“ 金 ”という天然素材を土台に。1700年後半から1800年中頃にかけて周辺諸国より飛び抜けて産業革命が発達したその国は、歴史的4文字そのまま、産業,工業, 造形,製造並びに、ものづくりという分野で確固たる技術力を手に入れたにも拘らず、そのたった4文字の背景により金の価値が急上昇、しかしながら鉱脈開拓も実らず、という地団駄を踏みたくなるストーリーなわけですが、“ ですが、” より先の内容を、 “ジュエリー” という区分を事例に少しばかり綴らせて頂きます。(前述のセンテンスは順を逆にしましても叶いまして)鉱脈開拓が実らなかったから金の価値がぐんぐん上がり、よって1800年後半から1900年〜にかけて金を潤沢に使用したジュエリーのような逸品は、当時は極極少数。ゴールドラッシュが開始されてから金の価値が落ち着き、本当に贅沢そのまま,金のジュエリーを愉しむことができた良き時代が、先日御伝えしたヴィクトリア期なわけですが、その良き時代と比べますと、産業革命期では同等,同量に金を使用できる背景ではなく、よって、当時は抑制的なベクトルで貴重な金と向き合っておりましたが、当時の作品において共通項としてひとつ挙げらるのが、「繊細巧緻な金細工」。煌煌なる金を “ 補う ” という方向で重ねに重ねられ発達した職人技術の境地。刺繍のように細やかで美しさを纏ったジュエリーは、歴史的背景をディープに反映させた代表的なステージでしょう。
弊店において、久しくも最古の年代を更新することが叶ったその1点は、当然、“ 古くて貴重だから ” というベクトルのみで選定したものではなく、謂わずもがな現代の選美眼をもってしましても、質の高い天然素材を用いて創られた上質なジュエリー、で御座いました。とはいえ、ヴィクトリア期のジュエリー群に比べますと、決してリュクスな印象も贅沢な装飾も持ち合わせているわけではない、セーブコントロールされた出立ちながら、12Kが持つ確かな鈍い輝きと、ミニマリズムな外形に施されたセンシティブな細工、紳士的なグレイッシュなストーン、すべては本文の通り、当時の背景を色濃く映し出している内容でしょう。イギリスという連合王国の、1800年中頃に誂えられたリングというだけで御座いますが、普段ジュエリーやリングを付けないという方にこそ、素直にお勧めをさせて頂きたい想いです。
mid 1800s Georgian 12K pure gold with Grayish stone
約20点のラインナップの中、最も控えめ。
ご縁が御座いましたら、是非。
SURR by LAILA 小林
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