フルブローグの一足、そして一つの編集点と昨期から一層に強く御推奨させて頂いております英国靴。ドレスシューズにおいて不動の存在価値と絶対的な品質基準によって、やはりなかなかどうしてセレクションが容易ではない区分でして、今期も数足のみという相も変わらず傍から見たらやる気に疑問を感じえずにはいられないような御用意と相成りましたが、御理解と御容赦を頂戴出来ますとこれ幸い。
だからこそ、私の勝手な基準点に基づく皆様にご紹介したいと思える英国靴に出逢えた暁にはやはり受ける感銘の濃度が高く、そして、そのスタイル性と履くことで感じる熱量も圧倒的です。
御愛顧くださる皆様のために、そして陰ながら私自身のために常に頭の片隅で探し求めていながらも、探し物に限って見つからないメソッドよろしく願いの届かないジョージブーツ。私自身の一足、いずこに。
“ ベージュのドレスシューズ ” という表現はおそらく初めてかと思います。英国靴の最高峰の一つが仕掛ける強さと優しさと色気の具現。
私にとって John Lobb と肩を並べる英国靴最高峰の一つが Edward Green 。革の質とそれに伴う表情、各所の仕上げ、モデルによって異なるスタイルの方向性と履きこなしのベクトルなど、全ては職人の技術力が注がれているからと、実物を見て直感し履いて実感させてくれる稀有な存在です。今回出逢うことが出来、弊社 2017AW LOOKBOOK にも掲載採用された一足はドレスシューズにおいての代名詞スタイルであり、ゆえになかなか御紹介が叶わないストレートチップ。 数ある職人技術の中でも特に難しく、更に品質水準が高くなくては実現できない一枚革仕様のアッパーが醸し出す、研ぎ澄まされ過ぎているエレガンス。その無機質なまでの品と相対する、屈強で繊細な3本ステッチの装飾機能美。革靴において “ 触れれば切れてしまいそう ” な存在感を感じる機会は、私にとって滅多にございません。
90s Edward Green
とは言え、まず最も強く御紹介したいのは英国靴ならではの履き心地の良さと、耐久性の高さ。履き心地に関しましては足の形状とその一足との相性がありますので一概には言えませんが、私の実体験としては、Edward Green と John Lobb が頭一つ抜きん出ておりまして、職人技術には相応の対価を用意する価値があると改めて想う次第です。
お人によっては年を重ねると革靴が辛くなるとおっしゃる方もおられますが、先日街中で仲代 達矢さんに良く似た老齢の紳士が上質であろう革靴を美しく履いて美しく歩く姿を目にしたことで、引き続き革靴を履ける骨格形成を強く御推奨しようと心に誓いました。その紳士を目にしたことは、直近において特に目の保養となった瞬間でして、その直後に謎の老人に軽く追われるという謎の恐怖体験を経てもなお消えない喜ばしい記憶として、渋谷って怖ぇという体験と共に心に刻まれています。
SURR by LAILA 福留
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