暑さ厳しい真夏日にも関わらずデニムを見にご来店くださった皆様、本当にありがとうございました。
( 旧店舗時代から数えて ) 13年間で初めてのデニム・ラック
一般的なヴィンテージにおいて定番のアイテムにも関わらず、私自身この空間にそれらがある事を本当に新鮮に感じました。
本日はその中から、ヴィンテージ・デニムの旨味をご紹介させて頂きます。
長い歴史を有するLevi’sには、時代や文化に応じた様々な変遷がありましたが
概ねまず挙げられるのが “ XX ” の存在。
生地の丈夫さ・上質さを示すこの表記は、おおよそ60年代初期に無くなったとされ、
XXであるかないかが、ヴィンテージ・デニムの価値を大きく左右します。
今回のラインナップでは1点のみですが巡り合う事が出来ました。
モデルは「503」
先にご紹介した 501 のボーイズVerとされるこちらは、王道に様々差し引きされた個体です。
テーパードというよりもスリムストレートなレッグラインは
コンパクトなサイズ感も相まって、見事なまでに現代的な印象。
今のスリム・デニムと近しい感覚でお楽しみ頂けますが、XX の生地感がそれらとは一線以上を画します。
インディゴを蒼で終わらせない、特徴的な色調。
織りが迫力に成る XX ならではの表情。
その魅力は、知識を有さずとも感覚的に感じて頂けるものであり
それらがデニムの基盤から外れていないからこそ、圧倒的な存在感としてお楽しみ頂けます。
ヴィンテージ・デニムの中でも特別な旨味として扱われるのも、現物を目の前にすると素直に納得。
そして、同じく特別な旨味である ” 愛着の形跡 “。
これが本品の中核を担います。
長い期間をかけて着用を重ねる事で生まれる色落ち。
それと並行して生じる擦れ・摩耗。
これらはデニムを楽しむ過程の必然であると同時に、世界でただ一つに仕上げるため欠かせない要素です。
色落ちの経過を楽しむ、擦れを補正する、摩耗を改善させる。
日々変化するデニムに対して着用者は適切な対応を施すのです。
デニムからの Call に対して着用者の Response 、それに対しての新たな Call。
この対話の繰り返しこそがデニムを楽しむうえでの重要なキーになるのです。
本品はすでに数回の対話が重ねられています。
一つ一つには様々な想い入れがあり、少なくない人数が関わっていることでしょう。
全てに意味があり、意図があるからこそ生まれた偶発的デザインリペアの数々。
通常であればマイナスとされる直しがプラスに反転するなんて、実に実に興味深い。
1950s Levi’s 503 , denim trousers.
これからも対話が必要になると思いますので、それを存分に味わって頂きたい。
そのつど生まれ変わり、まるで “ もう一度買った ” かのような感覚を抱いて頂けると思います。
それはおそらく、驚異的に楽しいはず。
SURR by LAILA 福留
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