1958年にトップメゾンの主任デザイナーという肩書きでファッションシーンに現れて以降、
2002年までモードのトップに君臨し続けた人物。
そんな彼のラストショーは、歴代デザインを全て網羅した集大成的な構成だったのですが
観終わった観客の中には 『 刺激が足りなかった 』 という感想を抱く人が居ました。
なぜ刺激が足りなかったのか?
それは、彼が生み出したデザインやスタイルがお手本にされ、世の中に染みわたり
“ 当たり前な印象 ” にまで昇華していたからです。
クリエイションにおいての究極的な着地点。
ムッシュ・サンローランにおいて私が最も好ましく思う逸話です。
メゾンヴィンテージがメインの一つである我々にとって、イヴ・サンローランはある意味別格な、
特別な存在です。
それは逸話のみならず、様々な作品を目にして手にしたからであって
縦横無尽,自由奔放,豪華絢爛,眉目秀麗な数々はまるで
モードを具現化したかのように思います。
モードの歴史はやはり WOMENS が先立ちますので、様々なバリエーションが存在するのですが
ムッシュ・サンローランの定番にシルク素材のシャツ / ブラウスがあります。
多彩なカッティングやテキスタイルデザインによるバリエーションは
“ サンローランのシルクブラウス専門店を作りたい ” と思わせるほどの求心力を秘めており
( WOMENSですので当然 ) 着る事の出来ない私ですら、心から魅了されていました。
全ての要素において贅の極みとも言える、ムッシュのシルクシャツ。
まさか MENS が存在したとは。
10年弱の間に、心から尊敬するムッシュ・サンローランの作品を様々目にしてきました。
その中にはシルクシャツが数多く存在し、全てが本当に素敵でした。
ですが、全て WOMENS でした。
その経験値が私の頭から 『 MENS のシルクシャツは存在するのか? 』 という疑問を排除していたのです。
冷静に考えてみたら、作られていても不思議ではないのに。
初めて出逢ったそれは、言語不要の美しさを秘めています。
またムッシュが “ ファッションは純粋に楽しい ” という尊く儚い感情を与えてくれました。
70s Yves Saint Laurent , silk shirts , mens
私は感動しています。
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