程を頂けましたら幸いに思います。
さて、ご紹介しなければならない(ある種の使命感に駆られる)作品が多い印象ですが、今回は私的な気分を一切合切排除し、“しなければならない”想いに引き寄せられる1着から順にエントリーとさせて頂きたいと思いまして、そして気が付けば、先日のDiaryより自然と中核を担うようなポジションを陣取っているこのミッドフィルダーは、1960年代というプレタムードの波が広がるまえの時代、世界各国で生産ラインが確立し、より広い層に、より深いデザインで愉しめる80年代とはまた別次元の素晴らしき時代ですが、その素晴らしき時代に、ビックメゾンの旗の下、紳士向けの仕立てが今でも尚存在する事実は、事実として容易に受け入れられないように、それほどに、極極少数なものとして、丁重に慎重に扱うのは入荷段階のお話。
流行だのファッションフローだの、どこぞの誰が着ていただの、そうではないクラシカルなオーバースタイルを、素直にそのまま受け入れるお心とその上で、プレートネームの真下の文字を視界に捉えた際は、そういうスタイルでそういうプロダクトなんだと、判断材料の要素に加えて頂けましたら。
そしてこの1着もまた、どこぞやのアーカイブストレージ行きではなく、素晴らしき時代の素晴らしきメーカーの素晴らしき衣類として、人の身体を包んでこそ認められると確信致しますので、どうぞ日常に添うバルマカーンコートとしまして注意深くご賢察を頂けましたら、何よりで御座います。
1960s Givenchy balmacaan wool coat
SURR by LAILA 小林
03-5468-5966
[email protected]
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